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7月20日の日本民話

みそ買い橋

みそ買い橋
岐阜県の民話岐阜県情報

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♪音声配信(html5)
音声 ヤマネコギン

 むかしむかし、飛騨の国(ひだのくに→岐阜県)の乗鞍岳(のりくらだけ)のふもとに沢田(さわだ)という村があって、そこに長吉(ちょうきち)という正直な炭焼きが住んでいました。

 ある日の晩、長吉の夢にひげの長い仙人(せんにん)が現れて、
「これ、長吉よ。高山(たかやま)の町へ行って、みそ買い橋の上に立ってみよ。たいそうよい話が聞けるぞ」
と、教えてくれたのです。
「よい話って、なんですか?」
 長吉がたずねたところで、目が覚めました。
「なんだ、夢か。・・・いや、たとえ夢にしてもせっかく教えてくれたんだから、とにかく行ってみよう」
 長吉は炭をせおうと、さっそく高山の町へ出かけて行きました。

 町に着いて炭を売ってしまうと、長吉はみそ買い橋の上に行って立ちました。
 みそ買い橋という名前は、橋のたもとにみそ屋があったのでついた名前です。
 長吉は夜になるまで立っていましたが、何もよい話は聞けませんでした。
「やっぱり、ただの夢だったのかな。・・・いや、あきらめてはだめだ」
 長吉は次の日も次の日も、一日中しんぼう強く立っていましたが、やはり何も起こりません。
 みそを買いに来る町の人や通りすがりの旅人が不思議そうに長吉の事を見ますが、誰も長吉に話しかけてはくれませんでした。

 ついに、四日がたちました。
 さすがの長吉も、家の事や仕事の事が心配になってきました。
「今日もだめか。ただ立っていればよいというわけではないのかな?」
 五日目も長吉が一人でぼんやり待っていると、みそ屋の主人がそばに寄って来て言いました。
「お前さん。毎日そこに立っていなさるが、どうなさったのじゃ?」
「はい、実は・・・」
 長吉が夢の話をすると、みそ屋の主人は大笑いです。
「わははははは。お前さんみたいな人を、バカ正直というんだ。つまらん夢の事など、本気にしなさるな」
「バカ正直と笑いなさるが、たとえ夢でもバカにしてはならんと思っております。何しろ仙人が夢に出てきて、教えてくれたのだから」
「そうか、ならば教えるが。
 実はわしもこの間、おかしな夢を見たんじゃ。
 ひげの長い仙人が現れてな、なんでも乗鞍岳(のりくらだけ)のふもとの沢田とかいう村に長吉とかいう男がおって、その長吉の家の裏に大きなマツの木があるから、その根元をほってみよ、宝物が出るぞとな。
 わしは沢田なんて村は知らんし、たとえ知っとっても、そんなバカげた夢の事など信ずる気になれん。
 お前さんもいいかげんに目を覚まして、家に帰りなさい」
 それを聞いた長吉は、全身が震えてくるのを感じました。
(こっ、これじゃ! これこそが夢のお告げだ!)
 みそ屋の主人は、長吉が震えているのに気づいて言いました。
「ほれほれ、こんなところに一日中立っているから、かぜをひいたのではないか? 体が震えているぞ」
「いや、それはすまんこって。では、さいなら」
 長吉はあいさつもそこそこに、急いで村に帰りました。
 そして家に着くとすぐにクワを持ち出してきて、裏の大きなマツの木の根元をほってみました。
 すると大きなかめが三つも出てきて、その中に金銀・サンゴの宝物がいっぱいつまっていたのです。
 長吉はそのおかげで、大変な大長者になって、いつまでも楽しく暮らしたという事です。

おしまい

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