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 第 8話
 
  
 チョウチョウの姉妹の雨宿り
 島根県の民話 → 島根県情報
 
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  むかしむかし、あるところに、チョウチョウの三人娘がいました。三人は姉妹なのですが、みんな羽の色が違っていました。
 一番上のチョウチョウは、赤い羽。
 二番目のチョウチョウは、黄色の羽。
 三番目のチョウチョウは、白い羽です。
 でも三人はとても仲良しで、どこへ行くにも何をするにも一緒でした。
 ある日、三人が山の上を飛んでいると、急に雨がふってきました。
 「このままでは、羽がぬれてしまうわ。どこかで雨宿りをしましょう」
 一番上のチョウチョウが、赤いつつじの花を見つけて降りていきました。
 「つつじさん、しばらく休ませてくださいな」
 「おや? あんたは赤い色をしているね。いいとも、ゆっくりと休んでおいで。でも、ほかの色のチョウチョウは駄目だよ」
 赤いチョウチョウは、困ってしまいました。
 「わたしだけ休むなんて、出来ないわ」
 そこで三人のチョウチョウは、雨の中を飛び続けました。
 やがて二番目のチョウチョウが、黄色いやまぶきの花を見つけて降りていきました。
 「やまぶきさん、しばらく休ませてくださいな」
 「おや? あんたは黄色をしているね。いいとも、ゆっくりと休んでおいで。でも、ほかの色のチョウチョウは駄目だよ」
 黄色いチョウチョウは、困ってしまいました。
 「わたしだけ休むなんて、出来ないわ」
 そこで三人のチョウチョウは、また雨の中を飛び続けました。
 やがて三番目のチョウチョウが、白いイチゴの花を見つけて降りていきました。
 「イチゴさん、しばらく休ませてくださいな」
 「おや? あんたは白い色をしているね。いいとも、ゆっくりと休んでおいで。でも、ほかの色のチョウチョウは駄目だよ」
 白いチョウチョウは、困ってしまいました。
 「わたしだけ休むなんて、出来ないわ」
 そこで三人のチョウチョウは、雨の中をあっちへ飛んだり、こっちへ飛んだりして、雨宿りをするところをさがしました。
 でもすっかり羽がぬれてしまい、今にも落ちてしまいそうです。
 それを見た、山の神さまが言いました。
 「なんて仲のよい姉妹だ。よし、雨をふきとばしてやろう」
 そのとたん、お日さまが顔を出して、三人のチョウチョウのぬれた羽がかわきました。
 「よかった、これでまた三人仲良く飛べるわ」
 チョウチョウの姉妹は、うれしそうに羽を動かしながら、どこかへ飛んでいきました。
 おしまい   
 
 
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