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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >五月
5月19日の百物語
魔物のふろしき包み
怪物的包裹
翻訳者 広東省恵州学院 李杏
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、あるところに、力自慢の荷物担ぎの男がいました。
很久很久以前,在一个地方里,有一个力大自夸的挑行李的男子。
荷物担ぎの男は大きな荷物を担いでは、
挑行李的男子一旦挑着重的行李的话,就会边喊着
「どけどけ、じゃまだ、じゃまだ」
“挪开挪开,挡着我了,挡着我了”,
と、街道を、我が物顔で行き来していました。
边霸道地来回穿行于街道上。
ある日の事、この荷物担ぎの男が峠の茶店で一休みしていると、一人の美しい旅の女が、
有一天,这个挑行李的男子正在山顶的茶店稍作休息的时候,就发现有一位美丽的女游客来询问他,
「その荷物、重そうですが、どのくらいおありですか?」
と、たずねてきました。
“那个行李,看起来很重的样子,有多重呢?”
すると荷物担ぎの男は、自慢げに言いました。
于是挑行李的男子带着傲慢的语气说:
「ざっと、七十貫目(70かんめ→260キログラム)だ。街道には多くの荷物担ぎが通るが、どいつもこいつもだらしなく、せいぜい十五貫目がやっとさ。がはははは」
“大约是70贯目。街上有很多挑行李的人,但是个个都是没出息,充其量不过是十五贯目,嘎哈哈哈哈。”
それを聞いた旅の女は、
听了那番话的女游客便说:
「では、わたくしのこの手荷物くらい、難なく持ち上げられましょうね?」
“那么,我的这么点随身行李,你应该能毫无困难的拿起来吧?”
と、小さなふろしき包みを、荷物担ぎの男の前にポイッと置きました。
并把一个小的包裹随手轻放在挑行李的男子面前。
「当たり前だ。こんな物、小指の先で十分・・・」
“当然了。这样的包裹,用小指头就足够了······”
荷物担ぎの男はふろしき包みに指をかけましたが、どうした事か、びくともしません。
挑行李的男子用手指提了下包裹,可是不知道为什么,包裹却丝毫也没有动。
「ややっ。これは、どうした事だ?」
“哎呀,这是怎么回事?”
荷物担ぎの男はふろしき包みの両側に足を踏ん張って、ふろしき包みを両手で持ち上げようとしました。
挑行李的男子在包裹的两边用力叉开双腿,想要用两只手把包裹拿起来。
しかし小さなふろしき包みは、荷物担ぎの男がいくら頑張ってもびくともしません。
但是,不管挑行李的男子怎么努力,小小的包裹还是丝毫不动。
「こんなはずは。
うーん!
・・・なぜだ!
なぜ持ち上がらん!」
“怎么会这样?
哎!
为什么?
为什么不动?”
すると旅の女は、そのふろしき包みを片手でひょいと持ち上げて、
于是女游客单手把那个包裹轻轻地拿了起来,说:
「ふん! 女の手荷物一つ持ち上げられないくせに、街道を我が物顔でのし歩くなんて、あつかましいにもほどがあるよ!」
“哼,明明连女人的一个包裹都拿不起来,却在街上横行霸道地走来走去什么的,厚颜无耻也要有个限度!”
と、言ったかと思うと、みるみるうちに口が耳まで裂けて化け物の姿に変わりました。
刚说完,转眼间女游客就变成了嘴巴裂开到耳朵的妖怪的样子。
そして大きな口から、まっ赤な炎を噴き出しました。
然后从血盆大嘴里喷出了火红的焰火。
「ギャーッ!」
“啊!”
荷物担ぎの男は悲鳴を上げてはいつくばると、懸命に祈りました。
挑行李的男子发出一声悲叫跪伏在地上,拼命地祈求,
「神さま、仏さま、ご先祖さま。何とぞ、お助けください!」
“神仙大人,佛祖大人,祖先大人,无论如何请救救我吧!”
荷物担ぎの男がはいつくばったまま祈っていると、茶店の主人が心配そうに声をかけました。
挑行李的男子跪伏着祈求的时候,就听到茶店的老板用很担心的声音问道
「あの、お客さま。どうなさいました」
“那个,这位客人,怎么了吗?”
そこで荷物担ぎの男が恐る恐る顔を上げてみると、さっきの旅の女は影も形もありません。
于是挑行李的男子尝试着抬起战战兢兢的脸,竟发现刚刚的女游客连身影都不见了。
荷物担ぎの男が、茶店の主人にたずねました。
挑行李的男子便向老板询问道,
「あの化け物は!?」
“那个怪物呢!?”
「化け物?」
“怪物?”
「ああ、旅の女が、化け物に姿を変えただろう!」
“啊啊,女游客是变成了怪物吧!”
「さあ? わたしは店の奥にいましたので、お客さま以外は、誰も見ておりませんが」
“嗯?我在店的里面,所以除了客人您之外,我谁都没有看到”
茶店の主人はそう言うと、不思議そうに首を傾げながら店の奥に戻ってしまいました。
茶店老板那样说着,便一边不可思议的歪着头一边回到了店里。
「まさか、さっきのは夢だったのか? ・・・これは!」
“难道,刚刚的是梦吗?······这是!”
荷物担ぎの男がふと地面を見ると、旅の女のふろしき包みと同じ大きさのくぼみが地面にあって、その両側に荷物担ぎの男が踏ん張った足跡がはっきりと残っていたのです。
挑行李的男子不经意地看向地面,便发现在地面上有一个和女游客的包裹一样大的坑,它的两边清晰地残留着挑行李的男子用力叉开两腿的足迹。
「やはり、さっきのは夢ではなかった。あれはきっと神さまが、おれの力自慢をいましめようとしてやったに違いない」
“果然,刚刚的并不是梦。那个肯定是神仙大人因为我自夸力量而做出的惩戒。”
それから荷物担ぎの男はすっかり気持ちを入れ替えて、二度と力自慢をしなくなったという事です。
从那以后挑行李的男子便完全改换了性情,成为了再也不自夸力量的人。
おしまい
结束
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