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１１月１５日の小話

お念仏とお題目

　死にかけている病気の友だちに、二人の友だちがお見舞いにやって来ました。
　ふとんから起き上がる事も出来ない病気の友だちに、一人の友だちが言いました。
「残念だが医者の話だと、もう助かる見込みはないそうだな。死んでから極楽（ごくらく→天国）に行けるよう、心をこめて『なむあみだぶつ、なむあみだぶつ』と、お念仏(ねんぶつ)をとなえておくがいい」
　すると、もう一人の友だちが、
「いやいや、死んで極楽に行きたければ『なむみょうほうれんげきょう、なむみょうほうれんげきょう』と、お題目(だいもく)をとなえないといけないぞ」
と、言い出しました。
「いや、『なむあみだぶつ』と、お念仏をとなえないと」
「いやいや、『なむみょうほうれんげきょう』と、お題目をとなえるんだ」
　二人の友だちは、自分の信心する仏さまのご利益（ごりやく→仏さまのあたえてくださるお恵み）を言い張って、一歩もゆずろうとはいたしません。
　するとさっきから二人の言い争いを見ていた死にかけの病人が、怒って起き上がると言いました。
「いいかげんに、言い争うのはやめてくれ。気になって、死ぬに死ねないではないか！」

♪ちゃんちゃん
(おしまい)