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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >四月
4月3日の百物語
見たな!
妖怪女佣
翻訳者 広東省恵州学院 林彩銀
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、都でも名のある屋敷に、どこからともなく一人の美しい女がたずねてきました。
很久很久以前,都城有名的宅邸里,来了一位来历不明的美丽女子。
「どうか、お屋敷で働かせてください」
“请让我在宅邸里工作。”
屋敷には女中(じょちゅう)が大勢いましたが、奥方は女の気品の良さが気に入って、しばらく働かせてみる事にしました。
虽然宅邸里有许多女佣人,但是夫人对这位女子高雅的气质非常中意,所以决定让她尝试着做一段时间。
すると女は、言葉使いといい、こまやかな気配りといい、女中として申し分ありません。
女子无论在措辞方面也好,在对人的细心照料方面也好,作为女佣人来说都是无可挑剔的。
花をいけさせても、字を書かせても、素晴らしい手なみです。
不论是让她打理花丛或是写字,都是极好的能手。
主人も、すっかり女を気に入って、
「部屋を与えて、大事にいたせ」
と、奥方に言いました。
就连主人也对这位女子很满意,对夫人说:“要重视她,给她一间房间。”
ある晩の事。
这是某一天晚上的事情。
奥方が夜ふけに女の部屋の前を通ると、あんどんがぼんやりともっていました。
深夜里,夫人睡眼朦胧地提着灯笼,经过了这位女子的房门前。
「あら? 今頃まで、何をしているのかしら?」
“咦?这么晚还在做着什么呢?”
奥方がそっと部屋をのぞくと、体から頭を抜き取った女が、抜き取った自分の頭を鏡台の前に置いて、その顔にお化粧をしているのでした。
夫人悄悄地向房间里窥视,发现这位女佣人把头颅从身体上拿下来,放在梳妆台前,为头颅的脸化妆。
「!!!」
“!!!”
あまりの事に、奥方は声も出ません。
夫人惊慌到发不出声。
女はお化粧を終えた頭を両手で持ち上げると、くいくいっと、自分の体にはめ戻して、何事もなかった様に寝てしまいました。
女子用双手把上妆后的头颅托起,放回自己的身体后,像什么都没发生过一样入睡了。
奥方は主人の部屋に駆け込むと、さっき見た事を話しました。
夫人立即跑进主人的房间,把刚才看到的事情说了出来。
そして二人は相談をして、女をやめさせる事にしたのです。
然后两个人经商量后,决定解雇这位女子。
あくる朝、奥方は女に言いました。
第二天早上,夫人对那名女子说:
「突然ですが、主人の言いつけで女中を減らさねばなりません。
“虽然有点突然,但是丈夫吩咐说要必须要解雇部分女佣人。
あとから入ったあなたをそのままにして、他の者にひまを出す事は無理ですから、残念だけどお前さんに・・・」
如果不解雇后来才雇请的你而解雇其他人会说不过去的,所以很遗憾,只能把你……”
すると話しを聞いていた女は、みるみる目をつりあげて、
「さては、見たなっ!」
と、耳まで裂けた口から恐ろしい声をあげて、奥方に飛びかかろうとしました。
听完后,那名女子瞬间抬起头,嘴角裂开至双耳,发出慑人的声音,“果然是看到了!”,又以迅雷不及掩耳之势猛扑向夫人。
その瞬間、
「化け物め、思い知れ!」
と、部屋に飛び込んだ主人が、刀で女の首を切り落としたのです。
就在那一瞬间,主人冲进房间,口念“妖怪,觉悟吧”,用刀砍下了那名女子的头。
主人に切り殺された女の正体は年老いた大ネコで、尾の先がふたまたになっていました。
被主人收服的那名女子的原形是一只年老的双尾大猫。
これは、ネコまたと呼ばれる妖怪です。
这是被称为双尾猫的妖怪。
そしてそのひたいには、鬼の様な角が生えていました。
而且它的额头还有一个像鬼怪一样的角。
主人は、ネコまたの死骸に手を合わせて言いました。
事后,主人合着双手,对着双尾猫的死骸口念
「みやびな家に、長い間飼われていたネコであったのだろう。よく働いてくれたが、妖怪を家に置いておくわけにはいかん。許せよ」
“在宁静优美的宅邸里,养了一只猫一段时间。虽然很认真地工作,但是不可能在家里留着一只妖怪。请宽恕”
それから主人はお坊さんを呼ぶと、ネコまたの為にお経をあげてもらいました。
然后,主人请来了僧人,为双尾猫念经超度。
おしまい
結束
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