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8月31日の日本の昔話
お嫁さんになれなかったウグイス
做毋成新娘个黃鶯
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、とても美しい娘さんが、毎日のように村へやってきました。
頭擺頭擺,有一個非常靚个細妹仔,差毋多逐日會來村莊肚。
「なんて、きれいな娘だ。あの娘のむこになりたいな」
「還靚个細妹仔哪,𠊎想愛做厥老公。」
村の男たちは、みんなうっとりして娘さんを見つめました。
完村个細倈仔分佢迷到昏嗲嗲。
ある日の事、一人の男が、
有一日,一個細倈仔人,講:
「おら、何としても、娘のむこになってやるぞ!」
「𠊎,無論仰般愛做該個細妹仔个老公!」
と、娘さんのあとをつけていったのです。
斯跟細妹仔行。
そうとは知らない娘さんは、村を出るとどんどん山の方へ行きます。
毋知這情形个細妹仔,離開村莊後,漸漸向山頂行。
(はて、どこまで行くのやら?)
(唉,佢愛行去哪位?)
男が不思議に思いながらもついていくと、山の中に立派な屋敷があり、娘さんはその中へ入っていきました。
細倈仔感覺奇怪並再過跟等去,山頂有一間大座屋,細妹仔行落去。
男も急いで、屋敷に飛び込みました。
細倈仔乜煞煞走落大座屋。
(おや、誰もいないのかな?)
(唉哦,無人在敢?)
男がキョロキョロしていると、さっきの娘さんが出てきて言いました。
細倈仔當緊張在該東看西看時節,細妹仔出來講:
「何か、ご用ですか?」
「你有麼个事情係無?」
男は地面に手をついて、娘に言いました。
細倈仔伏下去對細妹仔講:
「頼む!何でもいう事を聞くから、おらをあんたのむこにしてくれ!」
「拜託!因為𠊎全聽你个,嫁分𠊎做餔娘好無!」
すると娘さんは、にっこり笑って言いました。
細妹仔開容笑面講:
「わたしは、この屋敷に一人で住んでいます。もしむこになりたかったら、三年の間、わたしのいるところを見ないで働いてください」
「𠊎一儕人戴在這座屋,若係你想做𠊎个老公,該就在𠊎該位做事三年,做毋得見面。」
「わかった、約束する」
「了解,斯恁樣約定。」
男は喜んで、さっそくこの屋敷で働くことにしました。
細倈仔當歡喜,黏時決定留在大座屋做事。
でも娘さんは奥の部屋にこもったきりで、二度と姿を見せません。
毋過,細妹仔在裡背間肚囥間角,毋識再過看著佢。
まきを割ったり、水をくんだりと、男は毎日一生懸命働きましたが、さみしくてたまりません。
破樵、㧡水,細倈仔逐日煞猛做事,但係佢非常孤栖。
それでもがまんして、娘との約束を守りました。
雖然恁樣,佢乜刻耐仔遵守約定。
そしていよいよ、あと六十日で三年になるという時、男はどうしても娘さんを見たくてたまらなくなりました。
包尾,在三年到期前六十日時節,細倈仔想見細妹仔,實在無法度再過忍下去了。
(たったひと目、ひと目だけなら大丈夫だろう)
(睞一眼,睞一眼就好。)
男はこっそり、娘さんのいる奥の部屋に行きました。
該個細倈仔偷偷行去裡背間肚。
部屋の前に立つと、中から静かにお経を読む娘さんの声が聞こえてきます。
企在房間面前後,聽著細妹仔在恬靜間肚唸經个聲音。
(お経か?どうしてお経なんか読むのかな?まあいいか)
(係佛經無?仰會愛唸佛經?煩惱佢。)
男はどきどきしながらふすまを少し開けて、そっと中をのぞいてみました。
細倈仔心肝哱哱跳,打開紙門,輕輕地向裡肚看。
すると娘さんは大きな三方の上に座って、一心にお経を読んでいました。
細妹仔坐在托仔(三方)頂背,全心唸經。
三方というのは、おもちやおそなえものをのせる台です。
托仔(三方)係一種放糕餅摎祭品器皿。
部屋の中だというのに娘さんの隣には梅の木が立っていて、美しい花が咲いていました。
講係間肚,但係細妹仔脣頭有一頭梅仔樹,開當靚梅花。
男がびっくりしてふすまを閉めようとすると、それに気づいた娘さんが急に泣き出しました。
細倈仔著驚,想愛摎紙門關起來時節,注意著个細妹仔,黏時開始噭。
男はあわてて、娘さんのそばへ行くと謝りました。
細倈仔慌慌張張走過去細妹仔該位會失禮。
「かんべんしてくれ。ただ、あなたをひと目見たくて」
「請原諒,𠊎斯想看你一眼就好。」
すると娘さんは、涙をこぼしながら言いました。
過後,細妹仔目汁含等講:
「わたしは、ウグイスです。あと六十日で一緒になれるというのに、どうして約束を守ってくれなかったのですか?このお経を読んでしまわないうちに人に姿を見られては、もう人間になることは出来ません」
「𠊎係一隻黃鶯。再過六十日俚斯做得共下,你仰會毋守約定?經唸忒以前分人看著就無法度變成人類。」
そのとたん娘さんが飛び上がり、男は気を失ってしまいました。
過後,細妹仔飛起來,細倈仔失魂嗄昏忒。
しばらくして男が目を開けると娘さんの姿も屋敷もなく、山の中に一人でぽつんと座っていました。
過一站仔,細倈仔醒了,擘開目珠,細妹仔、大座屋全無忒,伸佢一儕人孤孤單單坐在山頂。
男のそばには古い梅の木があり、花の咲いた枝の上で一羽のウグイスが鳴いていたそうです。
聽講,細倈仔脣頭有一頭老梅仔樹,一隻黃鶯在開花个樹椏頂叫無停。
おしまい
煞咧
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