福娘童話集 > きょうの百物語 福娘童話集 きょうの百物語 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 


福娘童話集 > きょうの百物語 > 7月の百物語 > 海坊主

7月5日の百物語

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「りっきぃの夜話」  りっきぃの夜話

海坊主

にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文

おりがみをつくろう ( おりがみくらぶ より)
船の折り紙ふね   ヨットの折り紙よっと

♪音声配信(html5)
朗読者 ; スタヂオせんむ

 むかしむかし、ある夏の事。
 漁師(りょうし)たちが海で魚を取っていましたが、どうした事か、今日はほとんど魚が取れません。
「仕方がない、もっと沖へ行こうか」
「そうだな。これでは、かせぎにならん」
 そこで船を沖へ移動させると、今度は面白い様に魚が取れます。
 そこでついつい夢中で取っているうちに、すっかり日が暮れてしまいました。
「さあ。今日は、もう帰るぞ」
 そう言って漁師たちがアミをしまっていると、突然波の中から、坊主頭の様な物が浮かび上がってきたのです。
「でっ、出たー! 海坊主だー!」
 漁師たちはみんな、ブルブルと震え上がりました。
「何をボヤボヤしている! はやく船をこいで、浜(はま)へ逃げるんじゃ!」
 船頭の言葉に漁師たちは我に返ると、懸命に船をこぎ始めました。
 しかし海坊主も泳いで来て、船べり(→船の側面)に手をかけました。
 そして、恐ろしい声で言います。
「ひしゃく。ひしゃくをくれえ~。ひしゃくをくれえ~」
「わかった、いまやる」
 漁師の一人がひしゃくを渡そうとすると、船頭はそのひしゃくの底を素早く打ち抜いて、船べりからなるべく遠くへと投げました。
「それ、今のうちに、全力でこぐんだ」
 一方、海坊主は遠くへ投げられたひしゃくを追いかけて行きましたが、そのひしゃくの底が抜けている事に気がつくと、
「よくも、だましたな! 待てぇー!」
と、すごい勢いで船を追いかけてきました。
 しかし船は間一髪のところで浜へ着くと、みんなが浜へと駆け上がったので、海から出る事が出来ない海坊主にはどうする事も出来ません。
 海坊主は、しばらくうらめしそうに漁師たちを見ていましたが、やがてどこかへ行ってしまいました。
「ああ、恐ろしかった。しかしどうして、ひしゃくの底を抜いて遠くへ投げたんじゃ?」
 漁師の一人が聞くと、船頭はこう答えました。
「これからもある事だから、よく覚えておけよ。
 もしあの時、海坊主の言う通りに底のついたひしゃくを渡してしまったら、海坊主はそのひしゃくで海の水を船にくみ入れて、最後には船を沈めてしまうんだ。
 かと言って、ひしゃくを渡さないと、海坊主は怒って船を壊してしまう。
 だから、底を抜いたひしゃくを渡すんじゃ」
 それを聞いて漁師たちは、さらに震え上がりました。

おしまい

前のページへ戻る


     7月 5日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
ビキニスタイルの日
きょうの誕生花
カラジウム(Caladium)
きょうの誕生日・出来事
1984年 山田 優 (モデル)
恋の誕生日占い
頭が良くて流行に敏感
なぞなぞ小学校
教頭先生が生まれた都道府県は?
あこがれの職業紹介
小学校教師
恋の魔法とおまじない 187
甘い関係になるおまじない
  7月 5日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
この下に金なし
きょうの世界昔話
吸血鬼
きょうの日本民話
なごのわたり
きょうのイソップ童話
キツネとイバラ
きょうの江戸小話
山伏の占い
きょうの百物語
海坊主

福娘のサイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ