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7月30日の日本の昔話
鏡の中の親父
鏡肚个爺仔
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、田舎(いなか)では、カガミという物をほとんど知らなかった頃の話です。
頭擺頭擺,在莊下,還毋知『鏡仔』這種東西時代个故事。
ある若夫婦が、夫の父親と三人で仲良く暮らしていました。
一對後生夫婦摎爺仔感情盡好戴共下。
ところがある日の事、父親は急な病で死んでしまったのです。
毋過有一日,爺仔因為著急症過身。
大好きな父親に死なれた息子は、毎日毎日、涙にくれていました。
最愛厥爺仔个倈仔,逐日逐日目汁濫泔。
さて、ある日の事、その息子は気ばらしにと、江戸の町へ出かけました。
有一日,倈仔去江戶城散心。
そして町中をぶらぶらと歩いていると、店先においてあったカガミがピカリと光ります。
在街路逛來逛去時節,店仔面前有一隻金晶𥍉亮个鏡仔。
「おや?今のは何だろう?」
「哇?這係麼个?」
不思議に思った息子は、ピカッと光ったカガミをのぞいて見てびっくり。
感覺當奇怪个倈仔,看到金皙皙个鏡仔裡肚嗄著驚。
「死んだ親父に、こんなところで会えるとは!」
「會在這隻位所看著𠊎過身个爺仔!」
カガミにうつった自分の顔を父親と勘違いした息子は、なけなしのお金をはたいてそのカガミを買いました。
在鏡仔裡肚看著自家話著係爺仔个倈仔,拿出身上所有个錢,去買該隻鏡仔。
そしてそれを大事にしまうと、ひまさえあればのぞき込んでいました。
當重視佢,若有時間閒著,斯會去照一下。
そんな夫の行動を不思議に思った女房は、夫が昼寝(ひるね)をしているすきに、隠してあるカガミをこっそりのぞきこみました。
對老公个行為感覺盡奇怪个餔娘,在老公睡當晝時節偷偷走落去看囥等个鏡仔。
するとカガミの中には、とうぜん女房の顔がうつります。
在鏡仔裡肚,當然會照出餔娘个面。
しかしそれを見た女房は、血相(けっそう)を変えて怒りました。
但係,看到該个餔娘,黏時變面,火著了。
「なんとまあ! こんなところにおなごを隠しておるとは、それも、あんなブサイクなおなごを!」
「仰會恁樣,這種位所會囥個細妹仔,恁媸个細妹仔也愛!」
腹を立てた女房は、
當火著个餔娘、
ガシャーン!
gasiya-n!
と、大切なカガミを壊してしまいました。
恁重要个鏡仔分佢打爛淨淨。
「さあ、ブサイク女。よくもあたしからあの人を奪いやがって、はやく出て来い!」
「這下,媸嫲。你敢在𠊎這搶走吾老公,遽兜出來!」
女房は壊れたカガミをひっくり返してみましたが、もちろん誰も出てはきません。
餔娘摎打爛忒个鏡仔貶轉來尋,當然無人出來。
「ちくしょう。逃げたな!」
「畜牲,瀉走了哪!」
女房は気持ちよさそうに昼寝をしていた夫をたたき起こすと、こわい顔で言いました。
餔娘去喊醒心情像形當好樣、在該睡當晝个老公,面臭臭講:
「あんた!わたしに黙って、あんな所へおなごを隠しておるとは、どういう事!」
「老公,偷偷匿匿在該種位所囥個細妹仔,仰會恁樣!」
「はあ?おなご?何を一体・・・。ああっ!なんという事をしてくれた。あれにはわしの親
父が入っておったのに!」
「ha24!細妹仔?到底麼个...。啊!你講麼个?吾爺仔在裡該裡肚!」
「うそおっしゃい。ブサイクなおなごじゃったよ」
「講耗漦,係一個當媸个細妹仔哦。」
「何を言う。わしの親父だ!」
「你講麼个,係𠊎爺仔!」
そんなわけで、夫婦の大喧嘩が始まりました。
就為著這事情,兩公婆開始冤家泌背。
ちょうどそこへ、村一番の物知りの庄屋(しょうや)さんが近くを通りかかりました。
堵好,村內萬事通个村長經過。
「まあまあ、なにを喧嘩しておる。落ち着いて、わしに事情を話してみろ」
「噯,吵麼个?恬靜兜,講分𠊎聽看啊。」
そして二人の話を聞いた庄屋さんは、腹を抱えて大笑いです。
村長聽過兩儕講過以後,哈哈大笑。
「あははははっ。何じゃ、そんな事か。
「啊哈哈哈哈,麼个啊,為著該種事情?
それはな、カガミといって、自分の姿がうつる物じゃ。
就係人講个鏡仔,會照出自家樣相个東西。
亭主が見た親父さんと言うのは、自分の顔じゃ。
老公講看著个爺仔實際係老公佢自家个面貌。
そして女房が見たおなごも、自分の顔じゃ」
餔娘看著个細妹仔也係佢自家个面貌。」
庄屋さんの説明に、夫も女房も大笑いしました。
經過村長先生解釋,老公、餔娘都笑哈哈。
「なるほど、親父にしては若いと思った」
「原來係恁樣,難怪𠊎感覺爺仔恁後生。」
「あたしも、どうりで美人なおなごと思った」
「𠊎乜係,感覺鏡肚个『小三』當靚。
おしまい
煞咧
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