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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >八月
8月9日の百物語
姥ヶ火(うばがび)
老妖之火
翻訳者 広東省恵州学院 柳柔華
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、河内(かわち→大阪府)の枚岡神社では、一晩中、灯籠(とうろう)に明かりをともしていました。
很久很久以前,河内(即现在的大阪府)的枚冈神社是一整个晚上都点着灯笼的。
ところがその灯籠の明かりが、真夜中になると消えてしまう事が何度もあったのです。
可是灯笼的灯光一到深夜就灭了,这样的事已经发生过了好几次。
「これは、山の動物が油をなめに来るからではないだろうか?」
这会不会是山里的动物来偷吃灯油呢?”
神主たちはそう思い、その晩から見張りをする事にしました。
神官们这么想着,从那晚开始就巡视起来了。
その日の真夜中、神主たちが弓やなぎなたを手に灯籠を見張っていると、どこからともなく白髪の老婆が目をギラギラと光らせながら現れました。
那天的深夜,神官们手持弓和长刀看守着灯笼的时候,也不知道从哪儿出现了一个眼睛发光的白发老太太。
(あっ、あれは山姥に違いない!)
(那、那一定是山中老妖!)
神主たちは弓矢を構えると、油のつぼをかかえて逃げ出す山姥に矢を放ちました。
神官们搭好弓箭后,就朝着抱着油壶逃跑的老妖射箭。
放った矢には鋭い刃が付いていたので、山姥の首はスパッと切れると、空高く舞い上がりました。
由于射出去的箭上有锋利的刀刃,山中老妖的头被干脆地切下,高高地升到空中。
「やった! 山姥を倒したぞ!」
“太好了!打倒山中老妖了!”
神主たちが喜んだのもつかの間、何と空高く舞い上がった山姥の首が、口から炎を吹き出しながら神主たちに襲いかかったのです。
正当神官们刚高兴没一会儿的时候,高高地升到空中的山中老妖的头竟然嘴里喷出火来袭击神官们。
「うわーっ! 逃げろーっ!」
哇!快逃!”
神主たちは何とか社に逃げ込むと、内側から鍵を閉めました。
神官们总算是逃进了神社里后,就从里面把门给锁上了。
山姥の首は一晩中社の周りを飛び回っていましたが、やがて力尽きたのか、夜明け前には動かなくなりました。
老妖的头一整晚都在神社的周围飞来飞去,可能是没有力气了吧,总算在天亮之前停了下来。
朝日が登ってから社を出た神主たちが山姥の死体を調べてみると、それは村に住む年寄りだとわかりました。
早上的太阳升起后从神社里出来的神官们检查了老妖的尸体后发现,那是住在村里的一个老人。
今では百才近い老婆ですが、若い時はたいそう美人で、
现在虽然是近百岁的老太太,年轻的时候却因为是一个大美女,
「結婚してください」
“请跟我结婚吧。”
「ぜひとも、家の嫁に」
“请一定要,成为我的妻子。”
と、多くの男たちが奪い合うほどだったのです。
成为很多男人互相争夺的对象。
ですが不思議な事に結婚した相手は次々と死んでしまい、十人目の夫が死んだ時から、ずっと一人暮しをしていました。
可是不可思议的是,跟她结婚的男人都一个个的死去了。等到结婚的第十个丈夫也死了之后,她就一直是一个人生活了。
そして糸つむぎだけを唯一の楽しみに生きていたのですが、年を取って目がおとろえ、暗いいろりの明かりだけでは糸がつむげなくなりました。
之后,以纺线为唯一的乐趣活下去的她,因为上了年纪,视力衰退,而仅靠昏暗的地炉的光是无法纺线的。
そこで明かりを得る為に、神社の灯籠から油を盗むようになったのです。
所以她为了得到光,就偷了神社灯笼的油。
考えてみれば可哀想な話ですが、神社での出来事を知った村人たちは老婆をけなしました。
光是想想就让人觉得同情的故事,可是,知道了神社发生的事情后的村民们却在嘲笑老太太。
「よりにもよって、神社から油を盗むなんて。罰当たりな事をしたのだから、死んで当然だ」
“偷哪里的油不好,偏偏要去神社偷油啊。干了坏事死了也是应该的啊。”
そして死んだ老婆の供養もせずに、野ざらしにして野犬やカラスのエサにしたのです。
于是也不处理老太太的后事,让她曝尸荒野成为野狗和乌鸦的食物。
それからしばらくたったある日、あの老婆の首が化物となって現れました。
在那之后不久的一天,那个老太太的头变成了妖怪出现了。
老婆の首は口から火を噴きながら村中を飛び回り、老婆の悪口を言った男の家を焼き払うと、どこかへ消えていったと言う事です。
据说老太太的头嘴里喷着火在村子里来回飞着,烧光了讲了老太太坏话的男人的家后,就不知道消失到哪里去了。
枚岡神社について (玄松子の記憶より)
おしまい
結束
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