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福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 10月の江戸小話 > 長者の最後
10月26日の小話
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長者の最後
村一番の長者(ちょうじゃ)が、とても重い病にかかりました。
医者はあらゆる手をつくしてみましたが、良くなるどころか日に日に体が弱っていきます。
そのうちに、とうとう明日をも知れぬ身となってしまいました。
長者の家では家族一同が集まり、心配そうに長者の最後を見守っています。
するとその時、向こうの部屋で医者と話をしていた長男が、みんなを呼んでこう言いました。
「先生のおっしゃるには、もしこのまま心臓の発作がおきなければ、困った事になるそうだ」
「・・・? と、言うと?」
「もしかすると、病気が治って元気になるかも。それなれば遺産分け(いさんわけ)が、当分出来ねえ」
「そうか、確かにそれは困った事だ」
困った、家族一同ですね。
♪ちゃんちゃん
(おしまい)
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