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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >にほんむかしばなし(日本民间故事) >九月
9月10日の日本の昔話
彦一の生き傘
彦一的神伞
中国語翻訳者 河南省許昌学院
・日本語(日语) ・英語(英文) ・中国語(中文)
・日本語(日语)&英語(英文) ・日本語(日语)&中国語(中文)
むかしむかし、彦一(ひこいち)と言う、とてもかしこい子どもがいました。
很久很久以前,有个叫彦一的、非常聪明的孩子。
彦一の家には、生き傘(かさ)と呼ばれる不思議(ふしぎ)な傘があるとのうわさが流れました。
曾流传着这样一个传言,说彦一的家里有一把神奇的伞。
何でも雨が降ると傘が自然に開き、雨がやむと自然に閉じるというのです。
只要一下雨那把伞就会自动打开,雨一停又会自动合上。
そのうわさはどんどん広まって、とうとうお城の殿さまの耳にも届きました。
这个传言流传的越来越广,最后传到了城主大人的耳朵里。
「ほう。それほど珍しい傘なら、ぜひ手に入れたい」
“嗬。要真是那么新奇的伞,我一定要弄到手。”
殿さまはさっそく彦一の家に使いを出しましたが、彦一はそれを断りました。
城主大人立刻派人到彦一的家说了这件事,但是被彦一拒绝了。
「この生き傘は我が家の家宝で、家族も同然です。いくら殿さまでも、おゆずりするわけにはいきません」
“那把神伞是我家的传家宝,就像家人一样。即便是城主大人,我也不能转让给他。”
使いの家来からその事を聞いた殿さまは、生き傘がますます欲しくなりました。
从他派去的人那里听说这件事的城主大人,越来越想要那把神伞了。
そこで殿さまは彦一をお城に呼ぶと、こう言いました。
于是城主大人就把彦一叫到了他的城堡里,这样说道。
「彦一よ。その傘を大切にするゆえ、どうか売ってくれまいか。値は、お前の言い値で良いぞ」
“彦一呀,我会珍惜那把伞的,你怎样才能卖给我呢。价格,你来定”
「・・・・・・」
“……”
彦一は少し考えると、殿さまに言いました。
彦一考虑了一下,对城主大人说道。
「わかりました。お世話になっている殿さまのご希望ですし、貧乏な我が家にいるよりもお城で暮らす方が生き傘も幸せでしょう」
“我知道了。既然是一直照顾我的城主大人所期望的,比起在我那贫苦的家,让神伞在城主大人这里生活会更幸福吧。”
こうして彦一は、生き傘と引き替えに殿さまから大金をもらいました。
就这样,彦一用神伞从城主大人那里换来了大量的金钱。
さて、殿さまは彦一から生き傘を手に入れたものの、この頃はお天気続きで少しも雨が降りません。
城主大人虽然从彦一那里得到了神伞,但是连着几天,一点儿雨都没下。
はやく雨が降って傘が開くところを見たいと、殿さまも家来たちも毎日イライラしていました。
“快点下雨吧,真想见见传闻中的伞。”城主大人以及仆人们每天都着急地等着。
そして彦一から傘を手に入れて十日後、ついに念願(ねんがん)の雨が降ってきました。
于是从彦一那里得到伞的十日后,心心念念的雨终于下了。
「よし、いよいよ生き傘が開くぞ」
“真棒,神伞终于要开了。”
殿さまや家来たちは生き傘をじっと見つめましたが、生き傘はなかなか開きません。
城主大人和他的仆人们一直盯着神伞,可它却怎么也不开。
「・・・どうしたのじゃ? 雨が足りぬのか?」
“…这是怎么回事,难道是雨不够大吗?”
やがて雨は大雨となりましたが、しかしいくら雨が降っても傘はいっこうに開きません。
不久便下了大雨,可不管雨下的多大,伞怎么都不开。
「なぜじゃ? なぜ開かぬ。・・・だれか、彦一を呼んで参れ!」
“这是为什么呢?为什么不会开呢。…来人,叫彦一来见我。”
殿さまは彦一を呼びつけると、カンカンに怒って言いました。
城主大人对传唤来的彦一大发脾气,说道。
「このうそつきめ! 雨が降ったのに、傘はいっこうに開かんではないか!」
“你这个骗子!明明雨都下了,伞却怎么也不开。”
「あれ? おかしいですね。今日の雨なら、生き傘は大きく開くはずですが。・・・ちょっと、生き傘を見せてもらえませんか?」
“哎?好奇怪呀。今天下雨了,神伞应该开的很大的呀。…能让我看一下神伞吗?”
彦一は生き傘のところへ行くと、悲しそうな顔をして殿さまにたずねました。
彦一去看了看神伞,就露出一副悲伤的表情向城主发问道。
「かわいそうに、こんなにやせてしまって。・・・殿さま。この傘に、何か食べ物は与えましたか?」
“好可怜呀,怎么能这样对待神伞呢。…城主大人,你们没有给这把伞吃东西吗?”
「なに? それは、どういう意味だ?」
“什么?你这是什么意思?”
「おおっ、やっぱり!
“唉,果然!
殿さま、この生き傘は、うえ死にしています。
城主大人,这把伞已经饿死了。
傘とはいえ、この傘は生きているのですよ。
这把伞不是普通的伞,它是有生命的。
生きているものには、必ず食い物がいります。
既然是活着的东西,必然要吃食物的。
注意しなかったわたしも悪かったですが、お城にはこれだけの人がいて、誰もその事に気づかなかったのですか?
没提醒你们也是我的过错,但是城主大人你有这么多人,难道就没有人注意到这件事的吗?
・・・生き傘よ、許しておくれ。
…神伞呀,请你原谅我。
せめて、立派な葬式をしてやるからな」
我一定会为你举行个盛大的葬礼”
彦一はそう言って、ワンワンと泣き出しました。
彦一这样说着就哇哇的哭了起来。
「・・・・・・」
“……”
「・・・・・・」
“……”
殿さまも家来たちも、これには返す言葉がありませんでした。
城主大人及仆人们都不知道该说些什么。
おしまい
结束
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