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福娘童話集 > きょうの新作昔話 > 空から降りてきたごちそう
夏の怖い話し特集
2011年 7月20日の新作昔話
空から降りてきたごちそう
岐阜県の民話 → 岐阜県の情報
むかしむかし、ある山の上に、小さな村がありました。
この村の村人たちが畑仕事をしていると、空の上からするするすると、長い長いひもにぶらさがったかごが降りてきました。
「はて? 何が降りてきたんだ?」
みんなは、かごのまわりに集まってきました。
かごの中をのぞいてみると、中にはお酒やごちそうがいっぱい入っています。
「こりゃ、ありがたい!」
村人たちは大喜びで、お酒を飲んだりごちそうを食べたりしました。
そしてかごは空になると、またひもがするするすると動いて、かごを空の上へ引っ張り上げてしまいました。
「不思議な事も、あるものだ。空から、ごちそうが降りてくるなんて」
「きっと、天の神さまの贈り物じゃ」
その日は畑仕事を止めて、みんなで酒盛りをしました。
さて次の日、集まってきた村人たちは、口々に言いました。
「昨日のお酒やごちそうは、うまかったなあ」
「ああ、おら、あんなごちそうを食ったのは、生まれて初めてじゃ」
「どうじゃ、今日も一つ、お願いをしてみようか」
「そうじゃ、そうじゃ。だめで、もともとじゃ」
そこで村人たちは、空に向かって言いました。
「かごよ、降りてこい。酒とごちそうを入れて、降りてこい」
すると空の上からするするすると、ひもにぶらさがったかごが降りてきたのです。
中を見ると、今度もお酒やごちそうが入っています。
「さあ、みんな。天の神さまの、贈り物じゃ。遠慮無く、いただくとしよう」
今日もまた、にぎやかな酒盛りになりました。
そしてかごは空っぽになると、またするするすると空の上へのぼっていきました。
「よし、明日はもっとにぎやかにやろう」
次の日、話を聞いた村中の人たちが畑へ集まって、空に向かって怒鳴りました。
「かご、降りてこい!」
「どっさりごちそうつんで、降りてこい!」
するとたちまち雲の中からかごが現れて、ものすごい勢いで落ちてきました。
「あっ、あぶない!」
ひゅーーー、どすーん!
かみなりの様な大きな音と共に、村人たちの前に大きな大きなかごが落ちました。
「おおっ、こんなに大きなかごが降りてきたぞ。これなら村人全員でも、食いきらんわ」
村人たちが大喜びでかごに近づこうとすると、何とかごから恐ろしい化け物が次から次へと飛び出してきて、
「おらたちの食べ物を食ったのは、誰じゃ!?」
と、怒鳴ったのです。
「ひぇーーっ! たっ、助けてくれー!」
村人たちはびっくりして、あわてて逃げ帰ったそうです。
おしまい
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