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11月21日の日本の昔話
石のいも
石頭蕃薯
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、ある村に、空海(くうかい)という名のお坊さんがやって来ました。
頭擺頭擺,有名个空海和尚來到某村。
お坊さんは朝から何も食べずに、山をこえて谷を渡り、やっとこの村にたどりついたのです。
和尚師父朝都無食,就翻山過嶺,正來到這村莊。
「ああ、腹がへった。目が回りそうじゃ」
「啊,肚屎枵到變背囊,枵到會昏忒樣。」
すると向こうから、一人の女の人が歩いてきました。
一個細妹仔在對面行過來。
女の人は、畑から帰って来たところでした。
細妹仔係做園事收工轉來。
手にザルをかかえ、その中にはおいしそうなイモがいっぱい入っていました。
手擐一隻竹籃,籃肚張當多盡好食个蕃薯。
それを見て、お坊さんは思わず声をかけました。
和尚師父看著該,斯開聲講︰
「お願いじゃ、そのザルの中のイモを一つでいい、わしにくだされ」
「拜託,籃肚个蕃薯一條斯好,請你分𠊎食。」
女の人は、ジロリとお坊さんを見ました。
細妹仔用目珠䁯和尚師父。
(ふん。なんて汚い坊主だろう)
(哼,仰有恁律不个和尚。)
この女の人は、みすぼらしいお坊さんにイモをあげるのがいやだったので、
這個細妹仔,毋肯摎蕃薯分該寒酸个和尚師父。
「それは残念。このおイモは、食べられませんよ」
と、言いました。
講︰「實在遺憾,這兜蕃薯食毋得哊。」
「えっ、どうして?」
「唉,仰會恁樣?」
「これは、おイモそっくりの石なんです」
「這係當像蕃薯个石牯。」
「石ですか。それは仕方がない」
「石牯係無?該就無法度。」
お坊さんは頭を下げると、またトボトボと道を歩いていきました。
和尚師父犁下頭行禮後,又無氣無脈當失望行等走。
「うふふ。うまくいったわ。だれが、大事なおイモをあげるもんですか」
「呵呵,還好騙哇,麼儕會摎恁寶貴个蕃薯分你?」
次の年の秋になりました。
到了第二年秋天。
「今年も、おいしいおイモがたくさん取れますように」
「希望今年也有當多好食个蕃薯收成。」
あ女の人は大きなザルをかかえて、自分の畑に行きました。
該個細妹仔手擐一隻竹籃,行去自家个園。
さっそく畑の土をほり返してみますと、去年よりも大きなイモがどんどんと出てきます。
煞煞改園泥來看,比舊年个較大个蕃薯一條一條改起來。
「今年は豊作だわ。それにズッシリと重くて、よく実がつまっている。・・・しかし、本当に重た
いわね。まるで石みたい。・・・あれ、これは!」
「今年大豐收哇,重鈂鈂一大拖拉,‧‧‧毋過,實在還重呢,像石牯樣,‧‧‧唉,這係麼个!」
イモだと思っていたのは、イモそっくりの石だったのです。
原旦話著係蕃薯,結果係生著摎蕃薯共樣个石牯。
「あら、これも、これも、これも、ぜんぶ石だわ!」
「啊,這乜係,這乜係,這乜係,全部係石牯。」
女の人の畑のイモは、全てイモにそっくりな石だったのです。
細妹仔園肚个蕃薯全係生著摎蕃薯共樣个石牯。
その時、女の人は去年の今ごろ、お坊さんにうそをついた事を思い出しました。
該當時,細妹仔想起舊年个這時節,對和尚師父講花蓼个事情。
「ああ、あの時、わたしがうそをついたから、神さまが天罰(てんばつ)をあたえたんだわ」
「啊,該當時,因為𠊎講花蓼,這下分神明責罰了。」
女の人は反省して、それからは貧しい人にほどこしをする心やさしい人になりました。
細妹仔反省後,自該擺以後,變一個會布施窮苦人、當善心个人。
おしまい
煞咧
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