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6月24日の日本民話

見るなの部屋

見るなの部屋

 むかしむかし、あるところに、一軒のお茶屋がありました。
 そのお茶屋に、ある日からきれいな娘が、毎朝のようにお茶を買いに来ます。
(この辺りでは見かけない娘だが、どこから来るのだろう?)
 ある日、不思議に思った番頭が、こっそりと娘の後をつけてみました。
 すると娘は村を通り抜けて、どんどん林の中へと進んで行きます。
(こんな所に、人の住む家はないはずだ。・・・こいつは怪しいぞ)
 ところがしばらく歩いていくと、目の前に見事な御殿がたっているではありませんか。
(こいつは驚いた。こんな所にこんな立派な屋敷が)
 番頭が御殿に見とれているすきに、娘の姿が消えてしまいました。
「はて、どこへ行ったのだろう? 中に入ったのかな」
 番頭は思いきって門を開けると、庭に入っていきました。
 すると広い座敷にあの娘が座っていて、一人でお茶を飲んでいたのです。
 番頭に気づいた娘は、にっこり笑って言いました。
「番頭さん、よくおいでになりました。さあどうぞ、おあがりください」
「いや、その。・・・それでは失礼して」
 今さら逃げ出すわけにはいきません。
 番頭は娘にすすめられるまま、座敷にあがりました。
「いつも、おいしいお茶をありがとう。今日は、ゆっくりしていって下さいな」
 娘は、お茶と一緒にお菓子やお餅を出しました。
「どうぞ、召しあがれ」
 見れば見るほどきれいな娘で、こんな娘が、どうしてこんな所にいるのか不思議でなりません。
「番頭さん。せっかくおいでになったのに、申しわけありませんが、どうしても出かけなくてはなりません。よかったらわたしが戻るまで、ここで待っていてもらえませんか?」
 それを聞くと、番頭は店の事も忘れて言いました。
「どうぞ、どうぞ。わたしが留守番をしていますから、遠慮なく」
「それでは、ゆっくりしていってください。ただし、お願いがあります。どんな事があっても、この部屋以外は、のぞかないようにしてほしいのです」
「わかりました。よそさまの家を勝手に歩きまわる様な事はいたしません」
「ありがとう」
 娘はうなずくと、一人で御殿を出て行きました。
 番頭はしばらくの間、庭を見たり座敷で寝そべったりしていましたが、退屈なので他の部屋をのぞきたくなりました。
 それに、『のぞくな』と言われたら、よけいのぞきたくなるのが人間です。
(少しぐらいなら、いいだろう)
 そこでまず、番頭は隣の部屋を開けて見ました。
 するとそこは何とお正月の部屋で、床の間には松竹梅をかざり、鏡餅やお正月のお供え物が供えてあるのです。
 しかも驚いた事に、赤い着物を着た子どもが輪になって甘酒を飲んでいました。
 しかも子どもたちは、だれも番頭に気づきません。
(はて、わしの姿が見えないのだろうか?)
 番頭は不思議に思いながらも、次の部屋を開けてみました。
 そこは二月の部屋で、赤い鳥居が並んでいます。
 どこから現れるのか、初午参りの人が次々とやって来ます。
 それに色々な店も出ていて、とても賑やかです。
 その次は三月の部屋で、ひな人形がきれいに飾ってあって、ぼんぼりの明かりがゆれています。
 次は四月の部屋で、花御堂があって、お釈迦さまが立っています。
 もちろん、甘茶も用意してあります。
 次は五月の部屋で、部屋中に鯉のぼりがあって、正面にはよろいかぶとの武者人形が座っています。
 おいしそうなちまきやかしわ餅も、たくさん置いてあります。
 次は六月の部屋で、子どもの歯が丈夫になりますようにと、頭にはちまきをした人たちが、歯がための餅を作っています。
 次は七月の部屋で、短冊をつけた笹竹の前では、ゆかたを着た子どもたちが七夕の唄を歌っています。
 次は八月の部屋で、すすきや秋の七草がかざってあり、三宝には、お月見団子が積んであります。
 その横では、里芋を食べながら酒を飲んでいる人もいます。
 次は九月の部屋で、見渡す限り稲田で、お百姓たちが忙しそうに稲を刈っています。
 次は十月の部屋で、遠くに見える山々の色づいた葉が、ひらひらと風に舞っています。
 次は十一月の部屋で、白い雪がちらちらと降っていて、鮭なべを囲んだ人たちが、美味しそうに鮭なべを食べています。
 次は十二月の部屋で、どの家でも餅つきの真っ最中です。
 子どもたちは、こたつに集まって、おばあさんのむかし話を聞いています。
(ああ、わしのばあさんも、達者でいるだろうか)
 番頭が、思わずしんみりとなりました。
 するとふいに、
 ♪ホーホケキョ。
と、うぐいすが鳴きました。
 はっとしてあたりを見たら、そこは御殿どころか、何もない深い山の中でした。

 その後、番頭は何度も山にやってきましたが、ついにあの娘の御殿を見つける事が出来ず、あの娘は二度とお茶屋に姿を見せなくなったという事です。

おしまい

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