織姫 おりひめ 七夕特集七夕 たなばたの昔話彦星 ひこぼし 七夕特集 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 


福娘童話集 >七夕特集 >天女の妻

たなばたのお話し 第 6 話

天女の妻

天女(てんにょ)(つま)
中国の昔話中国の情報

♪音声配信(html5)
朗読者 : スタヂオせんむ

 むかしむかし、雲の上(くものうえ)天上(てんじょう)に、七人(7にん)(うつく)しい天女(てんにょ)姉妹(しまい)()んでいました。
 天女(てんにょ)たちは、天上(てんじょう)(かみ)さまの(むすめ)です。
 天女(てんにょ)たちの仕事(しごと)(くも)(よう)(しろ)(うつく)しい(ぬの)をおる(こと)で、その(ぬの)から(つく)られた天衣( てんい )()ばれる着物(きもの)をはおれば、(だれ)でも自由(じゆう)(そら)()べるのです。

 ある()(こと)一番(いちばん)(した)(いもうと)天女(てんにょ)()いました。
「ねえ、お(ねえ)さま。この天衣(てんい)をはおって、地上(ちじょう)(かわ)水浴(みずあ)びをしましょうよ」
「でも、地上(ちじょう)には(おそ)ろしい人間(にんげん)がいるのですよ。もしも人間(にんげん)(つか)まったりしたら」
大丈夫(だいじょうぶ)よ。人間(にんげん)がやって()たら、天衣(てんい)(そら)()んで()げてしまえば」
「そうね。では、地上(ちじょう)()きましょう」
 こうして七人(7にん)天女(てんにょ)たちは、天衣(てんい)をはおると地上(ちじょう)へと()かいました。

 さて、地上(ちじょう)では一人(ひとり)若者(わかもの)が、年老(としお)いた(うし)一緒(いっしょ)貧乏(びんぼう)()らしをしていました。
 両親(りょうしん)(はや)くに()くした若者(わかもの)は、しばらくのあいだ兄夫婦(あにふうふ)三人(3にん)()らしていたのですが、やがて兄夫婦(あにふうふ)若者(わかもの)毎日(まいにち)いじめるようになり、
「この()いぼれ(うし)をやるから、お(まえ)()()け!」
と、()どもの(ころ)から(とも)だちだった(うし)一緒(いっしょ)に、(いえ)追い出(おいだ)されてしまったのです。
 若者(わかもの)(うし)細々( ほそぼそ )()らしていましたが、ある()突然(とつぜん)、その年老(としお)いた(うし)人間(にんげん)言葉(ことば)でこう()ったのです。
「ご主人(しゅじん)さま。
 今日(きょう)天上(てんじょう)(うつく)しい天女(てんにょ)たちが、地上(ちじょう)()りて()水浴(みずあ)びをするでしょう。
 その天女(てんにょ)天衣(てんい)(ぬす)んでしまえば、天女(てんにょ)(てん)(もど)れずあなたの(つま)になるでしょう」
 それを()いた若者(わかもの)は、(うし)(おし)えられた(かわ)のほとりで天女(てんにょ)たちが()りて()るのをじっと()っていました。
 すると(うし)()った(とお)り、天衣(てんい)をまとった七人(7にん)天女(てんにょ)たちがフワフワと地上(ちじょう)降り立(おりた)ったのです。
 七人(7にん)天女(てんにょ)たちは()ていた天衣(てんい)(まつ)()にかけると、(たの)しそうに水浴(みずあ)びを(はじ)めました。
 若者(わかもの)はそっと(まつ)()(ちか)づくと、その天衣(てんい)(ぬす)もうとしました。
 すると天衣(てんい)をかけていた(まつ)()が、
天女(てんにょ)さま。人間(にんげん)天衣(てんい)(ぬす)もうとしていますよ!」
と、大声(おおごえ)でしゃべったのです。
「きゃー! 人間(にんげん)!」
 天女(てんにょ)たちはあわてて走り出(はしりだ)すと若者(わかもの)よりも(さき)自分(じぶん)たちの天衣(てんい)をつかんで、それをまとって(てん)へと(のぼ)って()きました。
 でも、一番(いちばん)(とお)くで水浴(みずあ)びをしていた一番(いちばん)(した)(いもうと)天女(てんにょ)だけが(おく)れて、若者(わかもの)天衣(てんい)(うば)われてしまったのです。
「お(ねが)いです。天衣(てんい)(かえ)してください! それがないと、天上(てんじょう)(かえ)れないのです!」
 天女(てんにょ)(たの)みましたが、若者(わかもの)天衣(てんい)(かえ)そうとはしません。
 それどころか、天女(てんにょ)()(まえ)大切(たいせつ)天衣(てんい)()やしてしまったのです。
「ああ、天衣(てんい)が・・・。大切(たいせつ)天衣(てんい)が・・・」
 泣き崩(なきくず)れる天女(てんにょ)に、若者(わかもの)()いました。
「わたしは貧乏(びんぼう)ですが、あなたの(ため)一生懸命(いっしょうけんめい)(はたら)きます。だから、わたしの(つま)になって(くだ)さい」
 天衣(てんい)()やされて天上(てんじょう)(かえ)れなくなった天女(てんにょ)は、仕方(しかた)なく若者(わかもの)(つま)になりました。

 若者(わかもの)天女(てんにょ)との約束(やくそく)(どお)り、田畑(たはた)(たがや)して一生懸命(いっしょうけんめい)(はたら)きました。
 そのうちに天女(てんにょ)若者(わかもの)(こと)()きになって、得意(とくい)のはたをおり(はじ)めるとそれを()って生活(せいかつ)(たす)けました。
 やがて二人(ふたり)(あいだ)には息子(むすこ)(むすめ)二人(ふたり)()どもが()まれ、四人(4にん)(しあわ)せな毎日(まいにち)()ごす(よう)になりました。

 ところがある()(こと)若者(わかもの)畑仕事(はたけしごと)から(いえ)(かえ)ってみると、(いえ)には(つま)姿(すがた)がなく、(のこ)された二人(ふたり)()どもが()きじゃくっているのです。
(つま)は? (つま)はどこへ()ったんだ?」
 若者(わかもの)天女(てんにょ)姿(すがた)(さが)していると、年老(としお)いた(うし)若者(わかもの)()いました。
「ご主人(しゅじん)さま。(さき)ほど天上(てんじょう)神兵(しんぺい)がやって()て、(おく)さまを天上(てんじょう)連れ帰(つれかえ)ってしまったのです」
天上(てんじょう)に! そんな・・・」
「ご主人(しゅじん)さま。(いま)すぐに、(おく)さまを()いかけるのです」
「しかし、天上(てんじょう)にはどうやって()けばいいのだ? (そら)()天衣(てんい)は、()やしてしまったぞ」
(ひと)つだけ、方法(ほうほう)があります。
 それはわたしを(ころ)して(かわ)をはぎ、その(かわ)をまとうのです。
 (なが)()きた(うし)(かわ)には、(そら)()(ちから)がありますから」
「そんな、お(まえ)(ころ)すなんて」
「いいのです。
 年老(としお)いて(はたら)(こと)出来(でき)ないわたしを、あなたと(おく)さまは大切(たいせつ)にしてくださいました。
 (わたし)出来(でき)るご恩返(おんがえ)しは、これしかないのです。
 さぁ、(はや)(ころ)しなさい」
「しかし・・・」
 天女(てんにょ)結婚(けっこん)出来(でき)二人(ふたり)()どもを(さず)かったのは、(すべ)てこの(うし)のおかげだと(おも)うと、若者(わかもの)にはとうてい(うし)(ころ)(こと)なんて出来(でき)ません。
 若者(わかもの)(まよ)っていると、
「ご主人(しゅじん)さま。どうぞ、お(しあわ)せに」
 (うし)はそう()うと、自分(じぶん)(はしら)(つよ)(あたま)()ちつけて()んでしまいました。
「ありがとう。お(まえ)(おん)は、一生(いっしょう)(わす)れないよ」
 若者(わかもの)()きながら(うし)(かわ)をはいでまとうと、二人(ふたり)()どもを()れたかごを()って(てん)へと(のぼ)って()きました。

 若者(わかもの)たちが雲の上(くものうえ)天上(てんじょう)()いてみると、(とお)くの( ほう )神兵(しんぺい)連れ去(つれさ)られていく天女(てんにょ)姿(すがた)()えました。
(つま)よ! (たす)けに()たぞー!」
「あなたー!」
 天女(てんにょ)神兵(しんぺい)()をふりほどくと、若者(わかもの)たちの(ほう)(はし)ってきました。
 若者(わかもの)()どもたちも、天女(てんにょ)( ほう )(はし)っていきます。
 そして天女(てんにょ)若者(わかもの)たちが抱き合(だきあ)おうとしたその(とき)(てん)一角(いっかく)から巨大(きょだい)()()びて()て、天女(てんにょ)若者(わかもの)たちの(あいだ)にさっと一筋(ひとすじ)(せん)()きました。
 それは天上(てんじょう)(かみ)(いもうと)である西王母(せいおうぼ)()で、西王母(せいおうぼ)(あたま)につけていた(きん)のかんざしを()いて(せん)()いたのです。
 西王母(せいおうぼ)()いた(せん)からたちまち(みず)があふれ()して大河(たいが)となり、天女(てんにょ)若者(わかもの)たちの(あいだ)(おお)きく(ひろ)がりました。
人間(にんげん)よ、すぐに立ち去(たちさ)りなさい! 地上(ちじょう)世界(せかい)(かえ)るのです!」
 西王母(せいおうぼ)言葉(ことば)に、若者(わかもの)()いました。
(いや)だ! (たと)人間(にんげん)であっても、天女(てんにょ)はわが(つま)絶対(ぜったい)(かえ)るものか!」
 しかし大河(たいが)(なが)れは(はや)くて、(わた)(こと)出来(でき)ません。
 すると、()どもたちが()いました。
「そうだ、ひしゃくで(かわ)(みず)をすくい()ろうよ」
「よし、そうしよう」
 若者(わかもの)二人(ふたり)()どもたちは、大河(たいが)(みず)一杯(いっぱい)一杯(いっぱい)すくい(はじ)めました。
 これを()天上(てんじょう)(かみ)さまが、若者(わかもの)たちに()いました。
「そなたたちの、天女(てんにょ)(おも)愛情(あいじょう)素晴(すば)らしい。よって一年(いちねん)一夜(いちや)だけ、そなたたちが()(こと)(ゆる)してやろう」
 こうして天女(てんにょ)若者(わかもの)たち親子(おやこ)は、毎年(まいとし)七月(しちがつ)七日(なのか)(よる)にだけ()(こと)出来(でき)(よう)になったのです。

 (いま)でも天の川(あまのがわ)をはさんで、若者(わかもの)である『彦星(ひこぼし)』と、天女(てんにょ)である『織姫星(おりひめほし)』を()(こと)出来(でき)ます。
 その『彦星(ひこぼし)』の(となり)(ちい)さな(ふた)つの(ほし)(なら)んでいますが、その(ふた)つの(ほし)二人(ふたり)()どもだと()われています。

おしまい

たなばたのおりがみをつくろう おりがみくらぶより
おりがみくらぶ 福娘童話集りんく

前のページへ戻る

たなばたのお話し 6話
犬飼い七夕
七夕物語
七夕さんの始まり
七夕女房
天の川と七夕
天女の妻
福娘のサイト
366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
福娘童話集
世界と日本の童話と昔話
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識