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      第 91話 
          
          
         
じゃんじゃん 
三重県の民話 → 三重県情報 
       
      ・日本語 ・日本語&中国語 
      
       むかし、ある森に、こんな言い伝えがありました。 
「この森の下には海が広がっていて、森を掘ると塩水が出て来るそうじゃ」 
 
 そこで村の若者たちが言い伝えを確かめようと、長い竹筒(たけづつ)を何本も何本もつないで地面に突き刺してみました。 
 しかし何本つないでみても、水はいっこうに出ません。 
「なんじゃ。言い伝えは、うそか」 
 若者たちがあきらめて帰ろうとすると、そこへ一人の侍(さむらい)がやって来て言いました。 
「ここで、相撲をとってみないか? 
 そうすれば負けた者が尻もちをつくから、その重みで水が出て来るかもしれん。 
 それから負けた者は、刀を一本づつこの竹筒の中へ投げ込むんだ 
 井戸の神さまが怒って、水を出すかもしれんからな」 
 そこで若者たちは、相撲を始めました。 
 するとさっそく地面から、 
 ごーーーっ 
と、小さな地響きがおこりました。 
「よし、次は刀だ」 
 そして負けた者が刀を竹筒の中へ落すと、竹筒の底の方から、 
♪じゃんじゃん 
と、何かが鳴り響きました。 
「おおっ、井戸の神さまが怒っているぞ」 
 若者たちはさらに相撲を続けて、それから何本も刀を竹筒の中に投げ込みました。 
 するとついに竹筒から水が吹き出して、このあたりは一面は池になったそうです。 
      おしまい 
         
         
         
        
 
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