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福娘童話集 > きょうの新作昔話 >ほらふき男爵 ワニとライオン退治
2014年 5月16日の新作昔話
ほらふき男爵 ワニとライオン退治
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わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。
みんなからは、『ほらふき男爵』とよばれておる。
今日も、わがはいの冒険話を聞かせてやろう。
南の島へ旅行に行った時、わがはいは絶体絶命のピンチに出会った。
何しろキバをむいたライオンに追いつめられ、すぐ後ろでは大口を開けたワニがわがはいにかみつこうとしていたのだから。
これを絶体絶命と言わず、何が絶体絶命であろうか?
なに? 絶体絶命なのに、どうしてここにいるかだって?
そう、それがわがはいのすごいところだ。
わがはいがここにいるのは、絶体絶命のピンチにおちいっても決してあきらめないからだ。
では、話を元に戻そう。
この時はさすがに、わがはいも死を覚悟した。
だが決して目をつぶらず、ライオンとワニ、どちらが先に動くかを観察した。
先に動いたのは、目の前のライオンだった。
ライオンが、大きな口を開けて飛びかかって来た。
その時、わがはいはとっさに身をかがめて、ライオンの攻撃をかわした。
ライオンがわがはいの頭上を飛び越えたので、わがはいはすぐに前へ走り出した。
これで少なくとも、ライオンとワニのはさみうちはまぬがれるはずだ。
そう思った瞬間、わがはいは足を滑らせて、はでに尻もちをついてしまった。
「うぅーーっ!」
お尻が痛くて、すぐには起き上がることが出来ない。
動けないわがはいに、もうすぐ背後のライオンかワニが襲いかかってくるだろう。
わがはいの冒険も、これで終わりか。
わがはいはそう覚悟をしたが、ライオンもワニも襲っては来なかった。
なぜならわがはいの頭上を飛び越えたライオンは、そのまま反対側にいるワニの口に頭からスッポリと入ってしまったからだ。
わがはいは何とか起き上がると、ワニの口から頭が抜けずにもがいているライオンの首を切り落として、見事ライオンを退治した。
そしてワニはライオンの頭がのどにつまってしまい、息が出来ずにそのまま川に沈んでいった。
今日の教訓は、『何があっても、決してあきらめるな。あきらめなければ、活路が開く』だ。
おおっ、今日の教訓は、なかなかにかっこよいではないか。
では、また次の機会に、別の話をしてやろうな。
おしまい
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