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6月6日の日本の昔話
たごかつぎ
㧡糞桶
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
頭擺頭擺,有一個安到吉四六先生个人,非常樂線。
吉四六さんの村には、平助(へいすけ)という、うそつきの名人がいました。
在吉四六先生村莊有個安到平助个人,講耗漦出名。
この平助は、うそでだました相手の困った顔を見るのが大好きで、その為にはどんな努力も惜しまないのです。
該個平助當好看分佢用耗漦話騙著儕个面,所以佢輒常恁樣搣耍人。
村人は誰でも二度や三度はだまされていますが、さすがに吉四六さんだけは、一度もだまされた事がありません。
逐個村民都分佢騙過兩、三擺,斯吉四六先生從來毋識分佢騙著過。
ですから平助は、いつか吉四六さんをだましてやろうと思っていたのでした。
所以平助想總有一日愛落著佢。
ある年の事、吉四六さんが大事にしていたメス馬の『青』が子どもを妊娠しました。
有一年,吉四六先生畜一條像命袋樣个馬牸仔『青』,這下有身項了。
いよいよ子どもが産まれる月となって、朝から青の様子がおかしいのです。
總算到愛降个日仔了,打早開始『青』个樣仔盡奇怪。
吉四六さんは喜んで、
吉四六非常歡喜,想:
「さあ、いよいよ子馬が産まれるぞ」
『總算有細馬子了。』
と、思いましたが、あいにく今日は町へ行って、下肥(しもごえ→人の糞尿を肥料としたもの)をくみに行く日なのです。
毋過,這日愛去街路收集水肥(人類屎、尿做肥料)个日仔。
そこで吉四六さんは、メス馬の青の事を奥さんによく頼んで町へ出かけました。
吉四六先生摎『青』會降子个事情交帶厥餔娘,過後正去街路。
吉四六さんが大急ぎで肥(こえ)をくみ、重たいたごをかついで町はずれまで帰ってくると、向こうの方から急ぎ足でやって来た平助とばったり出会いました。
吉四六先生緊觸觸收集水肥後,㧡等重鈂鈂个水肥,離開街路轉屋下時節,堵著緊觸觸在對面走過來个平助。
「平助、どこへ行くんだ?」
「平助,你愛去哪位?」
「ああ、町へ買い物に行くんだ」
「啊,去街路買兜東西。」
ここで平助は、吉四六さんをだますうそを思いつきました。
這下,平助想著搣耍吉四六先生介花蓼。
「そうだ!そんな事より吉四六さん、大変だぞ!」
「係哦!吉四六先生,有項事情比這還較重要!」
「どうしたんだ?」
「發生麼个事?」
「お前の青が子を産みかかったが、とても難産で親も子も死にそうなんだよ」
「你該『青』降子了,毋過因為難產,兩子哀像形死忒樣。」
「そりゃ、本当か!」
「該敢有影!」
吉四六さんはたごをかついだまま、顔色を変えて駆け出そうとしましたが、急に立ち止まると言いました。
吉四六先生㧡等重鈂鈂个水肥,面壢青想愛舂轉去,毋過又頓恬。
「おっと。すっかり忘れていた。
「唉哦。𠊎毋記得淨淨。
馬のお産だったら、何も心配はない。
若係馬降子个事情,毋使愁。
実はおれの家には、庄屋さんからもらった馬の薬があるんだ。
實際上,𠊎屋下有村長該拿來个馬藥。
どんな難産でも、それを一服飲ませるとすぐに子馬が産まれるという妙薬だよ。
不管麼个難產症頭,斯愛食一帖就會順利降个妙藥。
かみさんに頼んでおいたから、今頃はもう無事に産まれているに違いない」
交帶過吾餔娘,這下定著順利降出來了。」
すると、平助は言いました。
過後,平助應講:
「でもそう言えば、みんなで大騒ぎしていたぞ。奥さんがその薬の置き場所を忘れたのかもしれないよ」
「講係恁樣講,該恁鬧熱,可能若餔娘毋記得藥仔放在哪位也無一定。」
「え?こうしちゃいられない。平助、たごは頼むよ!」
「e24?該就無結煞,平助,糞桶拜託你!」
吉四六さんはそう言うと、たごを道のまん中に置いて駆け出しました。
吉四六先生講煞,摎糞桶放在路中央,當緊張瀉等走。
それを後ろから見送った平助は、大笑いです。
在後背相送个平助,哈哈大笑。
「あはははははっ、吉四六さんめ、とうとう引っかかりおったぞ。
「啊哈哈哈哈哈,吉四六該漦仔,總算分𠊎落著了。
青に何の変わりがないのを見て、さぞくやしがるだろうな。
若係發現『青』好好無麼个爭差,想佢定著會後悔。
たごを頼まれたのは計算違いだったが、まあいい。
拜託㧡糞桶个事係算盤打毋著桱了,無相干。
はやく行って、吉四六さんのくやしがる顔でも見てやるか」
行遽兜,看看得著吉四六先生後悔个表情無?」
平助は吉四六さんの置いて行ったたごを担ぐと、自分も大急ぎで引き返しました。
平助㧡等吉四六先生留下來个糞桶,緊拚拚倒轉去。
しばらくいくと村の庄屋さんが、向こうからやって来ました。
行無幾久,村長在對面行過來。
「やあ、庄屋さま。いま、吉四六さんに出会いませんでしたか?おれにだまされて、あわてて帰ったはずですが」
平助當沙鼻講:「你好,村長大人、頭下你無堵著吉四六先生嘎?分𠊎騙著,定著緊觸觸轉去了。」
平助が自慢気に言うと、庄屋さんは『なるほど』と納得した顔で答えました。
平助當沙鼻講後,村長盡同意樣回答:「𠊎了解了。」
「会うには会ったが、にこにこして歩いていたよ。そして、『平助は、思ったよりも馬鹿な奴だ』と、言っていたぞ」
「堵斯有堵著,毋過佢係笑咪咪,還講:『平助比𠊎想像个還較戇。』」
「な、何だって?」
「麼个,講麼个?」
「そう言えばお前、吉四六さんに馬の妙薬の話を聞かなかったかい?」
「照恁樣講,你無聽過吉四六先生有關馬个妙藥个消息?」
「はい。庄屋さまにもらった、その薬が見つからぬと言って、おどろかしてやったのですが」
「係哦。𠊎用尋毋著對村長該位拿著个妙藥,這種話來嚇佢。」
「わははははっ。平助、お前うまくかつがれたな。そんな妙薬なんかあるものか。全部、吉四六さんの作り話さ」
「哇哈哈哈哈哈。平助,你還好騙哦。敢有該種妙藥,全係吉四六先生編出來个。」
「何!」
「麼个啊!」
「おまけに吉四六さんは、わざとあわてたふりをして、お前にたごをかつがせたんだよ。
「另外,吉四六先生詐意緊張,監你㧡糞桶。
お前があんまり人をかつぎたがるから、今日はあべこべに吉四六さんからたごをかつがせられたんだよ。
因為分你搣耍个人昶多了,所以今晡日倒貶。吉四六先生正會監你㧡糞桶,
さすがのお前も、吉四六さんにはかなわないな。あはははははっ」
連你都無法度贏佢,哇哈哈哈。」
庄屋さんは、腹をかかえて笑い出しました。
村長揇肚大笑。
「何てこった」
「仰會恁樣?」
がっかりした平助は仕方なく、重たいたごをかついで村へ帰りました。
當失望个平助無法度,㧡等重鈂鈂糞桶轉去村莊。
おしまい
煞咧
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