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福娘童話集 > 百物語 > 八月
8月21日の百物語
(8月21日的日本鬼故事)
井戸から聞こえる悲鳴
哭井
・日本語 ・日本語&中国語
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投稿者 「つれづれ居士」 つれづれ居士
むかしむかし、羽後の国(うごのくに→秋田県)の大館(おおだて)に、長山武太夫(ながやまぶだいゆう)という剣の名人がいました。
到好久以前、羽後國(秋田縣)大館、有條喊長山武太夫的用劍好手。
その名は国中に知れ渡り、武太夫の道場には、全国から入門を願い出る者が大勢集まってきました。
聞名於四方、太夫開設的道場也是車水馬龍、門徒甚多。
武太夫は気立ての良い奥さんと数多い弟子に囲まれて、とても幸せでした。
太夫每天就被自己弟子夫人圍到、每天亦是充實。
ところが武太夫にはひとつだけ、人に言えない悩みがありました。
但實際上太夫私底下也有一個自己的煩惱。
それは、一人娘のみさおが生まれて一年もたつというのに、泣きもしなければ笑いもしないのです。
那就是自己的女、節、已經一年過去、都覓(沒)哭但也覓笑過
あちこちの医者や占い師にも見てもらいましたが、どうして声を出さないのか、さっぱりわかりません。
也問過醫生或是託人算卦、為甚麼自己的女面無表情、至今未解。
それでもみさおは病気ひとつせずに、すくすくと育っていきました。
節也健康、覓害過甚麼病。
さて、みさおが二歳になった春の日の事。
這是節二歲春天發生的事。
女中のお松が暖かい庭先で、みさおをおぶって子守りをしていました。
庭院裡面的家僕松背到節到哄他唱歌聽。
庭のすみには大きくて深い井戸があり、水面はいつも鏡のように澄んでいます。
庭院一角有口深水井、井水同鏡子一樣清澈。
お松も年頃の娘なので、ときどき井戸に自分の姿を写しては、身だしなみを整えたりしていました。
松其實也不大、也是小女兒的年紀、在乎自己的容貌、經常就對到井口梳理。
今日もお松は、みさおをおぶったまま井戸をのぞきました。
今天也是一樣、井口邊上的松、幫節背到背上的。
するとそこには、若い娘の顔がありました。
井口映出人臉、是條年輕小女兒的。
色が白くて目が大きく、とても美しい顔です。
白臉圓眼睛、松就覺得這井口裡面的人好乖
「きれい。まるで、わたしの顔じゃないみたい」
乖的好像就不是自己的臉一樣。
お松はうれしくなって笑いかけると、水面の顔も笑います。
松就笑、水面也就跟到笑。
それを何度か繰り返しているうちに、背中のみさおが『くすっ』と笑ったのです。
幾個來回、背上背到的節也笑了出聲。
「おや? みさおさまが、声を出したぞ」
唉唉、節會港話了。
お松は、もう一度みさおを笑わせようとして、井戸の上に身を乗り出すと、
松想要進一步幫節逗笑、幫身子探到井口上、好能讓節更清楚的看清水面。
「ほれほれ、みさおさま、ばあーっ」
節節、快看。
と、肩をゆすったとたん、みさおがするりと井戸の中へ落ちたのです。
聳肩的一瞬、節也落入井水裡面去了。
「しまった!」
這哈稀爛
あわてて助けようとしましたが、お松の力ではどうする事も出来ません。
想救人、松也覓的法度(辦法)。
「誰かー! 誰か来てー!」
來人!快來人啊!
お松の悲鳴を聞きつけ、武大夫や弟子たちが庭へ飛び出して来ました。
聽松到嬉、太夫的門人一哈都趕過來了。
「どうした!」
怎麼了!
「み、み、みさおさまが・・・」
節節。
お松は震える手で、井戸の中を指差しました。
松抖到手對到井裡面指。
すぐに弟子の一人が井戸に飛び込み、水の底に沈んでいたみさおを助けあげました。
門徒跳井、人就救上來了。
「水を吐かせろ!」
讓他吐水!
「体を温めろ!」
取巴(熱)水和毛巾過來
みんなは必死でみさおを介抱しましたが、駄目でした。
所有人一起辦法、還是遲了。
武太夫と奥さんは冷たくなったみさおにとりすがって、声をあげて泣きました。
太夫跟夫人執著與自己女、放聲哭泣、可惜抱到手裡的人早涼了。
あまりの出来事に、お松はぽかんとつっ立っています。
事出突然、現在輪到松了。
やがて立ちあがった武太夫は、すさまじい顔でお松をにらみつけると、
站起來的太夫就一直對到松認到的、樣子好惡。
「お松、よくも大切な娘を殺してくれたな!」
這就假勁嘻、指控松謀殺。
と、言うなり、お松の顔を力いっぱい殴りつけました。
對到松的臉就是亂刷。
「許してください! 許してください!」
一直求饒的松。
でも武太夫の怒りはおさまらず、お松を引きずり起こすと井戸の中へ突き落とし、近くにあった大きな石を持ち上げて、お松の上へ力いっぱい投げ込んだのです。
但是太夫不泄憤、幫松拖到井口邊甩裡頭去了、再到旁邊邏塊大石頭、甩井裡面去了。
「ぎゃあーっ!」
哀嚎
お松の悲鳴が、井戸の中からわきおこりました。
出來了、聲音、自井中。
それには弟子たちも驚き、
門徒都震驚了。
「先生、このままではお松が死んでしまいます」
也是提醒師傅這人已經馬上要死了。
と、言いましたが、武太夫は、
但是太夫
「かまわん、ほっておけ!」
不在意、隨他去了。
と、言ったきり、みさおを抱き上げて部屋に閉じこもってしまいました。
抱到自己女、幫自己關屋裡了。
「お松を、はやくお松を助けるんだ!」
門徒馬上下井
弟子たちが急いでお松を引きあげましたが、お松は血まみれになって死んでいたのです。
拖上來的松已經身上全是血的死了。
そんな事があってから、この道場に、おかしな出来事が起こる様になったのです。
這事後、道場也開始鬧鬼了。
夜中に、井戸の中から、
一夜、井裡面
「ぎゃあーっ!」
悲鳴
と、言う悲鳴が聞こえて来たかと思うと、急に明かりが消えて、部屋の中に血だらけのお松が現れ、武太夫の顔を見て笑いかけるのです。
聽到這聲嘻、燈火就全熄、全身血的松就對到太夫笑、出現到房間裡面。
「おのれ、まださまようているのか!」
還覓魂飛魄散。
武太夫が刀で切りつけましたが、まるで手ごたえがありません。
太夫取刀、完全就是砍空氣。
いかに剣の名人でも、幽霊を切る事は出来ませんでした。
劍只能幫人變成鬼、卻動不了鬼。
怖くなった弟子たちは、みんな道場を出て行ってしまいました。
徒弟門也是怕自己莫鬼事纏身、一個個都棄道場而去了。
そしてある晩、武太夫の屋敷が火事になり、武太夫も奥さんも召使いも一人残らず焼け死んでしまったのです。
出這鬼事的晚、太夫屋裡火事又起來了、家僕堂客包括自己、連同屋子一起被火餤乾淨了。
今でもこの屋敷の跡には、お松の霊をなぐさめる小さな地蔵がたてられています。
現在房子的遺蹟處還有個小地蔵貢到哪裡的、也是為了震到松的亡靈讓她安息。
そしてそばにある大きな石は、井戸から引きあげた物だという事です。
旁邊的大石頭、則是大夫當初甩落去的那一塊。
おしまい
结束
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