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たまごのお話し 第 3 話
ご先祖さまはみんなタマゴ
ケニアの昔話 → ケニアの国情報
むかしむかし、一羽のメンドリが、エサを探しに川におりてきました。
この川には、一匹の大きなワニが住んでいます。
「なかなかうまそうなメンドリがいるわい。よし、明日はあれを捕まえて食ってやろう」
翌朝、ワニは川の近くのしげみの中にかくれて、メンドリが川にやって来るのをジッと待ちました。
そんな事とは知らずに、メンドリは歌いながら、いつもの様に川におりてきました。
「しめた! 今だ!」
ワニはいきなりしげみから飛び出すと、大きな口を開けて言いました。
「やいやい、メンドリ。おとなしくおれに食われてしまえ!」
ビックリしたメンドリは、すぐに逃げようとしましたが、でも、とても逃げられないとわかると、
「どうかわたしを食ベないで! ワニのお兄さん」
と、さけびました。
お兄さんと言われて、ワニはビックリです。
(どうして、おれが兄さんなんだろう?)
ワニが首をひねっているうちに、メンドリは逃げてしまいました。
「あいつ、おれをお兄さんだなんて。・・・待てよ、きっと聞き間違いだな」
でも、どうしても気になるので、ワニはもう一度ためしてみる事にしました。
次の朝、ワニは川原のしげみにかくれて、メンドリが来るのを待ちました。
そしてメンドリがエサを突っつきながらやって来ると、ワニは大きな口を開けて飛び出しました。
「やいやい、昨日はうまくおれから逃げたな。今日はかくごしろ!」
「どうかわたしを食ベないで! ワニのお兄さん」
「???」
今度こそ、聞き間違いではありません。
ワニがまごまごしていたので、メンドリはまた逃げてしまいました。
次の日、ワニは仲良しの大トカゲに出会いました。
「これは、いいところで会った。お前に、ちょっと聞いてもらいたい事があるんだ」
「どうしたんだい?」
「実はこの間、うまそうなメンドリを見つけたんだ。そいつを食ってやろうとすると、『食ベないで、お兄さん』と、言いやがる」
「お兄さんだって?」
大トカゲは、笑いながら言いました。
「そりゃ、兄さんには違いないなあ」
「???」
ワニは、不思議そうにたずねました。
「それは、どういうわけだい? どうしてこのおれが、メンドリの兄さんなんだい?」
「いいか。カモは、何から生まれる?」
「カモねえ。それはタマゴだな」
「では、カメは?」
「それもやっぱり、タマゴさ」
「じゃあ、おれは? お前は?」
「決まっているじゃないか、タマゴだよ」
大トカゲは、ニヤリ笑って、
「それじゃ、メンドリは何から生まれると思う?」
「やっぱり、タマゴだ」
「どうだい、わかったかい?
おれたちは、みんなタマゴから生まれたんだ。
だからみんな、兄弟なのさ。
メンドリが言う様に、お前は兄さんに違いない。
わかったか?」
「ふーん、タマゴから生まれた兄弟ねえ。兄弟となると、食べるわけにはいかないな」
それからはワニは、決してメンドリを食ベなかったそうです。
おしまい
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