福娘童話集 > きょうの日本民話 福娘童話集 きょうの日本民話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 9月の日本民話 > 若い男に化けた鬼

9月10日の日本民話

若い男に化けた鬼

若い男に化けた鬼
富山県の民話富山県情報

日本語 ・日本語&中国語

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

制作: フリーアナウンサーまい【元TBS番組キャスター】

♪音声配信(html5)
朗読 : stand.fm 「癒しの森 朗読セラピー」

おりがみをつくろう ( おりがみくらぶ より)
赤鬼・青鬼の折り紙あかおに・あおおに鶏の折り紙にわとり

 むかしむかし、越中の国(えっちゅうのくに→富山県)に、一軒の鍛治屋(かじや)がありました。
 鍛冶屋といっても大勢の職人を使う大金持ちで、長者(ちょうじゃ)のような屋敷に住んでいます。
 この鍛冶屋には一人娘がいて、そろそろむこをもらう年頃になりました。
 そこで鍛冶屋は、職人たちに言いました。
「一夜のうちに千本の槍(やり)をつくれる者を、娘のむこにする」
 しかしいくら腕のいい職人でも、一夜に千本の槍をつくる事は出来ません。
「なんだ、ここにいる連中は、誰も出来ないのか」
 鍛冶屋はしかたなく、その事を立て札にして、すご腕の職人が現れるのを待ちました。

 さて、この立て札を見て喜んだのは、近くの山に住むです。
(グワハハハハ。千本の槍なんて、わけもない)
 鬼は若い人間の男に化けて、屋敷にやってきました。
 家事屋は鬼が化けた若者を見て、馬鹿にしたように言いました。
「お前みたいな若造に、千本の槍が出来るのか?」
「出来ます。一番どりが鳴くまでには、かならずつくってみせます」
「よし、それならつくってみろ」
 日がくれると同時に、若者は仕事場に入ると槍づくりを始めました。
 けれど仕事場からは、ときおり風の吹くような音が聞こえるだけで、鉄を打つ音が聞こえてきません。
「はて。いったいなにをしているのだ?」
 不思議に思った鍛冶屋は、こっそり仕事場をのぞいて見ました。
 すると驚いたことに若者は口から炎をはいて、まっ赤になった鉄をまるでアメのように曲げているではありませんか。
 槍はたちまちの出来上がり、次々と積み上げられていきました。
 この調子では、夜明けを待たなくても千本になってしまいます。
 鍛冶屋は恐ろしくなって、なんとか仕事をやめさせる方法はないものかと考えました。
(こうなったら、槍が千本出来あがる前に、一番どりを鳴かせてやる)
 鍛冶屋は熱湯をつぼに入れると、ニワトリ小屋にしのびこみました。
 どのニワトリも、まだ眠ったままです。
(どうか、一匹でも鳴いてくれますように)
 鍛冶屋はいのる気持ちで、ニワトリのとまり木に熱湯を流しました。
 そのとたん、ニワトリたちは驚いて、
「コケコッコー!」
と、鳴いたのです。
 それを聞いて、若者に化けていた鬼はビックリです。
(さては、正体がばれたか。あと一本だったのに)
 若者はたちまち鬼の姿にもどると、そのまま外へ逃げ出しました。
 それを見た鍛冶屋は、ホッと胸をなで下ろしました。
「やはり鬼であったか。・・うん? おおっ、これは!」
 鬼が逃げ出した後には九百九十九本の槍が残されており、どの槍もすばらしいできばえだったのです。
 その後、その槍は鬼の槍として評判になり、鍛冶屋はますますさかえたという事です。

おしまい

前のページへ戻る


     9月10日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
屋外広告の日
きょうの誕生花
秋海棠(しゅうかいどう)
きょうの誕生日・出来事
1985年 松田 翔太 (俳優)
恋の誕生日占い
太陽の様に明るく、人を引きつけるオーラの持ち主
なぞなぞ小学校
土が好きな魚は? (漢字なぞなぞ)
あこがれの職業紹介
パピートレーナー
  9月10日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
彦一の生き傘
きょうの世界昔話
ほら吹き男爵 八本足のウサギ
きょうの日本民話
若い男に化けた鬼
きょうの日本民話 2
段右衛門(だんえもん)のとんち
きょうのイソップ童話
盗みをする子どもと母親
きょうの江戸小話
へとおもえ
きょうの百物語
朱の盤の化け物

福娘のサイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ