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7月29日の日本の昔話
聞き違い
聽毋著
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、お医者さんの家で働いている男がいました。
頭擺頭擺,有一個男仔人在醫生屋下做事。
いつも言われた事を忘れたり、聞き違えたりするので、みんなからは『おろか者』と呼ばれていました。
因為長透毋記得交代个事、無斯聽毋著內容,所以所有个人都喊佢『戇牯』。
ある日、魚屋が魚を売りにきました。
有一日,一個魚販仔來賣魚仔。
おろか者は、お医者さんのところへ行って、
戇牯去醫生該位,講:
「魚屋が、魚を売りにきた」
と、言いました。
「一個魚販仔來賣魚仔。」
「よしよし、それなら一匹買って、料理しておくれ」
「好,好,該摎佢買一尾煮來食。」
そこでおろか者は魚を一匹買いましたが、でもどうやって料理したらいいのかわかりません。
所以戇牯買了一尾魚仔,但係毋知愛仰般煮。
おろか者は、またお医者さんのところへ行きました。
戇牯又倒轉去醫生該位。
「魚の料理は、どうする?」
「魚仔个料理愛仰般煮?」
「煮ても焼いてもいいから、お前の好きなように料理してくれ」
「煮也做得,煎也做得,看你好食哪種就煮哪種。」
そこでおろか者が包丁で魚を切ろうとすると犬が一匹やってきて、ワンワンとほえました。
戇牯拿菜刀愛切魚仔个時節,堵好一條狗走過來,ngong53 ngong53滾吠。
「しっ、あっちへ行け」
「shi11,走開!」
追い払っても、犬はほえるばかりです。
仰般咄佢走開,狗還係ngong53 ngong53滾吠。
おろか者はすっかり困ってしまい、お医者さんのところへ行きました。
這個戇牯感覺當無結煞,又去醫該位。
「犬が来てワンワン鳴くけど、どうしたらいい?」
「狗走來ngong53 ngong53滾吠,𠊎愛仰做正好?」
「何だ、またあの犬か。かまわないから、頭でも一発食らわせてやれ」
「麼个,又係該條狗?無相干啦,頭那攉落去。」
お医者さんは犬の頭を殴れと言ったのですが、おろか者は聞き違いをして、
醫生講个意思係摎狗个頭那打落去,毋過戇牯聽毋著了,
(そうか、頭を食らわせればいいんだな)
(有影無,魚頭拿分狗食敢哪)
と、魚の頭を切って、犬に投げました。
魚頭切下來,擲分狗食。
犬は大喜びで、魚の頭を食べました。
該條狗當歡喜,摎魚頭食落去。
ところが食べ終わると、犬はまたワンワンほえました。
毋過,食忒後,狗又ngong53 ngong53滾吠。
「この欲張りめ」
「這條貪心狗!」
おろか者が犬を追い出そうとしても、犬ははなれようとはしません。
戇牯想愛摎狗逐出去,毋過該條狗無想走。
おろか者は、またお医者さんのところへ行きました。
戇牯再過去醫生該位。
「頭を食らわせたのに、まだワンワンほえている。どうしたらいい?」
「雖然擲頭那分佢食忒了,狗還係ngong53 ngong53滾吠,𠊎愛仰般做正好?」
「頭がだめなら、まん中のところを思いきり食らわせてやれ」
「假使頭那做毋得,該斯對中央攉落去。」
(いいのかな?まん中のところなんか食らわせて)
(敢好?對中央攉分佢食?)
おろか者は不思議そうに首を振りながら戻ると、魚のまん中を切って犬に投げました。
這個戇牯感覺當奇怪搖搖頭,摎魚仔中央截切斷攉狗。
犬は大喜びで、魚を食べました。
該隻狗暢到會死摎魚仔食忒。
これで残っているのは、魚の尻尾だけです。
這下魚仔斯伸魚尾。
それでも犬は、尻尾が欲しくてワンワンほえました。
狗還係想食尾、ngong53 ngong53滾吠。
「お前は、なんて欲張りなんだ」
「你啊,仰會恁貪心!」
おろか者は、またまたお医者さんのところへ行きました。
戇牯再過去醫生該位。
「頭もまん中も食らわせたのに、まだワンワンほえている。どうしたらいい?」
「頭截、中央截,都拿分佢食忒了,狗還係ngong53 ngong53滾吠,𠊎愛仰做正好?」
お医者さんはとうとう腹を立て、大声で言いました。
醫生包尾發閼了,大聲講:
「いいかげんにしろ!頭もまん中も食らわせて逃げないなら、尻尾をつかんで思いっきり遠くへ投げとばせ」
「儘採好!若係無論頭也係中央擲還係毋走,該就抓尾愛擲幾遠就幾遠。」
(なるほど。遠くへ投げとばせばいいんだな)
(有影。愛擲幾遠就幾遠。)
おろか者は戻ってくると、残っている魚の尻尾をつかんで庭へ出て、思いっきり遠くへ投げつけました。
戇牯倒轉來後,抓著伸个魚尾,走去花園,出力擲當遠去。
犬はそれを見てかけ出すと、落ちた魚の尻尾をくわえてそのまま逃げてしまいました。
狗看著飆等出去,摎跌下來个魚尾截食忒,斯尾瀉屎毋知走哪去了。
「やれやれ、これでやっと静かになったぞ」
「好了、好了,這下恬靜多了。」
おろか者は、ほっとしました。
戇牯輕鬆了。
さて、しばらくすると、お医者さんがやってきて言いました。
過後,無幾久醫生過來,問講:
「どうだ、魚の料理は出来たか?」
「仰般,魚仔料理煮好吂?」
するとおろか者は、にこにこして答えました。
戇牯笑咪咪講:
「はあ、だんなさまの言う通り、犬に頭を食らわせ、まん中を食らわせ、尻尾を遠くへ投げたら、犬はやっといなくなった」
「照你講个方法,先拿頭那分佢食,過拿中央分佢食,魚尾擲遠遠,狗總算走忒了。」
それを聞いたお医者さんは、びっくりです。
聽恁樣講个醫生嗄著驚。
「なに、犬に魚を食らわせただと! わしが食らわせろと言ったのは、殴れという事だ。そして尻尾をつかんで投げるのは、魚ではなく犬の方だ!」
「仰會拿魚仔分狗食!𠊎講个毆狗、捉等尾㧒忒係捉狗尾毋係捉魚尾!」
「はあ、それならそうと、言って下さればいいのに」
「ha24,係恁樣,早斯好講清楚。」
「・・・・・・」
「......」
お医者さんはあきれて、それ以上は何も言えなくなってしまいました。
醫生嗄戆忒,講毋出話來。
おしまい
煞咧
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