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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >四月
4月2日の百物語
ネコの大カボチャ
猫的大南瓜
翻訳者 広東省恵州学院 洪毅洋
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、あるところに、年老いたネコを飼(か)っている家がありました。
很久很久以前,有一个地方,一户人家养了一只很老的猫。
ある日の事、その家のおかみさんが鏡(かがみ)の前で化粧(けしょう)をしていたら、そこへネコが来て、
「まあ、きれい」
と、言いました。
一天,这家的夫人正在镜子前面梳妆打扮的时候,猫走过来说:“啊,真漂亮。”
「あら、おせじでもうれしいねえ。誰だい?」
“哎呀,虽然是奉承我,我也很开心。是谁呀?”
おかみさんが振り向いてみると、そこにはネコしかいません。
夫人转过头来左右张望,除了猫,没有看见其他人。
「しゃべったのは、お前かい? ・・・まさかね」
“刚刚说话的,是你?……不会吧!”
「はい、今日のおかみさん、本当にきれい」
“是的。夫人今天真的很美。”
「・・・!!!」
“……!!!”
びっくりしたおかみさんは部屋を飛び出すと、主人の部屋に駆け込みました。
被吓了一跳的太太从房间飞奔出去,急急忙忙地跑进丈夫的卧室里。
「たっ、たいへんだよ! ネコが、うちのネコは、化けネコだよ!」
“大……大事不好啦!那只猫,我们养的猫,是一只怪猫!”
「そんな、馬鹿な」
“怎么会?别说傻话。”
「なにが馬鹿なもんか。化けネコでなくちゃ、ものを言うわけがない」
“才不是在说什么傻话!如果不是怪猫的话,怎么会开口说话呢?”
おかみさんは、さっきの出来事を詳しく話しました。
太太把刚才发生的事一五一十地说了出来。
話を聞いているうちに、主人もだんだん恐ろしくなってきました。
听到这样的话,老爷也慢慢觉得害怕起来。
「確かにそれは、化けネコだな」
“那确实是只怪猫啊!”
「今のうちになんとかしなくちゃ、お前さんもわたしも食い殺されてしまうよ」
“现在,要是不做点什么,你我都会被它杀死吃掉的。”
「そうだな。かわいそうだが、殺してしまおう」
“是啊。虽然很可怜,但还是杀了它吧。”
主人は庭(にわ)で寝ていたネコを、いきなり棒(ぼう)で殴り殺し、その死がいを裏の畑に埋めました。
老爷就把正在庭院睡觉的老猫一棒子打死了,并把尸体埋在后院的田地里。
「迷わず、成仏(じょうぶつ)してくれよ。なまんだぶ、なまんだぶ」
“解脱尘世烦恼,成佛去吧!南无阿弥陀佛,南无阿弥陀佛。”
それから一年間は、何事もなく過ぎました。
在这之后,他们家平安无事地度过了一年。
その次の年、ネコを埋めたところに、大きなカボチャがなりました。
第二年,在埋着老猫尸体的地方,长出了一个大南瓜。
これまでに見た事もない大きなカボチャで、見るからにおいしそうです。
因为是从前未曾见过的大南瓜,看起来很好吃的样子。
「これも、化けネコを退治(たいじ)したおかげだな」
“这可能也是对亏了降伏了怪猫才有的。”
主人は大喜びでカボチャを取り入れると、家族みんなで食べました。
老爷欣喜地把大南瓜收进来,一家人一起吃了南瓜。
ところがカボチャを食べたとたん、みんなは苦しみ出して、まるでネコの様なうなり声をあげます。
可是吃了南瓜之后,大家立刻变得痛苦不堪,发出了宛如猫叫一样的呻吟声。
驚いた近所の人たちが家族を医者を連れて行きましたが、どんな薬を飲ませても、さっぱり効き目がありません。
惊恐的邻居们连忙给这家人请来医生,但是无论吃了什么药都完全没有见效。
「カボチャを食べたぐらいで、こんな事になるとは・・・」
“只是吃了个南瓜,就变成这样……”
医者も、不思議そうに首を傾げます。
医生也纳闷,觉得不可思议。
「これはもしかすると、医者よりも占い師の出番かもしれないな」
“可能比起医生,这种事让占卜师来会更好吧。”
そこで占い師を呼んで来ると、占い師が寝ている主人に尋ねました。
于是就叫了占卜师过来,占卜师问了卧床不起的老爷。
「これは、何かのたたりに違いない。ご主人、近頃、生き物を殺した覚えはないか?」
“这肯定是什么东西在作祟。请问老爷,最近有没有杀过生呢?”
主人が、真っ青な顔で苦しそうに言いました。
老爷脸色发青,一脸痛苦地说:
「実は一年前、ネコを殺して畑に埋めました」
“其实,一年前杀了一只猫,埋在田地里了。”
「原因はそれだ! ネコがうらんで、たたりのカボチャを食わせたのだ。畑のカボチャを掘り返してみよ」
“原因就是它了!因为吃了被猫的怨气诅咒的南瓜才会变成这样。不信的话去把田里的南瓜翻出来看看。”
占い師に言われて近所の人たちが畑を掘り返してみると、地面の中からネコのガイコツが出て来て、そのネコの口からカボチャの茎(くき)が出ていたのです。
按占卜师说的,邻居们去翻看了田地,果然在地里挖出了猫的骸骨,从那只猫的嘴里长出了南瓜的茎。
「占い師の言った通りだ」
“真像占卜师说的那样!”
近所の人たちがネコの墓をつくり、ねんごろにほうむってやりました。
邻居们就给猫做了墓,每年去拜祭一次。
すると不思議な事に、カボチャを食べて苦しんでいた人たちの病気がうその様に治ってしまったのです。
于是,不可思议的事情发生了。吃了南瓜而苦不堪言的人们的病莫名其妙地痊愈了。
それ以来、主人とおかみさんは、たとえノラネコであっても、家にやって来るネコを大事にあつかったそうです。
从那以后,听说老爷和夫人对来到家里的猫都会十分珍惜地对待,即便是野猫也是如此。
おしまい
結束
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