福娘童話集 > きょうの日本昔話 福娘童話集 きょうの日本昔話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 


福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 10月の日本昔話 >果報者(かほうもの)と阿呆者(あほうもの)

10月24日の日本の昔話

果報者(かほうもの)と阿呆者(あほうもの)

果報者(かほうもの)と阿呆者(あほうもの)
山口県の民話山口県情報

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「眠りのねこカフェ

♪音声配信(html5)
音声 ヤマネコギン

 むかしむかし、長門の国(ながとのくに→山口県)の北浦のある里に、とても貧しい夫婦が住んでいました。
 二人はわずかな田んぼをたがやし、山から拾ってきた薪(たきぎ)を売って、ようやくその日の暮らしをたてていました。

 ある日の事、だんなが女房にこんな事を言いました。
「毎日毎日、汗水流して働いているのに、わしらの暮らしは少しも良くならんな。わしは、もう働くのにあきてしもうた」
 すると女房が、こう言いました。
「確かに、そうですね。
 そう言えばこの間、大寧寺(だいねいじ)の和尚さんが説教で『果報は寝て待て』と言っていましたよ。
 あわてずに寝て待っていれば、良い事は向こうからやって来るんだそうです。
 あなたもひとつ、果報を寝て待ってはどうですか?」
「なるほど、寝て待てばいいのか。そいつは楽だ」
 そこでだんなは、その次の日から寝てばかりいました。
 しかし果報は、いつまでたってもやって来ません。

 そんなある満月の夜、寝ながら果報を待っていただんなが大声で叫びました。
「おい、こっちへ来てみろ。ほれほれ、この天井窓から、お月さんのウサギが餅をついとるのがよく見えるぞ」
「あら、ほんとうね」
 確かに、天井窓からお月さんのウサギがはっきりと見えました。

 さて、この話がたちまち村中に広がり、月夜の晩には大勢の村人たちが夫婦の家へ集まって来て、天井窓から月をのぞくようになりました。
 それがやがて、
「あの家の天井窓からウサギの餅つきを拝んだ者には、果報が来るそうだ」
と、言ううわさなって、だんだん遠くからも人が集まって来るようになりました。
 そしてお月さんを見に来た人々がお礼のお金やお供物を置いて行くので、夫婦はたちまち大金持ちになったのです。
 ついに、果報がやってきたのです。

 喜んだ二人は、ぼろ家をこわして立派な家を建てると、もっとお金がもうかるようにと、十も二十も天井窓を取付けました。
 しかしどうしたわけか、新しい天井窓からはいくらお月さんをのぞいても、ちっともウサギの餅つきが見えないのです。
 やがて夫婦の家には、誰も来なくなりました。
 それどころか雨が降ると天井窓から雨もりがして、雨水で家が腐り始めたのです。
 困った二人は、大寧寺の和尚さんのところへ相談に行きました。
 すると和尚さんは、大声で笑いながら、
「あはははははは。人間は欲を起こすと、果報者も阿呆者になるという事じゃ」
と、言ったそうです。

おしまい

前のページへ戻る


    10月24日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
国際連合デー
きょうの誕生花
紅紫檀(べにしたん)
きょうの誕生日・出来事
2002年 Ado(歌手)
恋の誕生日占い
鋭い観察力を持ったミステリアスな女の子
なぞなぞ小学校
蚊のいない県は?
あこがれの職業紹介
コンビニエンスストア(経営者・店長)
 10月24日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
果報者(かほうもの)と阿呆者(あほうもの)
きょうの世界昔話
イチジクと男
きょうの日本民話
弘法井戸
きょうの日本民話 2
傘を広げる掛け軸の女
きょうのイソップ童話
オオカミとヤギ
きょうの江戸小話
ネズミの嫁入り
きょうの百物語
娘に化けた大ウナギ

福娘のサイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ