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    福娘童話集 > きょうの新作昔話 >ほらふき男爵 ワニとライオン退治 
      2014年 2月28日の新作昔話 
          
          
         
ほらふき男爵 寒い冬の大グマ退治 
ビュルガーの童話 → ビュルガーの童話の詳細 
       わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。 
 みんなからは、『ほらふき男爵』とよばれておる。 
 今日も、わがはいの冒険話を聞かせてやろう。 
 
 以前、二つの火打ち石で大グマを退治した話をしてやったが、大グマ退治の話は他にもある。 
 
 これも、寒い冬のポーランドの森での事だ。 
 わがはいは狩りに失敗して、大グマに追いかけられておった。 
 そしてようやく一本の木を見つけて、何とかそれによじ登った。 
 だが運の悪い事は続くもので、わがはいは登る途中で大切なナイフを枝に引っかけて落としてしまったのだ。 
 大グマは木の回りをグルグルと回って、少しもあきらめようとはしない。 
 だが、鉄砲もナイフも火打ち石もなくては、さすがのわがはいでもどうする事も出来なかった。 
 
 その時、わがはいは急におしっこがしたくなった。 
 人間というものは、緊張(きんちょう)するとおしっこがしたくなるものじゃ。 
 きみたちも運動会の本番前に、トイレに行きたくなった事があるじゃろう。 
 それと同じだ。 
 わがはいは大グマにおしっこをかけてやろうかと思ったが、そんな事をしても大グマを怒らせるだけじゃ。 
(なんとかして、おしっこをうまく利用する方法はないものか。・・・そうじゃ!) 
 わがはいはある名案を思いつき、おしっこを木の下に落としたナイフめがけてふらせたのじゃ。 
 すると思った通り、おしっこは寒さのためにたちまち凍り付き、ナイフまでのびる長いつららとなった。 
 ちと汚いが、わがはいはおしっこのつららを引っ張り上げて、つららの先についているナイフを取り戻す事に成功した。 
「よし、これで大丈夫!」 
 ひと安心した時、何と大グマが木をよじ登って、わがはいのすぐ下まで来ていたのじゃ。 
 そう言えば、クマは木登りが得意であった。 
 だがすでに、ナイフはわがはいの手の中にある。 
 わがはいは大グマが襲いかかる前に、ナイフで大グマを見事しとめたのだ。 
 
 今日の教訓は、『寒いところで物を落としたら、おしっこを・・・』。 
 いや、今日の教訓はやめておこう。 
 わがはいの話は、ご婦人方も聞いておるからな。 
 
 では、また次の機会に、別の話をしてやろうな。 
      おしまい 
         
          
         
        
       
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