|
|
ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >七月
7月5日の百物語
海坊主
海妖怪
翻訳者 広東省恵州学院 蒋戴仰
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、ある夏の事。
这是很久很久以前一个夏天的故事。
漁師(りょうし)たちが海で魚を取っていましたが、どうした事か、今日はほとんど魚が取れません。
渔夫们在海里打鱼,但是不知道为什么,今天没怎么打到鱼。
「仕方がない、もっと沖へ行こうか」
“没办法哎,我们再往水深的地方去吧。”
「そうだな。これでは、かせぎにならん」
“也是。这样就会比较有收获吧。”
そこで船を沖へ移動させると、今度は面白い様に魚が取れます。
于是船开始向深海移动,这次很顺利地打到了很多鱼。
そこでついつい夢中で取っているうちに、すっかり日が暮れてしまいました。
就在渔夫们打鱼打得起劲时,天也完全暗了下来。
「さあ。今日は、もう帰るぞ」
“那今天就先这样,我们回去吧。”
そう言って漁師たちがアミをしまっていると、突然波の中から、坊主頭の様な物が浮かび上がってきたのです。
说完渔夫们开始收网,突然,海面浮上来一个像是光头的东西。
「でっ、出たー! 海坊主だー!」
“来。。。来了!是海怪!”
漁師たちはみんな、ブルブルと震え上がりました。
渔夫们吓得哆哆嗦嗦直打颤。
「何をボヤボヤしている! はやく船をこいで、浜(はま)へ逃げるんじゃ!」
“磨蹭什么!还不快划船往岸边逃!”
船頭の言葉に漁師たちは我に返ると、懸命に船をこぎ始めました。
听到船长的提醒,渔夫们猛地回过神来,开始拼命地划船。
しかし海坊主も泳いで来て、船べり(→船の側面)に手をかけました。
但是海怪也游了过来,并用手抓住了船身。
そして、恐ろしい声で言います。
然后用恐怖的声音说起了话。
「ひしゃく。ひしゃくをくれえ~。ひしゃくをくれえ~」
长柄勺,给我长柄勺~,给我长柄勺~”
「わかった、いまやる」
“知道了!现在就给你”
漁師の一人がひしゃくを渡そうとすると、船頭はそのひしゃくの底を素早く打ち抜いて、船べりからなるべく遠くへと投げました。
其中一个渔夫刚要把船桨给海怪,船长快速地把长柄勺的底弄掉、从船身往很远的地方扔去。
「それ、今のうちに、全力でこぐんだ」
“快!趁现在,拼全力划船”
一方、海坊主は遠くへ投げられたひしゃくを追いかけて行きましたが、そのひしゃくの底が抜けている事に気がつくと、
另一边,海怪追着被扔得很远的勺子去了,当它发现勺子底被破坏了以后非常气愤
「よくも、だましたな! 待てぇー!」
“好你的居然敢骗我!等等!”
と、すごい勢いで船を追いかけてきました。
说着便以极快的速度向船追了过来。
しかし船は間一髪のところで浜へ着くと、みんなが浜へと駆け上がったので、海から出る事が出来ない海坊主にはどうする事も出来ません。
但船在千钧一发之刻到达了岸边,大家争先恐后上了岸,无法上岸的海怪就没办法为难他们了。
海坊主は、しばらくうらめしそうに漁師たちを見ていましたが、やがてどこかへ行ってしまいました。
海怪充满怨恨似的看了渔夫们一会儿,不久就去往别处了。
「ああ、恐ろしかった。しかしどうして、ひしゃくの底を抜いて遠くへ投げたんじゃ?」
“当时真可怕。但是为什么要把勺子的底给弄掉再扔出去呢?“
漁師の一人が聞くと、船頭はこう答えました。
其中一个渔夫这么问到,而船长是这么回答的。
「これからもある事だから、よく覚えておけよ。
“今后也会有这种事,大家记好了。
もしあの時、海坊主の言う通りに底のついたひしゃくを渡してしまったら、海坊主はそのひしゃくで海の水を船にくみ入れて、最後には船を沈めてしまうんだ。
如果那个时候,听海怪的话把完好的勺子扔给它的话,海怪就会用勺子把海水倒入船里,最后就会把我们的船给打翻。
かと言って、ひしゃくを渡さないと、海坊主は怒って船を壊してしまう。
但是如果不给勺子,海怪也会发怒并把船打翻。
だから、底を抜いたひしゃくを渡すんじゃ」
所以,要把勺子的底给弄掉再给它。“
それを聞いて漁師たちは、さらに震え上がりました。
听了这些的渔夫们,更觉得恐惧了。
おしまい
結束
|
|
|