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福娘童話集 > きょうの新作昔話 >ほらふき男爵 寒い冬の大グマ退治
2014年 2月24日の新作昔話
ほらふき男爵 クマと火打ち石
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わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。
みんなからは、『ほらふき男爵』とよばれておる。
今日も、わがはいの冒険話を聞かせてやろう。
この前は、鉄砲を使わずに百羽のカモを捕まえた話しをしたが、今日は鉄砲を使わずに大グマをしとめた話じゃ。
わがはいがポーランドの森へ狩りに行った帰り道、鉄砲の玉が一発も残っていないというのに、突然現れた大グマが大口を開けて襲いかかってきたのじゃ。
(せめて、一発だけでも残っておれば)
念のためにポケットに入れた鉄砲の玉を探したが、やはり一発も残ってはいなかった。
だが、手にさわった物がある。
取り出してみると、それは二つの火打ち石。
「ええい、これでもくらえ!」
わがはいはむちゅうでその火打ち石の一つを、クマの大口に投げ込んだのじゃ。
すると火打ち石を口に放り込まれて気持ちが悪くなったのか、クマは回れ右をして逃げ出していきおった。
さて、普通の人間なら『こうしてクマを、見事に追い払った』と言って話は終わりだが、わがはいは違う。
わがはいは残った火打ち石を、逃げて行くクマのお尻の穴にめがけて投げ込んだのだ。
これが、実にうまくいった。
クマのお尻から入った火打ち石が、さっき口から入った火打ち石とぶつかってな。
カチン!
と、いう音がクマのお腹の中から聞こえたかと思うと、クマは黒こげになってばたりと倒れた。
その日の夕食は、クマの丸焼きというわけじゃ。
この前と同じだが、『頭を使えば、鉄砲の玉がなくても狩りは出来る』
これが、今日の教訓だ。
もっとも、鉄砲の玉を多く持って行く方が簡単だが。
あっ、これもこの前と同じか。
では、また次の機会に、別の話をしてやろうな。
おしまい
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