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8月31日の日本の昔話
お嫁さんになれなかったウグイス
静岡県の民話 → 静岡県情報
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
制作 : 妖精が導くおやすみ朗読チャンネル
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投稿者 「ぐっすり眠れる優しいおやすみ朗読」
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投稿者 「眠りのねこカフェ」
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投稿者 「きべだよ。」
むかしむかし、とても美しい娘さんが、毎日のように村へやってきました。
「なんて、きれいな娘だ。あの娘のむこになりたいな」
村の男たちは、みんなうっとりして娘さんを見つめました。
ある日の事、一人の男が、
「おら、何としても、娘のむこになってやるぞ!」
と、娘さんのあとをつけていったのです。
そうとは知らない娘さんは、村を出るとどんどん山の方へ行きます。
(はて、どこまで行くのやら?)
男が不思議に思いながらもついていくと、山の中に立派な屋敷があり、娘さんはその中へ入っていきました。
男も急いで、屋敷に飛び込みました。
(おや、誰もいないのかな?)
男がキョロキョロしていると、さっきの娘さんが出てきて言いました。
「何か、ご用ですか?」
男は地面に手をついて、娘に言いました。
「頼む! 何でもいう事を聞くから、おらをあんたのむこにしてくれ!」
すると娘さんは、にっこり笑って言いました。
「わたしは、この屋敷に一人で住んでいます。もしむこになりたかったら、三年の間、わたしのいるところを見ないで働いてください」
「わかった、約束する」
男は喜んで、さっそくこの屋敷で働くことにしました。
でも娘さんは奥の部屋にこもったきりで、二度と姿を見せません。
まきを割ったり、水をくんだりと、男は毎日一生懸命働きましたが、さみしくてたまりません。
それでもがまんして、娘との約束を守りました。
そしていよいよ、あと六十日で三年になるという時、男はどうしても娘さんを見たくてたまらなくなりました。
(たったひと目、ひと目だけなら大丈夫だろう)
男はこっそり、娘さんのいる奥の部屋に行きました。
部屋の前に立つと、中から静かにお経を読む娘さんの声が聞こえてきます。
(お経か? どうしてお経なんか読むのかな? まあいいか)
男はどきどきしながらふすまを少し開けて、そっと中をのぞいてみました。
すると娘さんは大きな三方の上に座って、一心にお経を読んでいました。
三方というのは、おもちやおそなえものをのせる台です。
部屋の中だというのに娘さんの隣には梅の木が立っていて、美しい花が咲いていました。
男がびっくりしてふすまを閉めようとすると、それに気づいた娘さんが急に泣き出しました。
男はあわてて、娘さんのそばへ行くと謝りました。
「かんべんしてくれ。ただ、あなたをひと目見たくて」
すると娘さんは、涙をこぼしながら言いました。
「わたしは、ウグイスです。あと六十日で一緒になれるというのに、どうして約束を守ってくれなかったのですか? このお経を読んでしまわないうちに人に姿を見られては、もう人間になることは出来ません」
そのとたん娘さんが飛び上がり、男は気を失ってしまいました。
しばらくして男が目を開けると娘さんの姿も屋敷もなく、山の中に一人でぽつんと座っていました。
男のそばには古い梅の木があり、花の咲いた枝の上で一羽のウグイスが鳴いていたそうです。
おしまい
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