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2月11日の世界の昔話
ゾウの鼻はなぜ長い
キップリングの童話 → キップリングの童話の詳細
動物園で人気者の、鼻(はな)の長い動物といえばゾウですが、じつはゾウの鼻は、本当は短かったのです。
これは、なぜゾウの鼻が長くなったかのお話です。
むかしむかし、あるところに、ゾウの親子がいました。
もちろん、鼻の短いゾウの親子です。
あるとき、子ゾウがお母さんゾウに聞きました。
「ワニさんの大好きなたべものは、なあに?」
「ぼうや、そんなおそろしいことを聞くものではありませんよ」
「そうだよ。そんなことを聞いてはいけないよ」
となりにいた、お父さんゾウも言いました。
でも、子ゾウは知りたがりやでしたから、ワニのいる川に行きました。
「ねえ、ワニさん。あなたの好きな食べ物はなあに?」
するとワニは、
「へっへへへ。オレの好きな食べ物は子ゾウさ。父さんや母さんに聞かなかったのかい?」
と、言って、子ゾウの短い鼻に「ガブッ!!」とかみつきました。
ビックリした子ゾウは、体を後ろに引っぱって、ワニの口から鼻を引き抜こうとしました。
しかしワニは、鼻にかみついたまま放してくれません。
「ウーン、ウーン、ウーン」
子ゾウが体を後ろへ引っぱりますが、
「ギュー、ギュー、ギュー」
ワニも負けじと鼻を引っぱります。
子ゾウとワニの両方が力いっぱい引っぱったので、そのうち子ゾウの鼻がだんだんとのびていきました。
「もう、はなしてよ! 痛いじゃないか!」
とうとう子ゾウがおこって、のびた鼻でワニを「ブン!!」と引っぱたきました。
ビューーーン。
ワニはそのまま、遠くまで飛んでいってしまいました。
こんなわけで、子ゾウの鼻は長くなってしまったのです。
それから生まれたゾウは、みんな鼻が長くなったというお話です。
おしまい