福娘童話集 > きょうの百物語 福娘童話集 きょうの百物語 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 


福娘童話集 > きょうの百物語 > 8月の百物語 > 姥ヶ火(うばがび)

8月9日の百物語

姥ヶ火(うばがび)

姥ヶ火(うばがび)
大阪府の民話 → 大阪府情報

にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「櫻井園子」  櫻井園子エス代表 《櫻井園子キャンドルWEB販売》

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「つれづれ居士」  つれづれ居士

 むかしむかし、河内(かわち→大阪府)の枚岡神社では、一晩中、灯籠(とうろう)に明かりをともしていました。
 ところがその灯籠の明かりが、真夜中になると消えてしまう事が何度もあったのです。
「これは、山の動物が油をなめに来るからではないだろうか?」
 神主たちはそう思い、その晩から見張りをする事にしました。

 その日の真夜中、神主たちが弓やなぎなたを手に灯籠を見張っていると、どこからともなく白髪の老婆が目をギラギラと光らせながら現れました。
(あっ、あれは山姥に違いない!)
 神主たちは弓矢を構えると、油のつぼをかかえて逃げ出す山姥に矢を放ちました。
 放った矢には鋭い刃が付いていたので、山姥の首はスパッと切れると、空高く舞い上がりました。
「やった! 山姥を倒したぞ!」
 神主たちが喜んだのもつかの間、何と空高く舞い上がった山姥の首が、口から炎を吹き出しながら神主たちに襲いかかったのです。
「うわーっ! 逃げろーっ!」
 神主たちは何とか社に逃げ込むと、内側から鍵を閉めました。
 山姥の首は一晩中社の周りを飛び回っていましたが、やがて力尽きたのか、夜明け前には動かなくなりました。

 朝日が登ってから社を出た神主たちが山姥の死体を調べてみると、それは村に住む年寄りだとわかりました。
 今では百才近い老婆ですが、若い時はたいそう美人で、
「結婚してください」
「ぜひとも、家の嫁に」
と、多くの男たちが奪い合うほどだったのです。
 ですが不思議な事に結婚した相手は次々と死んでしまい、十人目の夫が死んだ時から、ずっと一人暮しをしていました。
 そして糸つむぎだけを唯一の楽しみに生きていたのですが、年を取って目がおとろえ、暗いいろりの明かりだけでは糸がつむげなくなりました。
 そこで明かりを得る為に、神社の灯籠から油を盗むようになったのです。
 考えてみれば可哀想な話ですが、神社での出来事を知った村人たちは老婆をけなしました。
「よりにもよって、神社から油を盗むなんて。罰当たりな事をしたのだから、死んで当然だ」
 そして死んだ老婆の供養もせずに、野ざらしにして野犬やカラスのエサにしたのです。

 それからしばらくたったある日、あの老婆の首が化物となって現れました。
 老婆の首は口から火を噴きながら村中を飛び回り、老婆の悪口を言った男の家を焼き払うと、どこかへ消えていったと言う事です。

 枚岡神社について (玄松子の記憶より)

おしまい

前のページへ戻る


     8月 9日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
野球の日
きょうの誕生花
煙草(たばこ)
きょうの誕生日・出来事
1933年 黒柳徹子(女優)
恋の誕生日占い
自分の幸せより人の幸せを願う
なぞなぞ小学校
点数が少ないほど、勝ちになるスポーツは?
あこがれの職業紹介
医薬品登録販売者
恋の魔法とおまじない 222
一目惚れのおまじない
  8月 9日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
竹生島(ちくぶしま)と鯰(なまず)
きょうの世界昔話
おばあさんの頼み
きょうの日本民話
キツネの隠れずきん
きょうのイソップ童話
イヌと肉屋
きょうの江戸小話
うそつきの名人
きょうの百物語
姥ヶ火(うばがび)

福娘のサイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ