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11月10日の日本の昔話
ほうびの米俵
獎賞个米袋
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、彦一(ひこいち)と言う、とてもかしこい子どもがいました。
頭擺頭擺,一個安到彥一个細人仔,非常聰明。
殿さまが死んで若さまが殿さまになってから、何年かたったある日の事です。
國主大人死忒後,後生公子繼承國主後,經過幾下年後个事情。
彦一の家に、お城から使いが来て言いました。
城肚派一個使者來彥一屋下。
「殿さまが、お前にほうびをつかわすそうじゃ。城にまいるがよい」
「國主大人想愛褒獎你,來去城肚。」
それを聞いて、彦一は首をひねりました。
聽著後,彦一頭側側想,
「はて、何をくださるおつもりじゃろ?
「哦,愛頒麼个分𠊎?
若さま、・・・いや殿さまは、気前(きまえ)が良いからな。
後生公子、・・・毋著,國主大人,還大方哪。
ほうびがたくさんあると持ちきれないから、ねんのためにウシをひいていこう」
無定分當多獎品會拿毋轉,牽條牛來去較穩當。」
彦一が牛をひいてお城にあがると、殿さまが言いました。
彦一牽條牛落城肚時節,國主講︰
「これ、彦一。ちこうよれ。そちのとんちのかずかず、あいかわらず城でもひょうばん。おかげで、父上なきあとのこの城もほがらかじゃ。よって、ほうびをとらす」
「噯,彦一,行兼來,該片各種智慧在這片乜共樣恁出名,打幫你,這隻城自吾爸過身以後,還係恁繁榮,所以愛獎勵你。」
「はーっ、ありがたき幸せにぞんじます」
「haーd,實在感謝你。」
「では、彦一へのほうびをもて」
「該,分彦一个獎品拿過來。」
お殿さまが手をたたくと、家来が一本の刀と米俵(こめだわら)を持ってきました。
國主拍手後,管家拿一支刀仔摎米袋過來。
(何だ、米俵は一つか)
(麼个東西,一袋米?)
どうせなら米俵をもう一俵ほしいと思った彦一は、牛の背中の片方に刀をくくりつけ、もう片方に米俵をくくりつけました。
仰般想乜愛拿加一袋米个彦一,斯摎刀仔綯在馬背囊一片析、另外一片析綯米袋。
刀は軽いけれど米俵はズッシリと重いので、牛はバランスがとれません。
刀仔較輕,米袋當重,牛嗄偏走去企毋穩。
牛は体がななめになって、うまく歩くことが出来ませんでした。
牛膴身企毋直,行毋好勢。
彦一はそれを見てにんまり笑うと、わざと牛にむかって怒り出しました。
彦一看著該笑咪咪,挑挑大聲咄牛。
「こら!お前というやつは牛のぶんざいで、お殿さまからいただいた片方のごほうびを重んじ、もう片方をかろんずるつもりか!さあ、はやく歩かんか!」
「噯,你這條牛,看重一片國主送个東西,看輕另外一片。」
しかし牛はうまく歩けず、ついに座りこんでしまいました。
毋過,牛還係行毋正,包尾搵落去。
「はて、これはこまった。せっかくお殿さまからいただいたごほうびをなのに。ここにもう一俵の米俵があれば、牛はうまく歩けるのだが」
「還無結煞哪,難得在國主該位領著獎賞,假使再過拿加一袋,牛會較好勢行。」
彦一がわざとこまっていると、お殿さまが家来に言いつけました。
彦一詐意無結無煞樣,國主摎管家講︰
「彦一に、米俵をもう一俵つかわしてやれ。・・・やれやれ、まったく大したとんちだ」
「再過拿一袋米分彦一,・・・好了,好了,實在係大智慧者。」
牛は米俵を左右につけてもらうと、今度は調子よく歩き出しました。
牛背囊兩片綯米袋後,這下穩穩行等走。
おしまい
煞咧
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