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福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 12月の日本昔話 > 貧乏神のわらじ

12月6日の日本の昔話

貧乏神

貧乏神のわらじ
窮苦神个禾稈鞋

福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「ちょこもち」  ちょこもち

♪音声配信(html5)
音声 ZAN

むかしむかし、藤兵衛(とうべえ)というお百姓(ひゃくしょう)がいました。
頭擺頭擺,有一個安到藤兵衛个農民。


毎日毎日がんばって働くのですが、いくら働いても暮らしは楽になりません。

逐日煞猛做事,毋過,還係無鬆爽个日仔好過。


そのうちに、子どもたちに食べさせる物もなくなっていまいました。

無幾久以後,連愛分細人仔食个東西都無。


「ああ、腹がへったよう」

「啊,肚屎還枵哦。」


「おっかあ、何かないの?」

「倈仔厥姆,麼个都無係無?」


「腹がへって、眠れないよ」

「肚屎枵到睡毋落覺。」


子どもたちにねだられても、家にはイモ一つありません。

雖然細人仔強強討,屋下連一條蕃薯都無。


「みんな、よく聞いてくれ」

「大家聽清楚!」


藤兵衛は子どもたちを集めると、悲しそうな顔で言いました。

藤兵衛摎細人仔喊過來,盡悲傷个面色講︰


「今まで一生懸命に働いてきたが、暮らしは悪くなる一方で、この冬をこせるかどうかもわからん。そこで、この土地をすててどこかよそで暮らそうと思うんだが」

「到今煞猛打拚,毋過生活越來越苦,今年冬下毋知過了得無?所以,想愛摎這所在忒佢,來去別位過日仔。


「おっとう、それは夜逃げか?」

「倈仔厥爸,半夜偷走係無?」


「まあ、そういう事じゃ。今出て行くと人目につくで、明日の朝早くに行こうと思う」

「這種事情,這下出去昶惹人,𠊎想韶朝晨走較好。」


その夜、藤兵衛が夜中に起きて便所に行こうとすると、納屋
(なや物置)からゴソゴソと音が聞こえてきました。
該暗晡,藤兵衛半夜䟘床想愛去便所,聽著細倉庫gosogoso響个聲。


(何じゃ?ドロボウか?今さら取られる物もないが)
(係麼个?賊仔係無?這下無麼个東西好偷啊。)


藤兵衛が見に行くと、納屋に見知らぬ老人がいました。

藤兵衛行過去看,細倉庫肚有一個生份个老阿公。


「誰じゃ、お前は?」

「麼人,你係?」


「おや、まだ起きとったか? わしは、
貧乏神(びんぼうがみ)じゃ」
「哦,還吂睡係無?𠊎窮苦神啦。」


「び、貧乏神じゃと?」

「窮、窮苦神?」


「そうじゃあ、長い事この家にいさせてもろうた」

「係哦,恁久以來戴你屋下,受你照顧。」


「そ、それで、その貧乏神が、こんなところで何をしている?」

「該,窮苦神,在該位做麼个?」


「何って、お前ら、明日の朝早くにここから逃げ出すんだろう? だからわしもいっしょに出かけようと思って、こうして
わらじをあんどったんじゃあ」
「麼个,你韶朝晨愛離開這位係無?𠊎乜想愛摎你共下走。」


そう言って貧乏神は、あみかけのわらじを見せました。

恁樣講後,斯摎禾稈鞋拿出來分人看。


それじゃもついてるつもりか?」
「照恁樣講,你按算等來係無?」


「そういう事じゃ」

「斯係恁樣形哪。」


「・・・・・・」

「・・・・・・」


藤兵衛は家に戻ると、おかみさんを起こしました。

藤兵衛倒轉屋下後,摎餔娘喊起來。


「おい、起きろ!大変じゃ!」

「噯,好䟘囉,事情大條了!


「うん?どうしたね」

m?仰般?」


「それがな、貧乏神が家の納屋におるんじゃ」

「該啊,窮苦神在屋下細倉庫。」


「貧乏神が?それで、いくら働いても暮らしが楽にならんかったんか」

「窮苦神?莫怪,較煞猛做事日仔乜過到毋好。」


「そうじゃ」

「係啊。」


「でも、わたしたちはこの家を出て行くんだから、もうどうでもええよ」

「毋過,愛徙屋了,由在佢了。」


「それが、違うんじゃ!貧乏神のやつ、わしらについて来ると言うんだ!」

「該毋係恁樣!窮苦神講跈恩俚共下去!」


「えっー!それなら、夜逃げをしても同じじゃないの」

ei!該恁樣,半夜偷走乜共樣。」


「ああ、そう言う事だ」

「啊,就係恁樣講。」


二人はがっかりして、夜逃げをする元気もなくなってしまいました。

兩儕都非常失望,連半夜偷走个氣力都無。


次の日の朝、貧乏神は新しいわらじを用意して、藤兵衛一家が出発するのを待っていましたが、いつまでたってもみんな起きてきません。

第二日朝晨,窮苦神準備好新个禾稈鞋,等藤兵衛一屋人出發,仰般等都等毋著佢兜䟘床。


「おそいなあ。もうすぐ日が登るのに、どないしたんだろう?

「還慢哪,黏時日頭會出來了,到底發生麼个事情?


確か、今朝夜逃げするはずだが、もしかすると明日だったかな?

確定,今晡日天吂光愛徙走,毋過可能,改韶早敢哪?


まあ、いい。

也好。


それなら明日まで、わらじをあんでおこうか。

該恁樣,天光日以前、來去打禾稈鞋。


どこに行くかは知らんが、わらじはよけいある方がええからな」

愛去哪都毋知,禾稈鞋先準備加兜較贏哪。


貧乏神は納屋に戻ると、せっせとわらじをあみ出しました。

窮苦神又倒轉細倉庫,盡命牯打禾稈鞋。


しかし次の日も、その次の日も、藤兵衛一家は家を出て行く様子がありません。

毋過,第二日,第三日,乜共樣,藤兵衛一屋人並無出門个樣仔。


貧乏神は毎日わらじをあみ続けていましたが、そのうちにわらじ作りが楽しくなって、いつの間にか納屋の前にはわらじの山が出来ました。

窮苦神逐日繼續打禾稈鞋,毋知哪量時嗄變當歡喜打禾稈鞋,打到細倉庫堆山塞海恁多。


こうなるとそのうち
わらじをわけてほしいという村人がやってました
該下,當多村民來討禾稈鞋。


すると貧乏神は、気前良くわらじをわけてあげました。

窮苦神當大方摎禾稈鞋分大自家。


「さあ、どれでも好きな物を持っていきなされ」

「大自家做得拿自家中意个東西。」


「すまんのう」

「失禮。」


「ありがたいこっちゃあ」

「承蒙。」


村人は次
とやってきて、大喜びでわらじを持って帰りました。
村民弛崗打陣過來,歡歡喜喜拿著禾稈鞋轉去。


それを見た藤兵衛は、良い事を思いつきました。

看著个藤兵衛,想著一件好事。


「そうじゃ。あのわらじを売ればいいんじゃ」

「係哪,禾稈鞋做得拿去賣。


さっそく藤兵衛は貧乏神のあんだわらじを持って、町へと売りに行きました。

藤兵衛煞煞摎窮苦神打个禾稈鞋拿去街路賣。


「さあ、丈夫なわらじだよ。安くしておくよ」

「盡耐著个禾稈鞋哊,當便宜哊。


すると貧乏神のわらじは大人気で、飛ぶように売れました。

過後,窮苦神个禾稈鞋非常受歡迎,一下仔賣淨淨。


けれどやっぱり、暮らしは楽になりません。

但係,日仔還係本本毋鬆爽。


「やっぱり貧乏神がいては、貧乏から抜け出せんなあ。

「總講窮苦神還跈等,無法度脫離窮苦。


こうなったら何とかして、貧乏神に出て行ってもらおう」

到這種地步,愛想辦法摎窮苦神逐走。」


藤兵衛はわらじを売ったお金でお酒やごちそうを用意して、貧乏神をもてなしました。

藤兵衛用賣禾稈鞋賺著个錢,準備酒菜,招待窮苦神。


「貧乏神さま、今日はえんりょのう食べて、飲んでくだされ」

「窮苦神大神,今晡日請你盡量食,盡量


「これはこれは、大変なごちそうじゃなあ」

「這啊,非常豐沛哪。」


「はい、貧乏神さまがわらじをあんでくださるおかげで、たいそう暮らしが楽になりました。ささっ、これも食べてくだされ。これも飲んでくだされ」

「打幫你打恁多禾稈鞋,生活變輕鬆盡多,請你食這,啉這


「そうかそうか。それじゃ、よろこんでいただくとしようか」

「係無、係無、該就歡歡喜喜來享用。」


貧乏神はすすめられるままに、飲んだり食べたりしました。

窮苦神照人勸,盡量食盡,盡量啉。


そのうちに、すっかり酔っぱらった貧乏神は、藤兵衛にこう言いました。

該下,醉摸摸个窮苦神摎藤兵衛恁樣講︰


「いや~、すっかりごちそうになってしもうた。・・・しかし、こんなに暮らしが良くなっては、わしはこの家におれんな。今まで世話になったが、もう出て行くわ」

「唉哦,分你請了恁豐沛,・・・毋過,生活像這恁好,這𠊎戴毋下去,到這下還麻煩你,𠊎愛走了。」


そして貧乏神は自分で作ったわらじをはいて、家から出て行ったのです。

所以,窮苦神著等自家編个禾稈鞋,行出屋下。


藤兵衛とおかみさんは、顔を見合わせて大喜びしました。

藤兵衛兩公婆,你看𠊎𠊎看你,非常歡喜。


「出ていった。出ていったぞ! これでわしらも、やっと楽になれるぞ」

「出去了,出去了!對這𠊎兜乜當快樂。」


「よかった、よかった」

「當好,當好。」


藤兵衛一家は、安心してグッスリ眠りました。

藤兵衛一屋人,安心睡忒了。


ところが次の朝、藤兵衛が納屋に行ってみると、出て行ったはずの貧乏神がいびきをかいて寝ているのです。

毋過,第二朝晨,藤兵衛行去細倉庫一看,應該走去了个窮苦神,睡在該牽覺。


「ま、まだいたのか!」

「還,還在嘎!」


貧乏神は、藤兵衛を見てニッコリ笑いました。

窮苦神看等藤兵衛,笑咪咪講︰


「おはようさん。出て行こうと思ったが、やっぱりここが一番住みやすいからな。これからも、よろしく」

「恁會早,雖然想愛離開,毋過還係戴這最好哪。以後請你多多照顧。」


藤兵衛はすっかり力をなくして、その場にへたりこんでしまいました。

藤兵衛歸身無力,當場搵落去。


でも、それからも貧乏神はわらじを作り続けたので、藤兵衛はそのわらじを売って、貧乏ながらも食うにはこまらない生活を送ることが出来たそうです。

自該以後,窮苦神繼續打禾稈鞋,藤兵衛拿去賣,過等食毋飽餓毋死个生活。

 

おしまい
煞咧

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