福娘童話集 > きょうの日本昔話 福娘童話集 きょうの日本昔話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 


福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 11月の日本昔話 > 仁王とどっこい

11月15日の日本の昔話

仁王とどっこい

仁王とどっこい
青森県の民話 → 青森県の情報

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「癒しの森っ子

♪音声配信(html5)
音声 ぬけさくのいちねん草紙

♪音声配信(html5)
音声 ヤマネコギン

 むかしむかし、仁王(におう)という大変な力持ちがいました。
 もう日本では、仁王にかなう者はいません。
「唐の国(からのくに→中国)に、どっこいという力持ちがいると聞いたが、どーれ、出かけて行って、すもうでもとってくるか」
 仁王は舟に乗って唐の国に行くと、どっこいの家に行きました。
「どっこいは、いるかな? 日本一の仁王さまが、力比ベに来たぞ」
 すると家の中から、おばあさんが出てきました。
「ああ、どっこいは、じきに帰って来るよ。少し、待ってください」
 おばあさんはそう言って、せっせとお昼ご飯のしたくを始めました。
 仁王が見ていると、おふろよりも大きなカマがあって、そこにお米を何俵も入れています。
 仁王は思わず、おばあさんにたずねました。
「そんなにいっぱいご飯をたいて、祭りでもあるのか?」
「いんや、これはおらとじいさまと、あとはおらの子どものどっこいの三人で食べるよ」
「これを、三人で・・・」
 仁王も大食いで有名ですが、これにはとてもかないません。
「あの、ちょっくら、お便所を貸してくれや」
 仁王は体がブルブルふるえてくるのをガマンして便所に入ると、そこの窓から逃げ出しました。
「どっこいというのは、きっと化け物に違いない。これは、逃げるが勝ちだ」
 やがて浜辺に着いた仁王は舟に乗ると、大急ぎでこぎ出しました。

 さて、間もなく家に帰ったどっこいは、戸口に大きな足あとがあるのを見つけました。
「でっかい足あとだな。こんな足をしているのは、日本の国の仁王しかいねえぞ。さては、力比べに来たな。おっかあ、仁王はどこにいるだ?」
 どっこいが聞くと、おばあさんが言いました。
「あんれ、なんて長いお便所だベ」
 そこで便所をのぞいて見ると、中は空っぽです。
「さては、逃げたな。ここまで来て、おらと勝負をしないで帰るなんて、うわさほどでもない弱虫だ。よーし、ひっとらえてやっつけてやる」
 どっこいは長いくさりのついた大きなイカリをかついで、仁王の足あとを追いかけました。
「おーい、待てえ!」
 どっこいが浜辺に着くと、仁王はもう舟をこぎ出して遠くにいます。
「逃がさないぞ!」
 どっこいは仁王の舟に向かって、くさりのついたイカリを投げつけました。
「えいやっ!」
 イカリはピューンと空を飛び、仁王の舟に突きささりました。
 仁王はひっしで舟をこぎますが、どっこいが怪力でくさりをどんどん引っ張ります。
「このままでは、舟が引き戻されてしまう!」
 その時、仁王は日本を出る時に、武家の神さまである八幡(やはた)さまにもらったヤスリの事を思い出しました。
 このヤスリは、どんな鉄でも切れるヤスリです。
「八幡さま、お守りください」
 仁王がヤスリでくさりをこすると、くさりはプッツリと切れました。
 とたんに力一杯くさりを引っ張っていたどっこいは、ズデーンと海の中に尻もちをつきました。
 どっこいは、切れたくさりを見ておどろきました。
「仁王とは、何という怪力だ。おらでも、このくさりは切れないのに。・・・勝負しなくてよかった」

 それからです。
 重い物を持つ時に、唐の国では『におう』とかけ声をかけ、日本では『どっこいしょ』と言うようになったのは。

おしまい

前のページへ戻る


     11月15日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
七五三
きょうの誕生花
唐橘(からたちばな)
きょうの誕生日・出来事
1990年 本郷 奏多 (俳優)
恋の誕生日占い
おてんばでいたずら好きな小悪魔的女の子
なぞなぞ小学校
山に風が吹くと、何が起きる?
あこがれの職業紹介
大使館スタッフ
恋の魔法とおまじない 320
女性運がなくなる
  11月15日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
仁王とどっこい
きょうの世界昔話
ほら吹き男爵 大砲の玉の曲乗り
きょうの日本民話
スズメの身代わり
きょうのイソップ童話
ワシとコガネ厶シ
きょうの江戸小話
お念仏とお題目
きょうの百物語
お化けキノコ

福娘のサイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ