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福娘童話集 > 百物語 > 三月
3月20日の百物語
(3月20日的日本鬼故事)
人を水中に引き込むカッパ
水鬼
・日本語 ・日本語&中国語
むかしむかし、滝のあるふち(→川の深いところ)に、一匹のカッパが住んでいました。
到好久以前、瀑布底下水塘(深水區)、有條水鬼住哪裡的。
このカッパは、頭の上の皿をどんな物にでも変えられるという、不思議な力を持っています。
這水鬼頭上還有個盤子、甚麼都可以變化、不可思議。
ふちのそばで美しい花を咲かせたり、大きな魚にして、それを人が捕ろうとしたとたん、腕をつかんで水中深く引っ張り込んでしまうのです。
一哈又是奇花、一哈又是大魚、人只要一靠、幫你兩個手一拉就扯到水裡面去了。
このカッパの為に、これまで何人の人が命を落としたかしれません。
因這條水鬼、死的人也是不計其數
このふちの近くの村に、上野介(こうずのすけ)と言う侍が住んでいました。
水譚邊上就是一個村、住一條武士喊上野介
村でも評判の力持ちで、米俵(こめだわら)を片手で軽く持ち上げ、ぬかるみに落ちた荷物いっぱいの車でも、楽々と引っ張り上げる事が出来ました。
村裡都港他是條狠腳色、米袋子一個手輕輕就抬起來了、貨車裝滿東西陷稀泥巴裡面、他輕輕就扯出來了。
ある日の事です。
就有天
町からの帰り道に上野介がこのふちのそばに来ると、目の前にきれいな女のかんざしが浮いています。
從街上回去、走到水塘邊上、武士看到一根好乖的釵子。
よく見ると、お城のお姫さまがさす様な立派なかんざしで、村の娘の手に入る様な品物ではありません。
這一看就是有來歷、肯定是宮裡面貴人用的、村裡面的村姑根本就搞不到。
「これは、良い物を見つけたぞ」
好東西啊
上野介は思わず手を伸ばして、このかんざしを取ろうとしました。
武士就去取釵子。
そのとたん、水の中から青白い腕が伸びてきて、上野介の手首をつかみます。
水鬼手就從水裡持出來、幫武士一拉。
上野介はビックリして手首を引っ込め様としましたが、その力の強い事。
武士馬上放手幫手持回來、水鬼力氣好大。
今にも水の中へ、倒れそうになりました。
馬上就要著拉水裡面去了。
しかし、さすがは力持ちで知られた上野介です。
但是武士也是有本事
逆に、もう一方の手で青白い腕をつかむと、上へ引っ張り上げようとしました。
就用另外一隻手幫扯自己的手反過來往岸上扯。
どっちの力も強くて、引っ張ったり、引っ張られたり、なかなか勝負がつきません。
不分上下、你扯過來我扯回去。
それでも上野介が思い切り力を入れてふんばると、一匹のカッパが姿を現しました。
武士就一哈用好大的勁、上來一條水鬼。
(カッパの仕業であったか)
我日、是水鬼
上野介は、そのままカッパを上に引き上げると、後ろへ放り投げました。
武士幫水鬼扯上來就是往後面一甩。
バコン!
撞擊聲
と、言う音がして、カッパは後ろの岩に叩きつけられます。
水鬼就著甩到後頭石頭上了。
上野介はホッとして、カッパのそばへかけ寄りました。
武士又慢慢跑到水鬼邊上。
「あぶないところだった。考えてみれば、かんざしが水に浮くわけはない」
差點噶卵了、好甚想一哈、水裡面怎麼得浮釵子。
言いながらカッパを見ると、気を失っているだけで、どこにも怪我をしていません。
這就看一眼水鬼、也米傷甚麼、就是暈了。
(さすがは、ふちの主だけの事はある)
武士也是嘆水鬼兇悍。
上野介は近くの木のつるを取ってカッパを縛りあげると、肩にかついで家に連れ帰りました。
武士隨便到旁邊抽幾根藤蔓、幫水鬼捆起來往屋裡扛了。
屋敷の者たちは、カッパを見てビックリ。
屋裡人一看綁條水鬼過來、骸一跳。
「なるほど、これがカッパというものか」
這就是水鬼啊
「それにしても、恐ろしい顔をしているものだ。こんなカッパを生け捕りにするなんて、やっぱり旦那さまは大したものよ」
這臉看起來好駭人、還捉條活的、是真的猛。
みんなが感心していると、ふいにカッパが目を開けました。
大家都圖個新鮮、這時、水鬼幫眼睛開了。
「おっ、気がついたぞ。逃げられたら大変だ」
醒了、注意到、莫讓他跑了。
屋敷の者たちは縄(なわ)でカッパをグルグル巻きにして、庭の木に縛りつけました。
屋裡人取繩子來、一圈又一圈、綁後院樹上。
こうなっては、さすがのカッパも、どうする事も出来ません。
水鬼這也米法了、任你玩啦。
カッパはなさけない顔でうなだれたまま、ジッと地面をにらんでいました。
水鬼看自己現在這個樣子、也是沮喪、人也不動了、就一直對地板看。
それを見て、上野介が言いました。
武士看水鬼這樣子。
「いいか。どんな事があっても、水をやるでないぞ」
就跟底下人港、不管有甚麼事、都記得莫跟他過水。
ところが夜になると、カッパは、
一到晚上。
クエン! クエン!
叫聲
と、吠える様に泣き出し、うるさくてかないません。
水鬼就吼起來哭、好嘲人。
台所で仕事をしていた女中(じょちゅう)の一人が、水びしゃくを持ったまま庭へ飛び出し、
到廚房做事的下人心裡就好躁、拿條瓢挖
「うるさいねえ、いいかげんにしろ!」
莫嬉!
と、その水びしゃくでカッパの頭をコツンと叩いたら、水びしゃくの中に残っていた水がカッパの頭の皿にかかりました。
就用瓢挖砸水鬼腦殼、哪曉得瓢裡面有幾滴水滴到水鬼頭上盤子裡面去了。
するとカッパはみるみる元気になり、グルグル巻きの縄を引きちぎって、そのまま庭の外へ飛び出しました。
水鬼這一哈就有威力了、幫繩子掙了個稀巴卵爛、馬上飛奔。
「カッパが逃げた!」
水鬼跑啦!
女中の叫び声を聞きつけて、上野介や屋敷の者がかけつけましたが、すぐに姿は見えなくなりました。
聽到下人嬉、屋裡人和武士全部跑出來、水鬼早不見到哪裡去了。
しかし、これにこりたのか、このカッパは二度と人を水の中へ引き込む事はなかったという事です。
也不曉得是不是這回事、這水鬼以後就都不敢再拖人了。
おしまい
结束
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