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 第 19話
 
  
 サルの尻はなぜ赤い
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  むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがすんでいました。おじいさんは毎日、山の畑をたがやしに行きます。
 ある日の事、おじいさんがいつものように畑をたがやしていると、側にあった石にサルが一匹腰かけて、
 「あのじじいの畑をたがやす姿は、左にヨロヨロ、右にヨロヨロ」
 と、悪口を言うので、おじいさんは腹を立てて、
 「このサルめ!」
 と、クワをふりあげて追いかけましたが、サルは素早くて、ぜんぜんつかまりません。
 次の日も、おじいさんが畑をたがやしていたら、昨日のサルがまたやってきて、
 「あのじじいの畑をたがやす姿は、左にヨロヨロ、右にヨロヨロ」
 と、また悪口を言うのです。
 怒ったおじいさんは、またサルを追いかけましたが、今日も逃げられてしまいました。
 家に帰っても腹の虫がおさまらないおじいさんは、その事をおばあさんに話しました。
 するとおばあさんは、
 「それなら、サルのすわる石に、モチをベッタリとぬり付けたらいいよ」
 と、言ったので、次の日、おじいさんは朝早く畑へ行って、石にモチをベッタリとぬり付けました。
 さて、やがてあのサルがやって来て、その石に腰をかけました。
 そしていつものように悪口を言うので、おじいさんがクワをふりあげると、サルは逃げようとしましたが、お尻にモチがベッタリとくっついているので、逃げようにも逃げられません。
 そこでとうとうおじいさんにつかまって、家に連れて行かれました。
 家に帰ったおじいさんがおばあさんに、
 「おばあさん、おばあさん、このサルは味噌汁(みそしる)にするとうまいから、味噌汁を作ってくれ。それからもちもついてくれ」
 と、言って、また畑仕事に出かけました。
 おばあさんは、おじいさんに言われたように味噌汁を作り、もちをつき始めましたが、それを見ていたサルが、
 「おばあさん、おばあさん、年寄りにはもちつきは大変だろうから、おれがかわりについてやる。だからこのなわをほどいてくれ」
 と、いったのです。
 「そりゃ、助かるよ」
 おばあさんがサルのなわをほどいてやると、サルはおばあさんにおそいかかって、おばあさんを殺してしまったのです。
 そして殺したおばあさんで味噌汁を作ると、自分はおばあさんになりすましました。
 やがておじいさんが帰って来たので、
 「サルの味噌汁が出来ました。早よう食べてください」
 と、おじいさんに味噌汁を出しました。
 「どれどれ、これはいいにおいじゃ」
 おじいさんが味噌汁を食べようと味噌汁を見てみると、中から髪飾(かみかざ)りが出てきました。
 これはおじいさんがおばあさんにあげた、おばあさんの髪飾りです。
 ふと、おばあさんを見てみてると、お尻から尻尾(しっぽ)が生えています。
 「このサルめ、よくもおばあさんを殺したな!」
 正体のばれたサルは急いで逃げ出すと、そばにあったカキの木に登っていきました。
 それを追いかけてきたおじいさんが、持ってきた大きなハサミでサルのお尻に切りつけたのです。
 サルの尻は血でまっ赤になりました。
 それからです、サルのお尻がまっ赤になったのは。
 おしまい
   
 
 
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