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 忘れな草
 スイスの昔話 → スイスの国情報
 
  むかしむかし、あるところに、とても仲の良い男の子と女の子がいました。ある時、この二人が山に出かけました。
 手をつないで歌を歌いながら道を進むと、やがて川が見えてきました。
 「あら、あんなところに花が咲いているわ」
 女の子が見つけたのは、流れの早い川のすぐそばに咲いている青い花です。
 女の子が大好きな男の子は、女の子の為にその花を取ってあげようと思いました。
 男の子は体が濡れるのも気にしないで、水しぶきがかかる岩を登っていきました。
 ところがその花に手を伸ばした途端、男の子は濡れた川の水で足を滑らせました。
 男の子はあわてて花をつむと、女の子に向かってその花を投げました。
 そしてそのまま川に落ちると、すごい早さで流されて行きます。
 ゴウゴウと言う水の音に混じって、男の子の声が聞こえて来ました。
 「大好きだよ! いつまでも、ぼくを忘れないでね!」
 その時からその青い花には『わたしを忘れないでね』という意味の『わすれな草』という名前がついたそうです。
 おしまい   
 
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