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2月21日の小話

ネズミおろし
  「ちかごろネズミが出て、いたずらをしてしようがない。ネコはきらいだし、ねずみ取りにはかからないし、どうすればいいか、こまっているんだ」
   すると、もの知りな男が、
  「ネズミの出るあなは、どれだい」
  「ほれ、あのあなからではいりするんだ」
   男が部屋のすみのあなを指さしますと、もの知りな男は、
  「あのあなの下へ、おろし金をおきな」
  「ほう、そうすりゃあ、もう出ないのか」
   男は感心していうと、もの知りな男は、
「出ないわけではないが、出たり入ったりするたびに、ちょっとずつすりへって、しまいには、なくなってしまうわ」
おしまい