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11月26日の日本の昔話
灰まき童子
委灰童子
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、あがり長者とよばれる屋敷と、いり長者とよばれる屋敷がありました。
頭擺頭擺,貪心有錢人个大座屋摎落難有錢人个大座屋兩座大座屋。
でも、いり長者はあがり長者にだまされて、屋敷に住むお母さんと十五歳の息子は毎日の食べる物にも困る貧乏になっていました。
但係,落難有錢人分貪心有錢人騙著,屋下苦到厥姆摎十五歳个倈仔逐日愛食个東西都有問題。
ある夜、いり長者の息子はあがり長者の屋敷へ、お米とみそを借りに行きました。
某暗晡,落難有錢人个倈仔去貪心有錢人屋下,借米摎米醬。
でも、あがり長者は
毋過,貪心有錢人,
「貧乏人のくせに、米とみそを食うつもりか?ほしけりゃ、庭のもみがらでも持って行け」
「窮苦人也想食米摎米醬?若需要庭院个穀拿兜去。」
と、意地悪を言って戸を閉めてしまいました。
惡豺豺講又摎門關忒。
いり長者の息子がその事をお母さんに話すと、お母さんは芭蕉布(ばしょうふ→沖縄および奄美諸島の特産で、芭蕉の繊維で織った布)を差し出して言いました。
落難有錢人个倈仔摎這情形講分厥姆聽,阿姆拿出芭蕉布(沖縄摎奄美諸島个特産、用芭蕉个繊維來織个布仔。)
「それなら、この芭蕉布を売って、お米とみそを買っておいで。最後の一枚だけれど、仕方がありません」
「若係恁樣,這芭蕉布拿去賣,買兜米摎米醬轉來,這係最尾一匹,實在無法度。」
息子はうなずいて、町へ売りに出かけました。
倈仔點點頭斯去街路。
ところが途中の道で子どもたちがネズミをいじめているのを見かけると、息子は思わず声をかけました。
毋過在半路看著一群細人仔在該欺負老鼠,斯大聲講︰
「この芭蕉布をやるから、ネズミを逃がしておやり」
「這芭蕉布分你兜,老鼠放佢走。」
子どもたちは、芭蕉布とネズミを喜んで交換しました。
該兜細人仔,歡歡喜喜用老鼠換著芭蕉布。
息子はネズミをふところに入れて家に帰り、お母さんに話しました。
倈仔摎老鼠放在袋肚轉去屋下,摎厥姆講。
「そう。それは、仕方ありませんね」
「該無法度。」
お母さんは少しだけ残っていたアワで、おかゆをたきました。
阿姆用伸著一息仔个米煮糜。
すると、ふところのネズミがすっと屋敷を出て外へ行き、どこからか財布(さいふ)をくわえてもどって来ました。
過後,袋肚个老鼠直直走出屋下,毋知在哪位拿錢包轉來。
「おやまあ、ネズミの恩返しですね」
「阿姆哀,老鼠報恩呢!」
お母さんと息子は財布をご先祖さまにお供えして、にっこり笑って眠りました。
阿姆、倈仔摎錢包供奉在祖先个神桌頂,笑咪咪睡忒。
その夜、お母さんはこんな夢を見ました。
該暗晡,阿姆發這種夢。
ネズミがきちんと座って、こう言うのです。
老鼠坐等正正,講︰
「わたしは息子さんに、命を助けてもらいました。
「若倈仔救過𠊎个命。
先ほどの財布は、ご恩返しです。
頭先該錢包係愛報答你个。
でもわたしの気持ちは、あれだけではすみません。
該係𠊎个心意,失禮斯一息仔意思定定。
あの財布に入っているお金で、まだらの三つある犬を買って育ててください」
用該錢包个錢買條身上有三隻花點个狗來畜。」
翌朝、お母さんは息子に夢の話をして町へ行き、まだらの三つある犬を探して買って帰りました。
第二朝晨,哀仔摎夢著个事講分倈仔聽,去街路尋到一條身上有三隻花點个狗買轉來畜。
犬はとても元気がよくて、あまりご飯を食べさせなくてもすぐに大きくなりました。
狗个非常康健,毋使食幾好就會大盡遽。
そして山へ行って、自分よりも大きなイノシシをつかまえて来るようになったのです。
去到山頂,做得捉著比自家較大个山豬。
親子はそのイノシシを売って、少しだけお金持ちになりました。
兩子哀摎山豬肉拿去賣,無幾久就變有錢人。
そんなある日、あがり長者がやって来てたずねました。
某日,貪心有錢人過來問。
「お前たち、ついこの前まで米もみそもない暮らしをしておったのに、なんで金持ちになったのじゃ?」
「你兜頭過連過日仔个米、米醬都無,仰會這下變恁有錢。」
お母さんと息子は、これまでの事を話しました。
兩子哀講出到目前為止發生个事情。
「なるほど、それならおれにも、その犬を貸してくれ」
「原來恁樣,該狗借𠊎!」
欲張りのあがり長者は、むりやり犬を連れて帰りました。
貪心有錢人,強強摎狗渡轉去。
お母さんも息子も、あがり長者がすぐに犬を返してくれるだろうと思っていました。
兩子哀想貪心有錢人會黏時還狗。
でも三日たっても、犬はもどってきません。
毋過,過忒三日狗還係無還。
二人は心配になってあがり長者の屋敷へ行くと、あがり長者が言いました。
兩子哀當煩惱,斯去貪心有錢人屋下,あがり長者講︰
「あの犬はひどい犬で、死んだブタやらくさったネコの死体やらを運んできたんじゃ。だから殺して、こえだめに捨てた」
「該條得人驚个狗,連死忒个豬仔無斯臭風个貓仔个身ㄕ都拿過來,㓾忒了,㧒到堆肥場。」
お母さんと息子はこえだめから犬を抱きあげると、泣きながら自分の家の庭に埋めました。
兩子哀去堆肥場摎狗揇起來後,緊噭緊摎佢埋在自家庭院肚。
それから何日かすると、そこから竹の子が出て来ました。
過了幾下日後,該位生出竹筍。
「お母さん、見てください」
「阿姆,你來看。」
息子がお母さんを呼びに行くと、竹の子はグングン天にむかって伸び続けています。
徠仔去喊哀仔時節,竹筍連連續續向天頂長出去。
そして竹の子は、なんと天の国の米倉を突き刺したのです。
過後,竹筍仰會刺著天國个米倉。
天の国のお米が、ザザザーッと雨の様に降ってきました。
天國个米sa11sa11滾像落水樣落下來。
「おやまあ、米の雨だわ!」
「阿姆哀,落米个水哇!」
お母さんと息子は、喜んでその米をひろい集めました。
兩子哀歡喜壢天摎米收起來。
それから二人はそのお米を売って、ますますお金持ちになりました。
自該以後兩子哀摎米拿去賣,漸漸發起來。
しばらくして、あがり長者がやって来ました。
無幾久,貪心有錢人就走過來。
のんびり暮らす二人を見て、あがり長者がたずねます。
看著悠閒過日仔个兩子哀,貪心有錢人就問講︰
「犬がいなくなったのに、お前たちはなんでこんな良い暮らしをしとるんじゃ?」
「狗無在了,你兜仰會過著恁好个日仔呢?」
お母さんと息子は、天から降って来たお米の話をしました。
哀仔摎倈仔講岀天頂落米个水个故事。
するとあがり長者は、犬を埋めたところを掘り返して、
過後,貪心有錢人斯去埋狗个位所摎狗挖起來。
「二、三日かりるぞ」
「借二、三日就好。」
と、犬の骨を残らず持って帰りました。
講煞,就摎狗骨頭一垤無伸拿轉去。
ところが三日たってもあがり長者が犬の骨を返しに来ないので、二人はあがり長者の屋敷に出かけて行きました。
毋過,經過三日了,貪心有錢人無拿狗骨頭來還,兩子哀斯去あがり長者屋下。
するとあがり長者は、今にも飛びかかって来そうな勢いで怒鳴りました。
所以貪心有錢人,用像人黏時愛躍起來个勢頭大聲講︰
「お前たちの言うように、確かに竹の子が出て天を突き破った。
「像你兜講个恁樣,竹筍確實生當高刺爛天頂。
だが突き破ったところは、天の国の便所じゃ。
毋過,刺爛个位所係天國个便所。
おかげで屋敷中に汚い物が降って来て、えらい目に合ったぞ!
落下屋肚來个全係屙糟東西,實在還衰哪!
だからあんな骨、浜の大岩のそばで焼いてやったわい!」
所以該兜骨頭,在海脣大岩石脣頭燒淨淨了。」
お母さんと息子は浜辺の大岩へ走って行き、焼かれた骨を大事に包んで帰りました。
哀仔摎倈仔行去海脣大岩石脣頭,摎燒个骨灰包好好拿轉去。
「どこか美しいところに、まいてやりましょう」
「尋隻風景好个位所來埋。」
次の日、二人は山へ出かけました。
第二日,兩儕行去山頂。
山の奥へ入っていくと、しげみからいきなり大きなイノシシが五頭も飛び出して来ました。
去到深山後,忽然間有五條山豬走出來。
息子は骨を焼いた灰をつかむと、
倈仔扡起骨灰,講︰
「お前は、元は強くて立派な犬だったぞ。あのイノシシたちを、やっつけてくれ!」
「你原旦係一條當砸當派頭个狗,去摎該兜山豬捉著來!」
と、イノシシに灰を投げつけました。
講煞就摎骨灰委向山豬。
すると灰がイノシシの目に飛び込んで、イノシシの目をつぶしたのです。
過後骨灰飛落山豬目珠肚,摎厥目珠舞青瞑忒。
目が見えなくなったイノシシは、お互いに頭をぶつけてけんかになりました。
目珠看毋著个山豬,頭那相撞,相搥鬥打。
そして一頭のイノシシが死んで、残りの四頭はどこかへ逃げてしまいました。
過後,一條山豬死忒,伸个四條無知瀉到那位去。
「お母さん、イノシシなべを食べて、元気を出しましょう」
「阿姆,食兜山豬鑊,會較有元氣。」
二人がなべをつついていると、あがり長者がやって来ました。
兩子哀當當食山豬鑊時節,貪心有錢人走過來。
「お前たちは、犬の骨を灰にしてやったというのに、なんでイノシシなど食べれるのじゃ?」
「你兜,狗骨頭摎你燒做灰了,仰會還有山豬該兜好食呢?」
お母さんと息子は、山の中での出来事を話してきかせました。
哀仔摎倈仔就將山頂發生个事情講分佢聽。
するとあがり長者は、残った灰を全部持って帰りました。
所以,貪心有錢人摎伸著个骨灰,總下帶轉去。
翌日、あがり長者は灰を持って、山へ出かけました。
第二日,貪心有錢人拿等骨灰去山頂。
すると草のしげみから、四頭のイノシシが出てきました。
草竇肚走出四條山豬。
あがり長者は灰をにぎって、四頭のイノシシめがけて投げつけました。
貪心有錢人抓一抓骨灰,看準四條山豬擲過去。
「お前は、元は強くて立派な犬じゃったぞ」
「你原旦係一條當砸當派頭个狗。」
でも灰は風に流されて、どこかへ消えてしまいました。
毋過分風吹走,飛到毋知哪位去了。
それを見たイノシシたちは、人間の声で言いました。
看著該情形个山豬,用人類个聲講︰
「こいつが昨日、仲間の目をつぶしてけんかさせた悪い人間だ!殺してしまえ!」
「這個傢伙昨晡日,摎共伴个目珠舞青瞑,害佢兜冤家个壞人!㓾分你死!」
「うわあー!」
「哇!」
あがり長者は四頭のイノシシにおそわれて、二度と帰ってこなかったそうです。
貪心有錢人分四條山豬嚇著,聽講無再過倒轉去屋下。
おしまい
煞咧
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