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1月7日の日本の昔話



錦絵から出て来た女の人
浮世繪肚走出來个細妹仔

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客家語 : 鄧文政(ten33 vun55 zhin11)

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投稿者　「琴菜 ASMR」　　琴菜 ASMR

　むかしむかし、あるところに、貧乏なおばあさんと息子が住んでいました。
　頭擺頭擺，有一隻所在，戴一個窮苦个老阿婆摎厥倈仔。

　 息子はやさしいおばあさんに頼り切って、自分はその日に飲む酒代分しか働きません。
　這個倈仔非常倚恃厥慈祥个阿姆，逐日做事斯賺自家食个酒錢定定。

　 そのおばあさんが、ぽっくり死んでしまったのです。
　該個老阿婆忽然間死忒。

　 息子はおばあさんに頼り切っていたので、自分では食事の用意も洗濯も掃除も何一つまともに出来ません。
　佢个倈仔因為平常逐項事就倚恃厥姆，自家毋會煮飯、洗衫褲、掃屋，麽个都不曉得。

　 お嫁さんをもらおうと思っても、息子は貧乏なので誰もお嫁に来てくれません。
　連想愛討個餔娘，因為窮苦無人敢嫁佢，

　 息子は一人、不自由でさみしい生活を送っていました。
　倈仔一儕人逐日過着盡毋方便又弧栖个日仔。

　 ある日の事、息子は仕事に行った先の家の庭で、きれいな女の人を描いた錦絵(にしきえ)を拾いました。
　有一日，佢在做事个頭家丹墀坪肚拈著一幅畫，係裡肚有一個盡靚个細妹仔个浮世繪。

　 錦絵とは、当時人気のあった色鮮やかな絵の事です。
　這種浮世繪當時盡受歡迎，色目又艶个畫。

　 一人暮らしでさみしかった息子は、その錦絵を家の壁にはると、
　一儕人過日仔過著盡弧栖个倈仔摎該浮世繪拈轉去掛在壁頂，

　 まるで生きている人間に話しかける様に、その日の出来事などを錦絵の女の人に話して聞かせました。
　像生个人樣，摎佢講話，摎該日發生个事情講分佢聽。

　それからしばらくした、ある日の事。
　經過一站仔，有一日，

　 息子が仕事を終えて家に帰って来ると、いつもは汚い家がきれいに掃除されていました。
　倈仔事做忒轉屋下，平常屙屙遭遭，今晡日掃到淨淨俐俐，

　 それだけではなく、囲炉裏(いろり)にはちゃんと火がついていて、温かい食事の仕度も出来ているのです。
　毋單淨恁樣，火缽肚火也點著、還有燒燒个一餐飯也煮好咧。

「はて？　誰がしてくれたんだろう？」
「還奇怪？會係麽儕做个？」

　 息子は不思議に思いながらも食事を食べると、いつもの様に壁のにしき絵に語りかけました。
　該倈仔緊想緊食飯，摎平常共樣緊摎壁頂个畫講話。

「お前は、いつ見てもきれいだな。
「你啊，哪量時看到就係恁靚哪！

　 今日な、誰がやったかは知らないが、家の中がきれいに掃除されていて、おまけにおいしい晩飯が用意されていたんだ。
　今晡日毋知係麽人做个，屋下掃恁淨俐還又連好食个夜都煮好。

　 きれいな家でおいしい晩飯を食べると、まるでお前と夫婦になった様な気分だ。
　在恁淨俐个屋肚食好食个夜，就像形係兩公婆樣。

　 こんな事が、毎日毎日続くといいな」
　逐日恁仰無知有幾好。」
　
　 息子はそう言って、満足そうに寝ました。
　細倈仔講忒就感覺當滿足个去睡目。

　 それから次の日も、その次の日も、不思議な事に息子が仕事を終えて家に帰って来ると、
　該日以後第二日，在過第二日，當奇怪在佢做事做忒轉到屋下時節，

　 家の中がきれいに掃除されていて、ご飯の仕度が出来ているのです。
　屋下掃淨淨、飯煮好好。

(これは、どういう事だろう？　まさか村の娘の誰かが、やってくれているのだろうか？)
（這到底係麼个事情？敢係莊內哪個細妹仔來做个？）

　 次の日、気になった息子は仕事に行くふりをして家を出ると、すぐに戻って家の二階に隠れました。
　第二日，該倈仔毋放心詐意出門做事，黏時翻轉頭轉屋囥到二樓。

　 お昼頃、息子がふと気がつくと、家の中にはいつの間にか一人の美しい女の人がいて、家の中を掃除したり、囲炉裏の鍋に湯をわかしたりしていたのです。
　到臨晝仔，發現屋下幾時有一個當靚个細妹仔在該，一片掃屋一片在火缽肚个鑊仔煮滾水。

　 びっくりした息子は、思わず二階から声をかけました。
　該個倈仔著下驚，無想著會在樓頂出聲，講：
「あの、あなたさまは、どこのどなたですか？」
「噯，你係那位來个？麽儕？」

「きゃあっ！」
「哇！」

　 突然声をかけられてびっくりした女の人は、足を滑らせて火をたいている囲炉裏の上に倒れてしまいました。
　分該忽然間傳來个聲音嚇著个細妹仔，脚嗄打盪溜，歸個人橫在煮等滾水个火缽。

「あっ、あぶねえ！」
「啊！危險！」

　 息子はあわてて二階から飛び降りましたが、女の人は囲炉裏の火に包まれたかと思うと、一瞬のうちに消えてしまいました。
　該細倈仔慌慌張張在二樓像飛樣走下來，心肝肚想細妹仔會分火缽肚个火熝著無？無一下仔就毋見忒咧。

「どういう事だ？　それにあの女、どこかで見た顔だったが」
「仰會恁樣呢？該個細妹仔像形在哪位看過。」

　 息子が首を傾げて何げなく壁を見てみると、壁にはってある錦絵の女の人のところだけが、真っ白になっていたのです。
　細賴仔頭那側等看該壁頂掛个浮世繪个時節，頂背細妹仔个位所變到白白。

「これは！　・・・そうか、そうだったのか」
「這係！．．．係無、係恁樣無？」

　 なんと錦絵に描かれた女の人が、お嫁のいない息子をふびんに思って絵から抜け出していたのでした。
　畫在浮世繪頂个細妹仔，想著無討餔娘个細倈仔當衰過正會在畫肚走出來。

　 それから息子は何年も何年も錦絵の女の人が現れるのを待ちましたが、錦絵の女の人は二度と現れず、錦絵は白いままでした。
　從該量時開始，一年等過一年，該個細倈仔等浮世繪个細妹仔再過出現，毋過浮世繪个細妹仔無再過出現，浮世繪還係一直白白空等在該。

おしまい
煞咧