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1月12日の小話

焼き氷
   寒い朝のことです。
   むすこが表へ出て、あつくはった氷をわって、持ってきました。
  「親父さま、けさは寒いはずです。ほれ、このとおり。こんなにあつく氷がはりました」
   すると、親父は、
  「どれどれ、ほんとに、あつくはったものだ。・・・そうだ。寒のうちの氷は薬というから、一口食ってみよう」
  「いや、かたくて、かたくて、とても親父さまには、歯が立ちますまい」
  と、むすこがいうと、
「そうか、それなら焼いてくれ。こんがりと、こげ目がつくようにな」
おしまい