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8月16日の日本の昔話
犬が片足を上げておしっこをするわけ
狗滮尿仰會擎起一支腳
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、きっちょむさんと言う、とんちの上手な人がいました。
頭擺頭擺,有一個安到吉四六先生个人,當伶俐。
ある日の事、きっちょむさんが川のほとりを散歩していると、一人の侍が釣りをしていました。
某一日,吉四六先生在河壩脣散步个時節,看著一個武士在該釣魚仔。
するとそこへのら犬がやって来て、釣りをしている侍の足元で片足を持ち上げると、ジャージャーとおしっこをしたのです。
堵好一條野狗走過來,在釣魚武士腳下背擎起一隻腳,pia~pia~滾滮尿。
それに気づいた侍は、びっくりです。
注意著狗滮尿个武士嗄著驚。
「無礼者め!犬のぶんざいで、武士に小便をひっかけるとは!」
「無禮貌个東西!一條狗敢對武士滮尿!」
侍はかんかんに怒って、刀に手をかけました。
武士當閼,用手愛摎刀仔抽出來。
それを見つけたきっちょむさんが、あわてて侍にかけよります。
吉四六先生看著煞煞偎兼去。
「お侍さま、どうぞ、どうぞお待ちください!
「武士先生,請,請等一下!
犬の事なので、きっとお侍さまの足を木とかん違いしたのでしょう」
因為佢係一條狗,所以𠊎想定著係摎你个腳看做樹仔。」
「いや、かんべんならん!この場で切りすててくれるわ!」
「做,做毋得原諒!這下就愛㓾分佢死!」
「そこを何とか!犬に代わって、あやまりますので」
「養般!𠊎代表狗摎你會失禮!。」
「だめだ!あやまるのなら、その犬にあやまらせろ!」
「做毋得!愛會失禮乜係狗來會失禮!」
犬にあやまらせるなんて無理な話ですが、侍は聞き入れません。
喊狗來會失禮,這種恁無道理个話,毋過武士根本毋聽。
するときっちょむさんは犬のそばに近よって、犬とひそひそ話をはじめました。
過後,吉四六先生行到狗脣頭,摎狗細聲講話。
そしてそれがすむと、侍に言いました。
講煞後,摎武士講:
「お侍さま。実はこの犬が、どうしてもあやまらないと言っています」
「武士先生。事實上,這條狗講仰般都毋想摎你會失禮。」
「なんじゃと!けしからん!なぜじゃ!」
「你講麼个!做毋得原諒!仰會毋會失禮!」
「はい、犬が言うには、犬が片足を上げて小便をするのは、神さまへの恩返しだからだそうです」
「係哦,狗講佢擎起一隻腳滮尿,聽講係因為愛感謝神明。」
「神さまへの、恩返しだと?!」
「謝謝神明?!」
「犬の話しによると、犬にはむかし、三本しか足がなかったそうです」
「照狗个講法,頭過狗斯有三支腳定定。」
「ほう」
「ho!」
「三本足では、何かと不自由です。
「三支腳當毋方便。
それで神さまがあわれと思って、犬にもう一本の足をくださったそうです」
神明帶念狗,另外分佢加一支腳。」
「なるほど、それで四本足になったというのか?」
「有影,所以這下个狗有四支腳?」
「はい。それで神さまにもらった方の一本に小便をかけては申し訳ないと、犬は片足を上げて小便をするようになったとのことです」
「係,所以為著毋好滮著神明另外分佢該支腳,狗會擎起一支腳來滮尿。」
「うむ」
「m11。」
「恩を忘れぬのが、人の道。小便をするにも神さまの恩を忘れぬ犬は、まことに立派な心がけです」
「食果仔拜樹頭係做人个道理,連滮尿時節都毋會毋記得神明个恩惠,這狗正係值得過尊敬。」
それを聞いた侍は、ニヤリと笑いました。
武士聽著笑咪咪講:
「なるほど、お前がうわさのきっちょむか。
「有影,你係傳說个吉四六先生無?
それを聞いては、犬を切るわけにはいかんな。
わかった。
聽你恁樣講,狗做毋得㓾死。
了解了,
小便もかわいた事だし、犬を許してやろう」
滮尿也恁講究,𠊎原諒狗好了。」
侍は機嫌をなおすと、また釣りをはじめたということです。
武士心情變好後,又開始釣魚了。
おしまい
煞咧
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