|
|
福娘童話集 > 百物語 > 二月
2月13日の百物語
(2月13日的日本鬼故事)
鏡に化けた黒クモ
鏡蛛
・日本語 ・日本語&中国語
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「櫻井園子」 櫻井園子エス代表 《櫻井園子キャンドルWEB販売》
むかしむかし、越中の国(えっちゅうのくに→富山県)のある山のふもとに、一人の男が住んでいました。
到好久以前越中國(現富山縣)有個山腳底下、住到有個男的。
男は百姓でしたが、春になると桑畑(くわばたけ)を持っている百姓から桑の葉っぱを買って、カイコを育てている家へ売りに出かけます。
本業是農民、不過到春天也會買點桑葉子賣起養蠶那些人賺點外快。
そして夏になるとカイコを育てている家からカイコのまゆを買って、それを町まで売りに行くのです。
夏天就又買些蠶蛹到街上去賣。
カイコのまゆから出来る絹は高価なので、なかなかの稼ぎになりました。
蠶蛹可以用來作布、也是有人買過來賺錢
ある夏の事、男は山奥にカイコを育てている家があると聞いて、初めて行く山道をどんどんのぼって深い谷川の上に出ました。
就有個夏天、男的就打聽到山裡面有個養蠶的、
這地方男的從來米來過、就一直爬山路、後面又看到一條好深的溪。
切り立った岩の下には青黒く澄んだ淵があり、まるで鏡の様に澄み切っています。
絕壁底下就是一條潭子、水清的就跟鏡子一條的。
「良い眺めだな」
這看得清楚。
男は木につかまって、その淵を見下ろしました。
男的抓到樹、腦殼就往水塘裡面望。
そしてふと顔をあげると、目の前にキラキラと光る物がありました。
然後腦殼抬起來、這就看到一個甚麼東西到閃閃發光。
(これはすごい。何てきれいな鏡だ)
這是條好厲害的鏡子
谷の上の空中に、長さが三尺(さんじゃく→約1メートル)ほどもあるきれいな鏡が浮かんでいたのです。
水面上空浮到有一條差不多一米長的鏡子。
鏡は太陽の光に反射して、その光が谷川の水にキラキラとうつっています。
鏡子反射太陽的光、然後光就閃到水面上。
(この鏡を手に入れれば、とても高値で売れるだろう。うまくすれば、長者になれるぞ)
我若是幫這個鏡子搞到手、肯定可以賣個大錢、以後也就起來了。
鏡は空中に浮いていますが、その後ろの岩場から手を伸ばせば届きそうです。
鏡子雖然是漂到天上、摸到鏡子後面的大石頭上面、看樣子是碰的到。
(取って取れない事はないな。よし、この場所をしっかりと覚えて、道具を持ってまた取りに来るとしよう)
沒得甚麼是想做確做不了的、我就幫這個地方記起來、幫傢伙取過來這就開始搞鏡子。
男はひとまず、自分の家へ帰る事にしました。
男的先是回自己屋一趟。
さて、男からこの話を聞いたおかみさんが、心配して言いました。
到屋之後他堂客聽自己男人幫這條話一港、就開始擔心。
「空中に浮かんだ鏡を取るなんて、そんな危ない事はやめておくれよ。もし足でも滑らせて、命をなくしたらどうするんだい」
要取天上的鏡子那好危險、萬一是滑一下、那人就沒得了。
「命をなくすなんて、大げさな。大丈夫、手を伸ばせば届くんだから」
怎麼得命米得、我手伸一哈就摸到了、穩當得很。
「でも、やっぱり万一の事があったら」
要是有個萬一啦
「心配するな。それよりはやく戻らないと、ほかの人に見つけられてしまう」
不得了、我要趕快回去了、要是其他人發現就不好了。
男はそう言って、なわと山刀を持って出て行きました。
港完、男的就取一捲繩子跟刀出去了。
「お前さん・・・」
莫走
男が心配でならないおかみさんは、まさかりをかつぐと息子と一緒に男の後を追いかけました。
女的也是不放心就帶把斧頭和自己兒跟到男的屁股後頭。
おかみさんと息子がどんどん山道をのぼって行くと、男から聞いた谷川の上に鏡が浮かんで、太陽の様にまぶしく光っています。
女的和兒也開始爬山路了、這就看到山谷河高頭確實是有個大鏡子、和太陽一樣閃到光的。
「本当。あの人の言った通りだわ」
是真的啊
おかみさんがふと下を見ると、男が岩を伝って、少しずつ鏡に近づいて行く姿が見えました。
女的再看底下、男的順到石頭、慢慢慢慢到往鏡子摸。
岩にはコケが生えていて、今にも足を滑らせて落ちてしまいそうです。
石頭上面都是些青苔、一飆人就落落去了。
(どうか、落ちませんように!)
這就開始祈禱啦。
おかみさんは、手を合わせました。
そのとたん、
這個時候
「うぎゃーーーー!」
叫聲
と、ものすごい悲鳴が、谷川に響きました。
山谷裡面就是一條慘叫
おかみさんがはっと顔をあげると、男の姿がありません。
女的就是一臉白、男的已經看不到了。
「大変! 落ちたんだわ!」
人落下去啦。
おかみさんと息子は谷川のせまいところを渡り、淵へおりていきました。
女的和自己兒這就慢慢摸落去、要下到溪裡面去看情況。
ふと上を見ると、いつの間にか鏡が消えています。
這個時候發現剛剛天上的鏡子甚麼時候不見了。
二人が不思議に思いながらも男を探していると、ふちのそばの岩かげからうめくような声がしました。
母子二條也是覺得奇怪但是也是先邏男人
這個時候溪邊的石頭後面就傳來叫聲。
「お前さん、大丈夫かい!」
這也是以為邏到人了
おかみさんが急いで駆けつけてみると男が倒れていて、その上に人間よりも大きな黒クモが、おおいかぶさるように乗っていました。
女的衝上前一看、男的就倒到地上的、上面有條比人還大的蜘蛛、就趴到他男人身上的。
男の体は黒クモの糸でぐるぐるまきにしばられていて、まるでカイコのまゆの様です。
男的就著蜘蛛吐絲像綁粽子一樣包起來的。
「お前さん、いま助けるからね!」
我這就過來了。
おかみさんはまさかりを振り上げて、黒クモに飛びかかりました。
女的就舉起斧頭過去劈蜘蛛了
息子も山刀を抜いて、黒クモに切りつけます。
他兒也幫匕首抽出來、對到蜘蛛戳
すると黒クモは口を大きく開けて、
蜘蛛就大口一開。
シューーーーッ!
聲音
と、口から糸を吹き出して、二人にあびせました。
瘋狂吐絲、兩人就中啦。
その糸はとても丈夫で糸がからまった足が動かなくなりましたが、おかみさんはそのままクモの頭にまさかりを振り下ろしました。
踋著吐絲了人動不了了、但是女的還是用斧頭幫蜘蛛腦殼劈到了。
そして息子が山刀で黒クモの首を切り落とすと、黒クモはまっ黒い血を吹き出して、それっきり動かなくなりました。
然後他屋兒在用匕首幫蜘蛛腦殼一下、腦殼裡面黑色的血就瘋狂往外面噴、大蜘蛛也就不動了。
「お父さん!」
老頭
息子が山刀で、男にまきついているクモの糸を切り裂きました。
他兒就幫包成粽子的老頭用刀割開。
「お前さん、しっかりおし!」
女的就抱到男的一直搖
おかみさんが男を抱き起こしましたが、男はすでに死んでいました。
可惜這人是已經死啦。
息子が周り見ると、人間の骨がいくつも転がっていました。
他兒就對到旁邊看一眼、地上全是死人骨頭
この黒クモは鏡に化けて人をだまし、近づいて来た人間をカイコのまゆの様にして食べていたという事です。
這就是條專門變成鏡子的蜘蛛精、騙人過來包粽子、然後吃。
おしまい
结束
(回到上一页)
|
|
|