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4月11日の日本の昔話
家が栄える、おまじない
興家秘訣
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、きっちょむさんと言う、とんちの上手な人がいました。
頭擺頭擺,有一個吉四六先生个人,盡伶俐。
きっちょむさんの村には、先祖代々田畑や山をたくさん持っている金助(きんすけ)さんという大百姓がいました。
佢个村莊肚有一個安著金助个大地主,厥祖公留分佢當多田摎園還過山。
しかしどうしたわけか金助さんの代になってから少しずつ財産が減っていき、もうどうにもならない状態でした。
毋過,到金助這代,財產緊來緊少,早斯了到淨淨了。
「あれほど栄えていた家が、こうもすたれるとは。これはきっと、福の神が家を出て行ったからに違いない」
「該恁旺个家庭會敗到無半滴,定著係因為福神離開厥屋下。」
金助さんが、こう考えたのも無理はありません。
金助先生恁樣想乜係有道理。
なぜなら金助さんはとても良い人で、これまでに悪い事もお金をむだに使った事もないからです。
金助恁好个人又從來無做壞事又無亂使錢,仰會恁樣形。
それなのに金助さんの田畑だけに虫がついてお米が出来なかったり、大事な牛や馬が病気になって死んだりと、次から次へと悪い事が重なって行くのです。
毋單淨金助先生个田、園發蟲生毋出禾仔來,重要个牛、馬乜發病仔死忒,連連續續發生毋好个事情。
有名な易者(えきしゃ)に占ってもらっても原因がわからず、神主さんにお払いをしてもらっても効き目がありませんでした。
去尋該有名个算命先生卜卦乜問毋出原因,去求神社主祭乜無半息效果。
そんなある日、金助さんはふと思いました。
有一日,金助忽然間想著。
「そうだ、あのきっちょむさんだったら、何か良いまじないを知っているかもしれんぞ」
「係哪,尋吉四六先生,無定著佢知有麽个好个秘訣。」
金助さんから相談を受けたきっちょむさんは、しばらく首をひねって考えていましたが、やがて何かを思いついたのか、ひざをぽんとたたいて言いました。
吉四六先生摎金助先生談過了後,頭那側等想一下仔,像形想著麼个,用手拍一下腳七膝頭講:
「よし。ほかならぬ金助さんの頼みだから、とっておきのまじないをお教えしましょう」
「好!毋係別儕,金助先生个事情,珍藏个秘訣來教你好啦。」
「それは、ありがたい。して、それはどんなまじないだね?」
「該盡承蒙你。該係麽个秘訣呢?」
「まあ、待ってください。
「請你等一下仔。
ここでは説明出来ない事だから、明日の朝早く八幡(はちまん→八幡神を祭神とする神社の総称)さまの鳥居の下に来て下さい。
做毋得在這講,天光朝晨早兜去八幡(以八幡神為主神个神社个總稱)神社个鳥居下。
そこで、とっておきのまじないをお教えしますから。
到該位𠊎正教你珍藏个秘訣,
でもその代わり、ほかの村人が起きる前に起きて、自分の家のまわりとよその家のまわりを回ってくるのですよ。
另外,別人䟘床以前去自家屋家四向頭巡看,又乜愛去巡鄰舍正去鳥居。
そうしないと、とっておきのまじないも効き目がありませんからね」
無恁樣做該秘訣會無效哦。」
「いいとも、いいとも」
「當然,當然」
さて次の朝、金助さんは約束通り、まだ薄暗いうちに起き出しました。
第二朝晨,金助照約定,天曚光就䟘床,走出去。
金助さんは生まれた時からのお坊ちゃんなので、こんなに早起きをしたのは生まれて初めてです。
金助從生人毋識恁早䟘,第一擺恁早䟘。
「ああ、早起きの朝と言うのは気持ちが良い物だな。今日はきっと、村一番の早起きに違いないぞ」
「啊,早䟘心情還好哪!今晡日𠊎一定係全莊最早䟘床个人。」
金助さんは家の者を起こさないように着替えると、きっちょむさんの言葉通りに家のまわりを一回りしました。
金助輕輕仔換衫褲,毋敢吵醒屋下人,照吉四六先生講个,屋下巡一輪。
すると納屋の前に、昨日の仕事を終えた使用人が、すきやかまなどの道具をてきとうに置いていたのを見つけました。
又去倉庫巡看昨晡日收工後鏟仔、斧頭該兜東西有放好無?
(なんだ、これは?うちの使用人は、いつもこんなにだらしないのか?)
(仰般,這?屋下个長工常透恁儘採係無?)
金助さんは少し嫌な顔をしましたが、きっちょむさんとの約束通り、ほかの家々をまわりながら八幡さまの方へと向かいました。
金助先生面色有息無歡喜,毋過佢還係照約定,一片去別家屋巡看一片向八幡行等去。
すると驚いた事に、今日は村一番の早起きだと思っていたのは間違いでした。
過後佢發現驚人个事情,佢話著佢係最早䟘床係無毋著个。
他の家ではもう仕事を始めていて、まだ寝ている家は金助さんの家だけです。
毋過,其他个人早就開始做事了,斯金助先生屋下還在該睡目。
(これは・・・)
(這...)
金助さんが八幡さまへ着いてみると、野良着を着たきっちょむさんがもう先に来ていました。
金助先生來到八幡神社一看,著等農民做事衫个吉四六早就來到了。
金助先生喊:
「きっちょむさん」
「吉四六先生!」
金助さんが声をかけると、きっちょむさんがふり返りました。
吉四六先生斡頭看:
「やあ、金助さん。今日は、早く起きましたね。では約束通り、家が栄えるまじないをお教えしましょう」
「啊!金助先生,今晡日恁早䟘床,照約定,教你興家秘訣。」
すると金助さんは、手をふって答えました。
金助先生搖手應講:
「きっちょむさん。
これ以上、わしにはじをかかさないでくれ。
「吉四六先生,好了,毋好過瀉吾面子了!
早起きしたおかげで、家がおとろえたわけがわかったよ。
好得早䟘床个關係,了解屋下會敗个原因,
さっそく家に帰って、家の者たちと働かないとな」
想早兜轉去摎屋下个人共下來去做事。」
「それは結構。がんばれば、すぐに元の暮らしが取り戻せますよ」
「好啊,加油哦!遽遽拿轉頭過个生活。」
それから金助さんは、毎日誰よりも早く起きて家の者たちと一緒に仕事をしました。
自該以後金助先生逐日比麼人都較早䟘床,摎屋下个人共下去做事,
そのおかげできっちょむさんの言葉通り、金助さんの家は以前の豊かさを取り戻したのです。
因為恁樣,照吉四六先生講个,金助先生過著頭擺恁豐湧个日仔。
おしまい
煞咧
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