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福娘童話集 > きょうの新作昔話 > 円海長者(えんかいちょうじゃ)の大赤牛

2008年 12月2日の新作昔話

円海長者(えんかいちょうじゃ)の大牛

円海長者(えんかいちょうじゃ)の大赤牛
福井県の民話福井県情報

♪音声配信
スタヂオせんむ

 むかしむかし、味真野(あじまの)の里の文室(ふむろ)という所に、円海(えんかい)という長者がいました。
 ある時、その長者が水無川(みずなしがわ)のほとりを歩いていると、川原に見たこともない大きな赤牛がねていました。
「これは、何と大きな牛じゃ」
と、感心していると、次の日も同じ牛がいるので、
「はて、飼い主はいないのだろうか?」
と、不思議に思いました。
 そしてその次の日も、やっぱり牛は同じ所にねそべっています。
 長者は立ち止まって、その牛をつくづくながめると、
「ははーん、きっと底なしの大食らいじゃから、すてられたのだな。よいよい、わしが面倒をみてやろう」
と、言いました。
 すると牛はむっくりと起きあがって、うれしそうに体をすりよせてきたのです。
「おお、わしの言葉がわかるとは感心じゃ」
 喜んだ長者は、そのまま牛を家へ連れて帰りました。
 さて、この牛は毎日、まぐさを山ほど食べては寝てばかりいたので、『なまくら牛』と呼ばれるようになりました。
 その頃、都では、法皇が三十三間堂(さんじゅうさんげんどう)という大きなお堂をたてることになって、その棟木(むなぎ)につかう大木を山から都まで運ぶのに、国中の力持ちを集めていました。
 ところが、どんな力持ちが引いても大木はびくともしないので、
「さて、どうしたものだろう?」
と、役人たちが困っていると、
「それなら、円海長者の大牛に引かせてみたらどうだろう?」
と、言う者がいました。
 それでさっそく、円海長者の所へ使いが出されました。
 話を聞いた円海長者は、
(さて、あのなまくら牛に、そんな大仕事ができるだろうか?)
と、心配になりましたが、それでも大牛の鼻づらをなでながら言いました。
「お前の力を見せる時がきたぞ。せいいっぱいがんばって、働いてきておくれ」
 すると牛は、のっそりと小屋から出て庭石によだれで字のようなものを書くと、門の外で待つ役人のもとへ歩いていきました。
 役人が力試しにと、三かかえもある大石を牛にくくりつけました。
 すると牛は、平気で大石を引きずっていきます。
「おお、これはすごい!」
 感心した役人たちは、さっそくその牛を長者ともども、若狭の国へ連れていきました。
 さていよいよ、大木を運ぶ日がやってきました。
 円海長者は、そわそわと落ちつきません。
 たくさんの見物人が集まるなか、牛の体に大木をくくりつけた太いつなが何重にもまかれました。
 ここまできた以上、もう後もどりは許されません。
「よし、いいか。わしの気合いで一気に引けよ。わかったな。そーれっ!」
 長者は大きなかけ声とともに、力一杯たずなを引っ張りました。
 大牛は足をふんばって頭を下げると、グイグイグイーとつなを引きました。
 するとそのとたんに、ミシミシギギーと大木が動き出したのです。
 長者は、顔をまっ赤にして応援しました。
「そーれっ! そーれっ!」
 そして見物人たちまでが、それに合わせてかけ声をおくりました。
 そしてそのかけ声に合わせるように、ズズズーッと、大木は若狭の山を下り、都へと無事に引かれていったのです。
 これを知った法皇さまはとても喜んで、円海の牛を、
「日本一の力牛じゃ!」
と、ほめたたえました。
 それからそのほうびとして、たくさんの土地を飼い主である長者に与えたのです。
 大牛がよだれで文字を書いた庭石は、『よだれ石』として、今でも文室(ふむろ)の正高寺(しょうこうじ)にのこっているそうです。

おしまい

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