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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >七月
7月11日の百物語
二つ目のお化け
双眼妖怪
翻訳者 広東省恵州学院 徐娜
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、江戸の浅草(あさくさ)で、見世物小屋(みせものごや)を出している伝七(でんしち)という男がいました。
很久很久以前,在江户的浅草,有一个耍杂技的 男人,名字叫传七。
軽業や犬の曲芸など、色々な出し物をやってみましたが、どうもお客が集まってきません。
传七尝试着各种各样的杂技,惊险杂技,训狗等等,但是不管怎么做都招不来客人
「何かうまい出し物はないだろうか? お化け屋敷はそれなりに儲かると聞くが、あれは元手がかかるからな」
“有没有什么好的节目呢?听说妖怪屋的话能赚钱,可是那需要花费很多本钱吧”
そんなある日、伝七はなじみの客に、北の国には一つ目小僧がいると聞いたのです。
有一天,传七在熟客那里听说,北国有独眼妖怪。
「そいつだ!」
“就是这个!”
伝七は、飛び上がって喜びました。
传七高兴地跳了起来。
「本物の一つ目小僧を見世物にすれば、お化け屋敷よりも儲かるに違いない。さっそく二、三人さらってきて、大もうけをしよう」
“让真正独眼妖怪来耍杂技的话,肯定比妖怪屋更赚钱。现在就去拐来二、三人,大赚一笔吧”
こうして伝七は、北の国へ出かけました。
于是,传七朝着北国出发了。
山を越え、野を越え、何日も何日も北へ北へと歩いていくと、どうしたものか、暗い森の中に迷い込んでしまいました。
传七翻山越岭,每天每天向着北边行走,不知道怎么的,在黑暗的森林中迷路了。
もう日が暮れて、帰る道さえ分かりません。
已是傍晚时分,甚至连回去的路都不知道了。
「えらいこっちゃ。こんな所で野宿とは」
“完蛋了,要是在这样的地方露宿的话真是完蛋了”
その時、どこからか歌が聞こえてきました。
这时,传七不知道从哪里听到了歌声。
耳をすませてみると、どうやら子どもの声です。
仔细一听,好像是小孩子的声音。
「子どもがいるという事は、近くに家があるに違いない」
“有小孩子的话,附近肯定有房子”
伝七はその家に泊めてもらおうと、熊笹を押し分けて声のする方へ行きました。
传七想要在那户人家那里留宿一晚,于是拨开竹子,朝着声音的方向走去。
すると山の中だというのに立派な町があって、その町外れで五、六人の子どもたちが遊んでいたのです。
接着,竟然在发现在山上有一座很漂亮的城市,在这个城市的郊外,有五、六个小孩子们在玩耍。
「おーい・・・」
“喂。。。”
伝七は子どもたちに声を掛けようとしましたが、その子どもたちの顔を見て驚きました。
传七想叫小孩子们,可是,看到这些小孩子的脸后他大吃一惊。
何とその子どもたちは、どれもこれも一つ目だったのです。
这些小孩子们,全部都是独眼。
(何と、ここが一つ目の国だったのか。よーし、あの子どもをさらって、見世物にしてやろう)
“难道说这里就是独眼妖怪的国家?好,把那些小孩子拐来耍杂技吧”
伝七は子どもたちの背後からそーっと近づくと、近くにいた二人の子どもを両手でグイと捕まえました。
传七悄悄靠近孩子们的背后,然后使劲抓住就近的两个孩子的手。
そして二人の子どもを両脇に抱えて、連れ去ろうとしたとたんに、
然后把两个小孩子抱在腋下,准备把他们带走的时候,
「こら! 子どもに何をする!」
“喂!你在对小孩子做什么!”
と、伝七は背中を蹴飛ばされて、地面にたたきつけられてしまいました。
话音刚落,传七的背后被人踹了一脚,摔倒在了地面上。
伝七がひょいと顔をあげてみると、いつの間にか伝七は大人の一つ目たちに周りを取り囲まれていました。
传七疑惑地抬起头一看,不知道什么时候传七被一群成人独眼妖怪围住了。
「おい、見ろ! この男は二つ目だ。目が二つもあるぞ」
“喂!快看啊!这个男人有两只眼睛!有两只眼睛啊!”
そして大人の一つ目たちは伝七をなわでぐるぐる巻きに縛り上げて、一つ目の国へと連れて行きました。
于是,成人独眼妖怪们用绳子把传七一圈圈地捆上,带到了独眼妖怪的国家。
翌朝、伝七は見世物小屋に連れて行かれると、大勢の一つ目が集まっている前に突き出されました。
第二天早上,传七被带到杂技蓬的时候,非常多的独眼妖怪争先恐后地围了过来。
「さあ、いらっしゃい、いらっしゃい。
“哎,欢迎,欢迎
世にも珍しい、二つ目のお化けだよ。
世界上都很难得看见的双眼妖怪噢
何とこのお化けには、目が二つもあるんだ」
这只妖怪有两只眼睛噢“
こうして伝七は、一つ目の国で見世物にされてしまったのです。
就这样,传七成为了独眼妖怪国家的杂技明星。
おしまい
剧终
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