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夏の怖い話し特集
2009年 8月10日の新作昔話
龍の枕
三重県の民話
むかしむかし、大杉谷(おおすぎだに)の深山という所に、竜神が住んでいました。
ある嵐の夜、川の水があふれて、大きな丸太が流されてきたのです。
翌日、それを見つけた村人がその丸太を家まで運んで、
「これを薪にしよう」
と、オノで丸太を割ろうとしたのですが、その途端、村人は雷を受けたようなショックを受けて、ばたりと倒れてしまったのです。
それを見た家族があわてて介抱しますが、倒れた村人は目を覚ましません。
そんな時、この村を修業中の山伏が通りかかり、丸太を割ろうとしただけで倒れてしまった村人の話を聞いたのです。
山伏は、その村人の家に行くと、
「よければ、わたしが原因を調べてみましょう」
と、村人の枕元に座って、何やら呪文を唱え始めました。
すると山伏に何かが乗り移り、心配する家族に、こうお告げをしたのです。
「あの丸太は竜神さまの枕である。そまつにする事は許されぬ。今すぐ、大切にまつられよ」
そこで家族が、さっそく丸太をまつり、病気が治るように一生懸命祈りました。
すると村人の顔色がみるみる良くなって、やがて元気を取り戻したのです。
その後、この丸太は『龍の枕』として、多くの村人たちがお参りするようになったそうです。
おしまい
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