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8月14日の日本民話
  
  
  
  三衛門と博労
  福井県の民話 → 福井県情報
 むかしむかし、能登半島(のとはんとう)の先に引砂(ひきすな)という村があり、三右衛門(さんうえもん)という百姓(ひゃくしょう)が住んでいました。
   背たけの小さい男ですが、たいへん頭のよい男です。
   ある日の事、ウマ市にたくさんの博労(ばくろう→ウマを売買する人)があつまってきました。
   三右衛門は、その博労に向っていいました。
  「おれのウマは金のクソをするんだぞ、すばらしいウマだろう。だれか買う者はいないか?」
   これを聞いた博労たちは本気にして、おたがいにウマをせりあらそって値をつけました。
   その中のよくばりの一人が、とても高い値でウマを買い取っていきました。
   数日後、この男は顔色を変えて三右衛門のところへやってきました。
  「このウソつきめ! お前はウマが金のクソをするといったが、あれから一回だって金のクソなんかしないぞ!」
   すると三右衛門は、ケラケラ笑っていいました。
  「お前ウマに何をくわせてるんだ? おれは金をくわせておったから金のクソをしたのだぞ。お前はワラやニンジンをくわせておるからだめなんだ」
  「・・・・・・」
 そういわれた男は、だまって帰るしかありませんでした。
おしまい