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福娘童話集 > きょうの新作昔話 >家族か、お金か
2012年 2月20日の新作昔話
家族か、お金か
むかしむかし、ある若者が砂利の中から、金の仏像を拾いました。
「この仏像には、何かの力を感じるぞ」
そこで若者は知り合いの占い師に金の仏像を見てもらうと、占い師はこう言ったのです。
「これは、大変縁起の良い仏像です。
これを朝晩おがむと、あなたはきっと大金持ちになれるでしょう。
でもその代わり、あなたは夫婦や親子の縁には恵まれません。
手に入るのは、二つに一つ。
お金を取るか、家族を取るか。
どちらを選ぶかは、あなた次第です」
それを聞いた男は、以前から好きだった女の人と結婚したばっかりだったので、
「もちろんわたしは、お金よりも家族を選びます」
と、言って、拾った金の仏像を再び砂利の中に埋めてしまいました。
その後、男は多くの子どもにも恵まれて、とても幸せに暮らしていました。
でも男は、どうしてもあの金の仏像を忘れる事が出来ません。
「家族を選んで、確かに幸せだが・・・」
ある日、男は家族には内緒で砂利の中に埋めた金の仏像を掘り返すと、天井裏に隠して家族には内緒で朝晩おがんでいました。
すると金の仏像のおかげなのか、男は急に金回りが良くなって大金持ちになったのです。
でも大金持ちになったとたん、大切な奥さんや子どもたちが次々と病気で死んでしまいました。
それから男は何度か結婚したのですが、その度に相手が病気で死んでしまったり、夫婦げんかをして相手に逃げられたりしたのです。
「金を選んで、確かに金持ちにはなったが・・・」
男は長者と呼ばれるほどの大金持ちになりましたが、家族が出来ずに死ぬまでさびしい毎日をすごしました。
おしまい
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