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10月25日の日本の昔話
馬の友だち
馬朋友
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもとんちの出来る人がいました。
頭擺頭擺,有一個安到吉四六先生个人,非常伶俐。
ある日の事、吉四六さんは馬にたきぎを積んで、町へ売りに行きました。
有一日,吉四六先生牽條背一堆樵个馬,去街路賣。
「たきぎ!たきぎはいりませんか~?」
「樵哦!有人愛買樵無?」
こう言いながら町を歩いていると、欲張りで有名な風呂屋の主人が、吉四六さんを呼び止めました。
在街路緊喊緊行个時節,貪心出名个浴堂頭家,喊吉四六先生頓恬一下。
ちなみにこの風呂屋は、以前、吉四六さんをだまして馬ごとたきぎを手に入れた、『餅屋の値段』の餅屋の友だちです。
這個浴堂頭家係頭擺摎吉四六先生个樵連馬做下騙走,係『甜粄店个價數 』故事肚該坎甜粄店个朋友。
もっとも、その餅屋は、後で吉四六さんに痛い目にあわされましたが。
毋過、該個甜粄店頭家、後來分吉四六先生搣耍到轉去。
「おい、そのたきぎは、一わ、いくらだ?」
「噯,該樵一綑幾多錢?」
「はい、一わ、十文でございます」
「哦,一綑十文錢。」
「そうか。では、その馬に乗せてあるのを全部買ってやろう。みんなで、いくらになる?」
「係啊?該馬背囊頂个東西總下𠊎愛,全部幾多錢?」
「はい、全部買ってくださるなら、五十文にしておきましょう」
「好,若係總下去,五十文就好!」
「よしよし。では、五十文を受け取れ」
「好,好,五十文拿去!」
「ありがとうございます」
「承蒙。」
値切りもしないで買ってくれたので、吉四六さんは、ほくほくして馬の背からたきぎを降ろしました。
連價都無講就買,吉四六先生當歡喜對馬背囊頂摎樵拿下來。
「では、みんなで、六ぱでございます」
「該,總下,六綑。」
すると風呂屋の主人は、怖い目をギロリとむいて、口をとがらせました。
浴堂頭家黏時變面,大聲咄。
「なんだこら!まだ、残っているではないか!」
「仰係恁樣!還有東西無拿著敢毋係?」
「えっ?そんなはずはありません」
「唉?無這種事情。」
「馬の背に、くらが残っているじゃないか!」
「馬背囊頂還有馬鞍毋係嘎!」
「えっ?」
「唉?」
「おれは、馬に乗せてある物を全部買う約束をした。
「𠊎頭下摎你聘過,該馬背囊頂个東西總下愛買。
だから馬の背に乗っているくらも、買った事になる。
所以馬背囊頂个馬鞍乜愛賣分𠊎了啊,
どうだ、文句があるか!」
仰般,有麼个意見係無?!」
「あっ、これは、しまった!」
「啊,這還無結煞哦!」
吉四六さんは、思わず叫びました。
吉四六先生大聲噦出來。
「どうだ、吉四六さん。おれは餅屋とは、ひと味違うぞ。わはははははは」
「仰般,吉四六先生,𠊎摎甜粄店頭家無共樣哦。哇哈哈哈哈哈。」
(そうか、あの餅屋と風呂屋は友だちだったんだ。これは、油断したな)
(係哦,這個甜粄店頭家摎浴堂頭家係好朋友,這愛細義兜。)
さすがの吉四六さんも、素直に馬からくらを下ろして、こそこそと帰って行きました。
連吉四六先生乜乖乖摎馬鞍拆下來,鼻孔摸一下行等轉去。
でも、これで引き下がる吉四六さんではありません。
毋過,吉四六先生到這下為止並無放佢過。
その翌日、吉四六さんがひょっこり風呂屋ののれんから首を出しました。
第二日,吉四六先生个頭那忽然間對浴堂个布簾鑽出來。
「おお、吉四六さん。なんだ、またたきぎを売りに来たのか?」
「喔,吉四六先生,仰般,又來賣樵係無?」
主人は勝ち誇った顔で、番台の上から声をかけました。
主人威風凜凜在櫃台大聲講。
すると吉四六さんは、にっこり笑って、
吉四六笑咪咪應講:
「いや、今日は別の用事で町へ来たのだが、あまりにも寒いので風呂に入りたいと思ってね。風呂賃は、いくらだい?」
「毋係,今晡日為著別項事情來街路,因為當冷所以想愛洗身,洗一擺身愛幾多錢?」
「風呂賃は、十文だよ」
「洗身錢,十文錢哦。」
「そうか。しかし、おれだけじゃなくて、友だちも入りたいと外で待っているんだ」
「係無?毋過毋只𠊎一儕,有一個朋友乜想洗,這下在外背等。」
「じゃ、二人で二十文だ」
「該,兩儕二十文錢。」
「でも、その友だちは、とても大きい奴で」
「毋過,該個朋友非常大箍哦。」
「はっはっはっ。いくら大きくたって、風呂賃に違いはないよ」
「哈哈哈,毋管幾大箍洗身錢共樣啦。」
「そうか。じゃあ、友だちを連れて来るよ」
「係啊,無𠊎來去渡𠊎朋友落來。」
そう言って吉四六さんは風呂賃の二十文を払って外に出て行きましたが、やがてパカパカと大きな足音がしたかと思うと、番台の前に馬の顔が現れて、
講煞,吉四六先生就撿了二十文洗身錢,斯去外背,一下仔聽著當大个腳步聲,一條馬企在櫃台面前。
「ヒィーーン」
と、いななきました。
「hiーーn。」馬大聲噦嘶。
風呂屋の主人は、飛び上がって驚きました。
浴堂頭家嚇到跳起來。
「うあっ!吉四六さん、乱暴をするな。馬は外につないでおきな」
「啊!吉四六先生毋好濫糝來,馬牽出去外背綯。」
「なに、この馬も一緒に湯に入るんだよ」
「麼个呀,這馬乜愛共下去洗身唷。」
「ばっ、馬鹿な!」
「戇、戇牯!」
「だって、風呂賃は、ちゃんと払ってあるだろう」
「毋過𠊎二十文洗身錢撿分你了啊。」
「では、吉四六さんが言っていた大きな友だちとは、この馬の事か?」
「該你頭下講大箍朋友就係這條馬係無?」
「そうさ。この馬が、おれの大きな友だちさ。では友だち、一緒に入ろうか」
「係啊,這條馬係吾大箍朋友,朋友做得共下落去無?」
「ま、ま、待ってくれ!」
「等、等、等下!」
風呂屋の主人は、すぐに番台から飛び降りると、
浴堂頭家黏時對櫃臺走下來講:
「吉四六さん、おれが悪かった。風呂賃もくらも返すから、どうかそれだけは、かんべんしてくれ」
と、平謝りに謝ったそうです。
「吉四六先生,係𠊎毋著,洗身錢摎馬鞍全部還你,該擺个事情請你原諒好無。」
摎佢會失禮。
おしまい
煞咧
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