福娘童話集 >節句特集 > カエルの恩返し 香川県の民話 
         
      せっくのお話し 第 1 話 
       
        
       
カエルの恩返し 
香川県の民話 → 香川県情報 
      
       
      
      
       むかしむかし、ある村(むら)に、おじいさんと、美(うつく)しい娘(むすめ)が2人で仲良(なかよ)く暮(く)らしていました。 
         ある年(とし)の田植(たう)えの季節(きせつ)、おじいさんは町へ買(か)い物(もの)に出(で)かけました。 
       おじいさんが田(た)んぼのあぜ道(みち)を歩(ある)いていると、ヘビがカエルを追(お)いつめて、今にも飲(の)み込(こ)もうとしているところでした。 
        「これこれ、なにをする。ゆるしておやり。 
         ほしいものがあれば、わしがやるから」 
         カエルをかわいそうに思(おも)っておじいさんがいうと、ヘビはおじいさんの顔(かお)を見(み)あげて言(い)いました。 
        「それなら、娘(むすめ)をわしの嫁(よめ)にくれ!」 
         おじいさんは、ヘビの言(い)うことなどとあまり気(き)にもとめずに、 
        「よしよし。わかったから、カエルを逃(に)がしてやるんだよ」 
        と、返事(へんじ)をしてしまったのです。 
         すると、その年の秋(あき)もふかまったころ、若(わか)いサムライが毎晩(まいばん)、娘(むすめ)の部屋(へや)へやってきて、夜(よ)がふけるまで娘(むすめ)と楽(たの)しそうに話(はな)していくようになりました。 
       そんなある日の事(こと)、一人の占(うらな)い師(し)がおじいさんの家(いえ)を訪(たず)ねました。 
        「おじいさん、最近(さいきん)あなたの娘(むすめ)のところに、若(わか)いサムライがやってきておらぬか。」 
        「はい、来(き)とります。」 
        「気(き)を付(つ)けなされ。 
         その若(わか)いサムライの正体(しょうたい)はヘビじゃ。 
         ほうっておくと、娘(むすめ)の命(いのち)が危(あぶ)ない。 
         娘を救(すく)いたいのなら、裏山(うらやま)にある大きな木に、フクロウの巣(す)がある。 
         そこにある卵(たまご)を、サムライにとってくるよう、娘に言(い)わせるのじゃ。」 
         おじいさんは驚(おどろ)いて、この話(はなし)を娘(むすめ)に伝(つた)えました。 
       その日の夜(よる)も、若(わか)いサムライに化(ば)けたヘビが、娘のもとにやってきました。娘は、サムライに言(い)いました。 
        「さいきん、とても体(からだ)がだるいのです。 
         げんきをつけるために、うら山(やま)の大(おお)きな木(き)にある、フクロウの“す”から、
        タマゴをとってきて、たべさせてくださいな」 
        「よしよし、そんなことはたやすいことよ」 
       次(つぎ)の日(ひ)、若(わか)いサムライは裏山(うらやま)へいって、フクロウの巣(す)がある高(たか)い木(き)にのぼっていきましたが、そのときいつのまにか、若(わか)いサムライは、ヘビの姿(すがた)になっていたのです。 
        「おぉ、あったぞ。フクロウの卵(たまご)だ。」 
         ヘビが巣(す)の中にある卵(たまご)を口にくわえたとたん、親(おや)フクロウがもどってきました。 
       親フクロウはするどいくちばしで、大事(だいじ)な卵を守(まも)ろうと、ヘビをやっつけました。 
       あくる日の朝(あさ)、あの占(うらな)い師(し)がまたおじいさんの前(まえ)に現(あら)われました。 
        「あなたのおかげで、娘(むすめ)を助(たす)けることができました。 
         ありがとうございました。」 
         すると、占(うらな)い師(し)が言(い)いました。 
        「実(じつ)はわたしは、いつぞや田(た)んぼのあぜ道(みち)で命(いのち)を救(すく)われたカエルなのです。 
         娘(むすめ)さんの体(からだ)には、まだヘビの毒(どく)が残(のこ)っております。 
         これからは毎年(まいとし)、三月(さんがつ)三日(みっか)の節句(せっく)にお酒(さけ)の中に桃(もも)の花(はな)びらを浮(う)かべてお飲(の)みください。 
         そうすればヘビの毒ばかりではなく、からだにたまったどんな毒もみんな消(き)えて、きれいになるでしょう。」 
       そう言うと、目の前の占(うらな)い師(し)の姿(すがた)はたちまち消(き)えてしまい、一匹(いっぴき)のカエルが庭先(にわさき)の草むらの中へ、
        ピョンピョンと飛(と)んでいったのです。 
           
           
         桃(もも)の節句(せっく)で、お酒(さけ)の中に桃の花(はな)びらを浮(う)かべて飲(の)むようになったのは、このときからだという事(こと)です。 
      おしまい 
      この朗読は、以下のご提供です。 
      全国の民放ラジオ局100社が取り組んでいる 「民放ラジオ統一キャンペーン ラジオがやってくる!」。 
             
      (全国各地のラジオ局が、小・中・高校を訪問し、ラジオに親しみを感じてもらえるよう「出前授業」を行い、その模様を、3月3日「民放ラジオの日」に各局が放送するという企画) 
      東海ラジオ アナウンサー・川島葵、ディレクター、技術スタッフ、スペシャルゲストの、ロックバンド・ALvinoのヴォーカル 翔太さんが、愛知県岡崎市立・常磐南小学校を訪問。  
      常磐南小学校の1・2年生と、手作り効果音を付けた紙芝居「かえるのおんがえし」のラジオ番組を作りました。  
      ・「東海ラジオがやってくる!in常磐南小学校」 
          http://www.tokairadio.co.jp/program/p02/ 
      ・民放ラジオ統一キャンペーン ラジオがやってくる!「東海ラジオ」 
          http://come-radio.jp/blog/2012/03/in-2.html 
      ・ALvino http://alvino.tv/ 
         
         
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